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高度難聴の娘と4年間対話した父の「宿題」 絵日記で紡がれる家族の情景

2017年10月19日 07時45分 ライター情報:太田サトル
そこに描かれているのは、活き活きとした“記録”だ。

娘の2歳から6歳までの4年間の成長を描いた、父の手による、「絵日記」。それが、一冊の書籍としてまとめられた。
「宿題の絵日記帳」今井信吾(リトルモア刊)

タイトルは、『宿題の絵日記帳』。なぜ「宿題の」なのか。それは、絵日記が保護者への宿題だったから。

生まれつき高度難聴だった娘が通う聾(ろう)話学校。ここでは手話ではなく口話でのコミュニケーションを身につけていくための教育が行われる。その聾話学校で、子供と先生の会話の練習をするための補助のため各家庭に出されたのが、家庭での様子を記した絵日記だ。


自然と「宿題」を担当した画家の父


父で著者の今井信吾さんは、画家である。
<本来は母親または子ども本人が描くのだけれど、我家では自然と私に御鉢が回ってきて>
と、著書のまえがきにはある。自らは<安直な走り書きの、マンガチックなものにすぎないが>と記しているが、その表情、動き、一瞬一瞬を切り取るスケッチの数々、そしてそこに添えられる短い文章。それは写真よりもくっきりと、この時期の「今井家」の様子を伝えてくれる気がする。
6月14日。パパとお姉ちゃんが描いてくれた塗り絵に、色を塗るうららちゃん(「宿題の絵日記帳」より)

絵日記帳の中で、麗さんが少しずつ言葉や声を獲得していく様子も描かれているが、食事をする様子、お風呂、幼稚園で遊んでいる様子、いたずらして怒られたり、バレエを踊ったり、高度難聴の娘の記録という特別な意識は薄い。そこに紡がれているのは、あるひとつの家族の、あたたかな日常の情景の数々だ。

絵日記が描かれたのは、今から約30年前。
「姉(※本書に登場する麗さんのお姉さん)の方は、自分の作品として油絵に描いたりしていましたが、麗の方は、そのような作品を描く前のもの、絵日記は別という考えがありました」
と、今井信吾さんは当時を振り返る。

奥さんからは、絵日記に関しては、
「時間に遅れても、必ず書くようにと。内容に関しては、特に感想はなかったと思います」
とのこと。
絵日記を書いた4年間については、
「すべてが過ぎ去っていく日々、という感じでした」

絵日記を通じて、麗さんと「対話」できた実感はあっただろうか。
「描いたものを見せて反応を見るということはありました。そのため、なるべく分かりやすく描こうという気持ちはありました」

数十冊におよぶスケッチは、一冊の書籍としてまとまった。
「スケッチの印象は変わりませんが、文字が活字になりとても読みやすくなることで、どこか客観的に見える、そんな印象を受けました」
特にお気に入りの絵は、「おおきなかぶ」の絵本を読んでいるところの絵だという。
12月8日。今井信吾さんお気に入りだという、大好きな絵本「おおきなかぶ」をママと読むうららちゃん。うららちゃんも大きな声を出して読んでいる(「宿題の絵日記帳」より)

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ライター情報: 太田サトル

学生時代からそのままフリーライター業。雑誌中心に執筆、ときどき編集。 好物=ガンプラ、パンクロック、ラーメン

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