夜な夜な、どこかで行われる「猫集会」。目撃したことのある人は多いことだろう。


実は昔、我が家で飼っていた猫も、1年間の家出の後に偶然、猫の集会場所で見つかったことがある。
強引につかまえ、家に連れ帰ったものの、すっかり野生化してしまった彼はもう人に慣れることなく、何度つかまえても、やはり出て行ってしまう。

集会場所で見かけるのは、いちばん高い場所でグルーミングをしている姿、あるいは先頭を歩く姿で、「人に飼われる猫ではなかったのかも」と悲しい思いをしたことがあった。

もちろん集会場所には、ペットとして生きる猫たちがきちんと「出勤」してくるケースも多いと思うのだが、それにしても、なぜそんなにも夜な夜な集会を開くのか。
どんな目的で? 猫専門病院・シュシュキャットクリニックの服部幸院長に聞いた。

「猫の集会の目的は、いろいろな説がありますが、同じ地域の猫が集まって、よそ者がいないか確認するなど、“顔あわせ”的な意味が大きいと考えられています」
本来、猫は単独行動をする動物だが、同じテリトリーを共有するにあたって、集団で集まるのだとか。


ただし、そこで何か決議がされているかどうかというと……。
「なんとなく集まっているだけのことが多いようです。グルーミングしていたり、ただ座っているだけだったりします。また、季節は問わず、基本的に夜行性の動物なので夜に集まることは多いと思いますが、時間なども特に決まっているわけではなく『なんとなく』なんですよ」

参加メンバーに関しても、雌雄・年齢などに関係なく、「なかには集会に参加できない猫などもいるのでは?」という推測だった。

ところで、猫集会には、構成猫数や役割分担などあるのか。
「猫の数は、地域の猫の数によりますし、猫集会には特にボスなどはいません。
役割分担もありません。きょうだい、家族などの場合は集団でいることもありますが、基本は単独行動であり、上下関係などはあまりないと思います」
上のほう、あるいは先頭にいるのが「リーダー」だと思っていたのだが、それは人間から見た位置だったのか。

また、猫集会は、なぜか駐車場など、コンクリートだらけの場所で見かけることが多いが、これはなぜ? 
「都心の場合、たまたま集団で集まれるような広いスペースが、駐車場ぐらいしかないということでしょう。猫集会は、公園や神社などでもよく行われているんですよ」

なんとなく集まって、なんとなく顔をあわせるだけらしい「猫集会」。そこに様々な会話や目的・関係性を読み説きたがるのは、人間側の心理であって、ご本人たちは案外、ただボケーッと和んでいるのかもしれません。
(田幸和歌子)