7月下旬、中国・上海を活動拠点とするアイドルグループ、SNH48の「人気総決戦」、日本でいう「選抜総選挙」が行われた。
SNH48は、インドネシア・ジャカルタを拠点に活動するJKT48に続き、秋元康がプロデュースするAKB48の海外姉妹グループとして、2012年に誕生した。
元AKBメンバーの宮澤佐江らもかつて所属し、9月には七期生が発表されたばかり。

しかし、この春。
SNH48の運営側が、北京を拠点に活動するグループ「BEJ48」、広州拠点の「GNZ48」という新グループの結成を独自に発表した。これは、中国側の運営が独自に行ったことで、これに対して日本のAKB運営が、<AKB48グループにおける海外姉妹グループの運営について>と題し、SNH側に「契約違反があり、運営の見直し等を図る」、そして、上記SNH48とGNZ48はAKB48グループとは無関係のグループであると表明。これを受けてSNH側は、AKB48グループから完全独立を発表、その経緯はニュースにもなった。

その後、日本側からは大きな動きはみられないが、さらに瀋陽を拠点とする「SHY48」の結成も発表、中国の「AKB的なアイドルグループ」は、独自に増殖中である。


これ、言ってみれば、中国側がおなじみの(?)パクリをアイドルグループのシステムまで発揮しちゃったようなものである。

そんなアイドルのシステムすらパクラれてしまうような状況、なぜ起こってしまうのだろうか。


実はたくさん存在? 中国アイドルグループ


中国で日本のキャラクターグッズビジネスに関わる人物に聞くと、「これまでにも、中国では似たようなアイドルグループが、いくつも立ち上がったり消えたりしているんです」という。今まで日本であまり知られていなかっただけなのだそうだ。

なぜそれまでは情報が伝わりにくかったのか。
「それは、中国は広いうえに情報規制が厳しいので、地方の情報がなかなか伝わりづらいという状況があります」
そんな状況が、上記の“パクリアイドルグループ”の乱立につながってくる。
「中国のパクリ状況は、すべての分野で日常的に起きています。
情報が伝わりにくい=バレにくい。日本のニュースでも、ディズニーランドのパクリテーマパークが話題になったりしましたが、地方にはまだまだ“にせミッキー”のいる遊園地はいくつもあると思います。その地方の子どもたちも、それを偽物とは認知せず遊んでいたりもします。そんな状況ですので、地方都市の一部でパクリアイドル活動を行っていても、ほとんどバレないというのが現状です」

中国のパクリビジネスは、今後も続きそうだと前出の関係者は言う。
「メーカーなどではコピー商品、海賊版を撲滅し正規品を流通させたいのですが、対策として警告を出しても、小売店の数があまりにも膨大なのと、無視されてしまえばどうしようもないのでほとんど効果がないんです。見比べてもらえれば高くても正規品のよさは分かるので、むしろクオリティの高い正規品を作るというところに注力するといったところですね」


コピー商品が売れたら正式なオファーをしてくる?


いっぽう、その広さゆえ苦戦する面もあると指摘する。

「SNH48も上海ではそこそこ上手くいっているようですが、広州で行った公演は、初回のアリーナ公演で集客できなかったことから、2回目の公演は、1500人程度の規模の会場になってしまいました。中国では『芸術』と認められれば公演も行いやすくなり、マスコミも十分に取り上げてくれるようになりますが、アイドルグループではなかなか難しいようですね」

ところで、コピー商品で成功した業者は、こんなびっくりな行動に出ることもあるという。
「コピー商品で財を成したあと、正規のライセンスを取りに行くというケースもよくあります。そういったところはたくましいなあと思います」

日本の運営から独立し、ますます精力的に活動していそうな中国版AKBグループ。そのうちBEJ48やGNZ48を、正式に提携グループとして認めろと申し出てきたりして。
(太田サトル)