うっとうしい梅雨の影響で、食欲も落ちやすい時季。料理番組や雑誌では、オクラやなめこなど、元気が出る「ネバネバ」食材のレシピが多数紹介されている。


ところで、ネバネバが美味しい「なめこ」ではあるが、その反面、味噌汁やなめこおろし、なめこそばなど、料理の幅が広がりにくい食材でもある。
そんななか、近年は、ねばりが少ないなめこも登場。

たとえば、福島の(有)鈴木農園の「万能なめこ」は、天ぷらやバター炒めにも使えるというが、パッケージにはこんな気になる記述があった。
「水洗いしていない為、ぬめりの苦手な方にも食べやすくなっております」

!! 「ぬめり」って、水洗いで起こってたの? そもそもなめこって、どのようにできてるの?
鈴木農園に聞いた。

「普通のなめこは、いしづきの部分がカットされ、サイズを分けるための選別機にかけられます。そのとき、かさを傷めないように、水を通すので、どうしても水洗いになってしまうんですよ」
さらに、製品化するまでには計量、袋詰めがあるが、ここでもう1段階水洗いをすることも多いそうだ。

「選別をかけた後、計量するためにもう一度水洗いをします。ぬめりが出てきて、だんご状になってしまうのをほぐすために、水を通すんですよ」
生産者によっては、選別時に計量までしてしまうというが、その場合も、水洗いを1度することになる。

また、なめこは、乾いてしまうとダメなので、シャワーで直接きのこに水をかけるような場合もあるのだが、鈴木農園では、低温でじっくりと、湿度90%で育成している。加湿を重点的に行い、「必要以上の水かけをしない」というのも、ぬめりを出さない秘密のようだ。
「なめことしては、後発だったわが社では、とにかく特色のあるものを……と、大きいなめこにチャレンジしました。十分育ってかさが開いたなめこは、ぬめりが減るということもあるんですよ」

じっくり時間をかけ、かさが開いたなめこは、ぬめりが減り、さらに選別や計量時の「水洗い」をしないことで、ぬめりが減る。

当たり前だった作業工程を省き、じっくり大きく育てられたなめこは、バター焼きやてんぷらにすると「何のきのこ?」と聞かれるぐらい、クセがなく、シャキシャキの新食感である。

「そのままのなめこ」は、実はそれほどぬめってないという不思議。ぜひお試しあれ。
(田幸和歌子)