【中証視点】中国人民元の自由変動相場制へ移行は不可避

2011年10月13日 10時50分

世界の金融市場が大きく変動する中、人民元相場は外部の圧力を受けながら上昇を続けている。中国証券報は、人民元相場は合理的な水準へと近づきつつあり、今後の上昇余地は大きくないと考える。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>世界の金融市場が大きく変動する中、人民元相場は外部の圧力を受けながら上昇を続けている。中国証券報は、人民元相場は合理的な水準へと近づきつつあり、今後の上昇余地は大きくないと考える。

◆改革以来30%の上昇

 中国は1994年1月1日、市場需給を基礎とする、単一的で管理下にある変動相場制を導入した。2005年7月21日に為替相場形成メカニズムの改革をさらに推進すると発表し、人民元の切り上げペースを速めた。05年7月の改革以後、人民元の対米ドル基準値は30.2%上昇、名目為替レートは13.5%、実効為替レートは23.1%ずつ上昇した。

 「為替の均衡はどこにあるのか、それは神のみぞ知る」。為替の均衡にいかに境界線を定めるかについて、国際的な定論はない。しかし外部との均衡や市場の情勢からみると、現在、人民元相場は徐々に均衡的なレベルに向かっている。

 外部との均衡の角度からみると、中国の国際収支の不均衡は大きく改善し、しかもその変化のペースは市場の予想を超えた。中国の海外経常余剰(経常海外余剰)の国内総生産(GDP)比率は2007年に過去最高の10.1%に達したが、2010年は5.2%に下がった。中国人民銀行(中央銀行)の易網副総裁は2010年に海外経常余剰のGDP比率を3―5年内に2009年の5.8%から約4%に下げる目標を示したが、この目標はその後1年足らずで繰り上げて達成。2011年上半期は2.8%になった。今後、経済構造の調整や人件費の上昇、レートの継続的な変動、都市化の加速、人口構造の変化につれ、この比率は低下を続けていくことが予想される。

◆今後の上昇余地は小さい

 市場の情勢からみても、人民元相場は均衡水準に向かっている。まず、ここ半年で人民元の米ドルに対するフォワード・プレミアムは1000以下に落ち込み、ここ最近は500以下に下がった。次に、香港の人民元ノンデリバラブル・フォワード(NDF)相場と国内の人民元相場の関係に最近逆転がみられた。

 中国証券報は、人民元相場は合理的な水準へと近づきつつあり、今後の上昇余地は大きくないと考える。ここで注目すべきは、最近の市場に2つの変化が表れていることだ。

 1つ目は、資金の国際移動の変動に対するリスクが高まり、海外の市場で人民元の先安観測がみられること。欧州の債務危機が深刻化する中、世界マネーの国際移動にリスクが大きくなっている。ドルが強く上昇し、多くの新興国に資金が流出する現象がみられる。世界経済や金融市場の変動が中国経済に与える影響は不可避。香港のNDF市場での人民元相場と国内の人民元相場の動きは現在、相反している。

 もっともNDF市場は人民元市場全体の状況を反映するものではなく、人民元の先安観測は一時的な現象とも考えられる。現在の中国経済のファンダメンタルズは良好な方向に向かっており、マクロ経済に「ハードランディング」のリスクはない。中国物流企業連合会とHSBCがそれぞれ発表した9月の購買担当者指数(PMI)は市場予想を上回った。特に、中小企業と輸出型企業の経営状態を示すHSBCが算出したPMIは2カ月連続で上昇し、景気判断の分かれ目となる50に達し、マクロ経済の運行状況に過度な懸念が必要でないことが示された。海外の投資機関が人民元を投げ売りする行為が人民元相場に与える影響も予想範囲内であり、また海外の投資機関には人民元相場の大きな流れを変える能力はない。人民元相場が均衡な水準に向かう課程にある中、これらはみな正常な変動に属する。総じて言えば、経済ファンダメンタルズからみれば人民元の大幅な下落はないと考えられる。

◆自由変動相場制へ移行は不可避

 2つ目は、今後は人民元相場の変動が大きくなり、人民元の外国為替市場における試練が増すと予想されることだ。現在の人民元の1日の許容変動幅は基準値の上下0.5%だが、自由変動相場制に移行する多くの国が許容変動幅を1%に設定し始めている。人民元の許容変動幅を拡大することは、人民元の一方的な上昇予想を減退させ、投機マネー流入による国内経済への影響を緩和させることができる。人民元が自由変動相場制に向かうためには避けては通れない道だ。

 人民銀行は当面は人民元の変動幅を拡大することはないと示しているものの、足元の人民元レートの1日の変動幅をみると、世界の金融混乱の影響を受けていることがはっきりと分かる。国慶節の大型連休明け、人民元のスポット価格は2日連続で変動幅が0.3%を超え、9月下旬の平均変動幅であった0.04%を大きく上回った。小幅に変動する市場に長く停留し続けたため、中国の銀行間市場参加者は一斉に損失を被った。市場参加者はこの変化にいち早く対応し、人民元為替制度改革に対する次の準備に着手すべきだろう。(編集担当:浅野和孝

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