京都の「キキダウンステアーズベーカリー」なるお店に、子持ちししゃも×クロワッサンという衝撃的なパンがあるらしいと噂を聞きつけ行ってみた。風情ある京福電鉄(嵐電)にゴトゴト揺られ、たどり着いたのは宇多野という静かな住宅街。


ししゃも×クロワッサンの異色タッグが京都のパン屋で売っている 大量買いするマダムも

ログハウス風のおしゃれな外観に、なるほどダウンステアーズ(階下)という店名通り、階段の上から下をのぞき込んだところ、ガラス扉の奥においしそうなパンが見えている!
ししゃも×クロワッサンの異色タッグが京都のパン屋で売っている 大量買いするマダムも

ドライフラワーなどが飾られた、雑貨屋さんのようにオシャレな店内。
ししゃも×クロワッサンの異色タッグが京都のパン屋で売っている 大量買いするマダムも

ベーコンエピやあんバターなどそそられるパンが並ぶ中、ふとこちらを見つめる視線……すると異色を放つルックスの「ししゃもパン」がそこに!!
ししゃも×クロワッサンの異色タッグが京都のパン屋で売っている 大量買いするマダムも

どーん!! まるでししゃもが寝袋にくるまって、すやすや眠っているかのよう。価格は120円とリーズナブル。カリッと香ばしく焼かれた塩気のあるししゃもと、サクサクのクロワッサンが渾然一体となり、ビールのつまみなどにも合いそうな味わい。


きっかけは店主の夕食


店主の中井俊則さんにお話をうかがってみたところ、6~7年前から販売しており、同店ではすでに定番となっているパンという。しかし、特に奇をてらって考案したわけではなかったとのこと。

「もともと魚好きだったため、夕食にクロワッサンとししゃもを食べていたところ、よく合うからつくってみよう、くらいの感じでした。おもしろいものをつくろう、という気持ちはなかったですね」

発売当初スタッフの反応はかんばしくなく、「気持ち悪い」「怖すぎ」「絶対売れない」と散々だったが、「おいしいから大丈夫」と続行。当時は大学生が多い西院に店があったため、強烈なヴィジュアルに若者が素早く反応したという。とはいえ1日1~2個しか売れない日もありつつ、次第に「一度、買ってみようかな」「食べてみたらおいしかった」と地道にファンを増やしていったのだとか。4年ほど前に年齢層が高めの宇多野に移転して以降は、一時売上げが落ちたものの、最近はメディアへの露出もあって再び脚光を浴びつつあるそう。私が店内にいる間にも、このししゃもパンだけを大量に買っていくマダムが!

製造の手順としては、8割ほど焼いて火を加えた子持ちししゃもをクロワッサンの生地でくるみ、さらにこんがりと焼きあげていく。
ししゃもの大きすぎず、小さすぎない、絶妙なサイズ感がおいしさのポイントとなっているとのこと。
「これより大きかったら、魚のクセが存在を主張すぎてしまうかも。ただ、魚(および魚卵)とパンがミスマッチということはないと思うんです。明太子フランスなども昔は珍しかったわけですが、いまでは普通になっていますしね」
というわけで、いわゆるインスタ映えやキワモノ的な存在ではなく、何度でもリピートしたくなる味、というのがやはり地元で長く愛されている秘訣のようだ。
ししゃも×クロワッサンの異色タッグが京都のパン屋で売っている 大量買いするマダムも

もともと同店では家族でデイリーに食べられるパン、をめざしており、食パンやサンドイッチなどが人気。ししゃもパン以外のパンも100~300円とびっくりするほど手頃で、そんなところにも店主、中井さんの思いがあらわれているのだ。

国内のパン消費量1位ということもあるのか、パン屋さんが非常に多く、そのレベルも非常に高いように思われる京都。クロワッサンといえばカフェオレとともにいただくおしゃれなパリの朝食……というイメージがあるが、パリジェンヌにもぜひこの京都で生まれた進化系クロワッサンを味わってほしいものですよね!?
(まめこ)