大雪、大寒波に見舞われた今年の冬。たしかに、例年以上に寒い日が多く感じられた。
たくさん着込んだり、カイロを体に忍ばせたり、様々な“冷え対策”を試してみる中。「体を温めるには生姜がいいみたいよ」という妻からの助言を得て、今冬は生姜も頼りにしてみました。

そういえば最近、本屋では「生姜レシピ」といった本を見かけるし、スーパーやコンビニに行けばインスタントの「生姜スープ」などが置いてある。チューブ入りのおろし生姜を常に持ち歩いて、外食や弁当を食べる際などにも生姜を加える若い女性が急増中、なんていう話をテレビや雑誌で見かけたこともある。

体内の血のめぐりを研究している「血めぐり研究会」によると、生姜は体を温める「温性」の食物なのだという。また、食品メーカー「永谷園」の社員により発足された「永谷園生姜部」によると、生姜には「ジンゲロール」「ショウガオール」「ジンゲロン」という辛味成分が含まれており、これらによって代謝が促進されることが、研究結果として発表されているらしい。


なるほど。生姜に、体を温める効果があることは良くわかった。ならば、いつもお世話になっているコネタ読者の皆様に、生姜によって具体的にどれくらい体が温まるものか、自らの体を使ってお伝えしたい! と筆者は思った。

以前、筆者は「納豆はかき混ぜるほどにおいしくなる!?」という記事を、コネタで書かせていただいた。この記事には、「筆者はアホである」「いや、よくぞこれだけの回数、納豆をかき混ぜた」と賛否両論あった。「二万回も納豆をかき混ぜたら、もっとペースト状になるはず」とのご指摘もいただいた。
でもコレ、ホントに二万回かき混ぜたんですよ! とはいえ、かき混ぜ方や室温、環境などによっても、納豆を二万回かき混ぜた後の姿は異なってくるだろうし、味の感じ方も人によって千差万別のはず。要はこの記事、筆者の主観交じり、個人的な結論にすぎなかったことは否めない。

今回の生姜実験も、あくまで筆者の個人的な結果しか導くことはできないだろう。しかし、こういう個人的な実験結果も、コネタ読者の皆様が生姜を利用される際の参考程度になるはず! と思い、筆者は実験に移るのであった。

生姜を、いかにして体内に取り込むべきか。生姜といえば、生姜焼き……。
いやいや。生姜焼きを食べて体が温まるなんて話、聞いたことがない。でも…。生姜焼きって、おいしいですよね。食べたい……。食べたいなあ……。


ということで作ってみた、豚肉の生姜焼き。生姜は1欠片をすりおろした、約10g分を使いました。豚肉は約120g使用。食べる前に、まずは現在の体温を測ってみる。36度3分。毎朝、保育園に行く前の娘を自宅で検温しているが、そのついでに筆者自身の体温も度々測っている。
概ね、36度2分~3分。現在の体温は、どうやら筆者にとっての平均的な平熱であるようだ。

では……。と、豚肉の生姜焼きを貪り食べる。うまい、うまい。あっという間に平らげた。
しかし、特に体が温まったという感じではない(当たり前か)。検温してみると…。36度1分。食前よりもダウン。まあ、生姜焼きで下がったわけではないと思います。

お腹も満たされたし、そろそろちゃんと実験をしなくっちゃ。というわけで、妻にヘコヘコと頭を下げて、生姜スープをつくってもらう。

800ccのお湯に固形のコンソメ、塩、酒、それに生姜3欠片=約30g分を千切りにしてつくる。

妻の愛情がたっぷり詰まった特製生姜スープ。飲む前から心が温まります。まず検温すると、36度3分。生姜焼きを食べる前の体温に戻っていた。そして、スープカップに、約300cc分の生姜スープを注ぐ。スープの温度を測ると、82度。これを飲む。一心不乱に飲む。体がポカポカと温まってきた。

飲み終えて検温してみると……。36度4分。おお。アップした。とはいえ、微増だなあ。なんていうか、その……。もっとグイーンと上がってくれないかなあ。このくらいのアップじゃ、生姜の効果なのか熱湯の効果なのかわからないもんなあ。

次にトライするは、生姜湯。生姜をすりおろし、それを茶漉しに入れて熱湯を注いでつくる。使った生姜は、約60g分。生姜スープに使用した量の倍にしてみた。蜂蜜や砂糖を入れて飲むのが一般的なようだが、ここは生姜オンリーの効果を試すべく、そういったものは入れない。飲む前の体温は、36度3分。

湯気と共に、生姜のツンとした匂いが立ち込める。生姜焼きや生姜スープでは感じられなかった、生姜の強烈な存在感。これは期待できそう。生姜湯の温度を測ると、85度だった。では、まずひと口。

辛っ! なんか、思っていた以上に辛っ! 辛い物が苦手な筆者には苦行である。しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。これを乗り越えて、“ライター界の出川”的な体を張ってなんぼのポジションを手に入れるのだ!

約300ccの生姜湯を、なんとか飲みきる。胃がポカポカしているのがわかる。これが生姜の効果か。検温すると、36度6分。生姜スープよりも、大きく上昇した。

前述のとおり、この実験で得た数値が、さほど大きな意味を持たないことはわかっている。生姜湯を飲んだら、たしかに筆者の体温は上昇したものの、誰もが同じような結果となるわけではないかもしれない。あくまでも、筆者個人の実験結果にすぎない。正式なデータでも、なんでもない。

筆者は、無意味なことをしているのか。自問自答する。いや、しかしだ。生姜が体を温めることは広く一般的に知られていても、具体的にどれくらい体温を上げてくれるかまでは、知識や情報としてあまり知られてはいないだろう。ならば、たとえ個人的なデータであっても、少なからず意味はあるはずだ。この実験が終わったら、永谷園生姜部に入部させてほしい。永谷園さん、どうでしょうか。

などと思いつつ、最後の実験へ。試すのは、生姜湯。しかし、さっきの生姜湯とはワケが違うのです。生姜を一個丸ごとすりおろして、そのエキスをたっぷりと搾り取った生姜湯で実験してみることにしました。

ガシュガシュガシュ……。生姜一個丸ごとすりおろすだけでも、なかなか大変。手が疲れます。そして、たっぷりのすりおろし生姜ができました。量ってみると、約100g。これをすべて茶漉しに入れて、お湯を注いで。

ハイ、できました。生姜丸ごと生姜湯。尋常ではない生姜の匂いが部屋中に立ち込めます。ゴクリ…。うわあ…。コレ、飲んで大丈夫なんでしょうか…。でも。コレを飲むことで、寒さに震える日々を過ごすコネタ読者様のお役に、少しでも立てたなら。こんな幸せなことはございません。飲む前に検温。36度4分。ヨシ……。飲みます。

ズズズッ。ウワッ! 生姜の匂いがモワッと来る! というか、襲ってくる! なんだこりゃ! グハッ! ノドに辛味がっ! 辛いっ! というか痛いっ! ヒリヒリするっ! 涙目になりつつ、ガンガン飲む筆者。ブハッ。ハアハア……。飲み終えると、胸熱。というか、胃熱。ワキの下は、じんわりと汗ばむ。

検温、検温。ピピピッ。36度9分! やった! 自己最高を更新しましたよ! 

この実験以降、(適度な)生姜湯を愛用するようになった筆者。おかげさまで、今年の寒い冬もなんとか乗り切れました。今回の実験はあくまでも筆者の個人的な結果ではありますが、生姜が体を温めてくれることは間違いないようです。春はすぐそこ。だけど、まだまだ寒さ続く折、読者の皆様もどうかお体ご自愛なさってください。
(木村吉貴/studio woofoo)