笑っちゃいけない、これはまじめな話です。
高校の先生が、なぜ「おしっこ」の研究なのか?
著者の金子大輔さんは中学・高校で生物を教えている先生。生物学のテーマは幅広いけれど、なぜ、よりによって「おしっこ」なのだろうか。
金子さんにこの本の執筆を思い立ったきっかけを伺ってみた。
「中学や高校で生物を教えているのですが、腎臓(おしっこ)の話はとても盛り上がります。おしっこには気になることや不思議に思うことがたくさんあるのに、思春期の中高生にとって、おしっこの話は恥ずかしく思いがち。
そもそも「おしっこ」って何だろう? やさしくいうと、体の中でタンパク質が分解されたときに出る「窒素系のゴミ」。ヒトを含め地球上のあらゆる生物はタンパク質でできているから、おしっこを出すことは地球に生きるすべての動物共通の営みといえる。
顔からおしっこを出すザリガニ、ドッグ・スタイルのカブトムシ
ヒトが1日に出すおしっこの量は約1000mlから1500ml、回数は1日平均5~8回程度だとか。
本書には人間だけでなく、いろいろな生物のユニークなおしっこ事情が紹介されている。
筆者がインパクト大と感じたのはザリガニで、なんと頭からおしっこを出す。理由は、ザリガニは後ろに進むので頭から出した方が都合がよいなど諸説あるらしい。
その他にも金子さんおすすめの注目おしっこシーンを聞いてみたところ、
「カブトムシの片足上げション、パンダの逆立ちションなどもおもしろいですね。
カブトムシはオスもメスも犬のように片足を上げておしっこをするとのこと。カブトムシを飼っている人はぜひ観察してみてほしい。
世界一まじめな「トイレの研究所」も発見
ヒトのおしっこと切り離せないのがトイレ。さすがトイレ先進国の日本、トイレについて専門的に研究している機関があった。その名もずばり「日本トイレ研究所」。
何をどのように研究し、どんな活動をしているのだろうか。
「トイレから、環境、文化、教育、健康について考え、すべての人が安心してトイレを利用できる社会づくりを目指して活動するNPO法人です。
確かに、災害時のトイレは命にかかわる問題。平均して1日6回、年間2200回以上お世話になる場所、健康な暮らしには快適なトイレが欠かせない。
やってみよう!おしっこ自由研究
知れば知るほど深いトイレとおしっこ。もっと調べたくなった人は、夏休みの自由研究で取り組んでみてはどうだろうか。
おしっこ研究所の課題例から一部紹介すると、
・自分のおしっこの色や回数を記録してみよう、食べたり飲んだりしたものによってどう変わるかな?
・いろいろな虫や動物のおしっこシーンを観察してみよう
・ホースを使っておしっこの飛び散り方を調べよう
・おしっこをモチーフにした芸術を探してみよう、意外に古い時代の方が多いかも
「うんこ漢字ドリル」が好きな小学生ならハマること間違いなし?
この夏、大人も一緒に、まじめに「おしっこ」に向き合ってみませんか。
(宮沢弥栄子)