【中証視点】中国貿易に世界から逆風、輸出突出すれば貿易摩擦も

2011年10月14日 13時54分

税関総署が13日発表した中国の9月の輸出額は前年同月比17.1%増の1696億7000万米ドルとなり、増加率は前月に比べて7.4ポイント低下した。輸出額も前月比では36億5000万米ドル減少した。専門家によると、中国の貿易は総体的に安定しているものの、外需の減退や国内のコスト高などの要因を受け、今後は楽観できない状態にある。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>税関総署が13日発表した中国の9月の輸出額は前年同月比17.1%増の1696億7000万米ドルとなり、増加率は前月に比べて7.4ポイント低下した。輸出額も前月比では36億5000万米ドル減少した。専門家によると、中国の貿易は総体的に安定しているものの、外需の減退や国内のコスト高などの要因を受け、今後は楽観できない状態にある。

 国家発展改革委員会・対外経済研究所の張燕生所長は、「今年第4四半期は、中国の輸出業により多くの不確定要素がみられるだろう」と述べた。

◆先進国の不振が影響

 税関総署の魯培軍副署長は、国務院新聞弁行室が開催した記者会見で、「足元では世界の経済成長にはっきりとした減速の気配が表れた。欧米日の三大先進国には債務問題や高い失業率、消費意欲の減退がみられる、日本は東日本大震災のマイナス影響が続いている。インド、ブラジルなどの新興国はインフレが加速し、経済成長に減速がみられる」と述べ、「これらすべてが中国の貿易活動の安定した速い成長に厳しい試練となる」と示した。

 さらに、「欧米の保護貿易主義への動きが、中国製品の輸出に障壁となり、国際市場の環境はより複雑化している。さらに人民元相場の変動や中小企業の経営難が、輸出業の成長余地を狭めている」と警鐘を鳴らした。

 税関総署の発表によると、今年1―9月の中国の貿易額は前年同期比24.6%増の2兆6774億4000万米ドル。うち輸出が22.7%増の1兆3922億7000万米ドル、輸入が26.7%増の1兆2851億7000万米ドルとなった。9月の貿易額は前年同月比18.9%増の3248億3000万米ドルだった。
 1―9月は貿易額の伸びが減速した。増加率を月ごとにみると、3月の31.5%から6月は18.5%に低下。8月に27.1%に回復したが、9月に再び18.9%に落ち込んだ。

 専門家によると、現在の情勢下で17%程度の輸出の伸びを確保できれば上出来といえる。税関総署の魯副署長は、昨年同期の貿易額の高い伸びは回復的な伸びだった。今年はそれをベースにさらに自律的に成長したものであり、伸びの鈍化は正常だ」と述べた。

◆世界は中国の内需に期待

 国家発展改革委員会・対外経済研究所の張所長は、「現在の世界情勢は楽観視できず、欧米日は需要、消費者信頼感、政策がいずれも欠けている。各国が中国に対し、輸出ではなく、需要を作り出すことを求めているため、中国の輸出の伸びが高過ぎると貿易摩擦を起こしやすい」と指摘した。

 1―9月は、中国の輸入価格の上昇幅が輸出価格の上昇幅を大きく上回り、輸入型インフレ圧力が高まって、貿易環境が悪化した。1―9月の輸入価格は前年同期比14.8%上昇、輸出価格は9.9%上昇した。輸出価格指数を輸入価格指数で割った交易条件指数は95.7%。輸入と輸出のバランスをとるためには、輸入より4.3%多い商品を輸出しなければならなかった。

 中国輸出入商品交易会(広州交易会)の広報担当を務める中国対外貿易センターの劉軍副主任は、「中国の輸出業の今後は楽観視できない」と断言する。「中国の貿易の風向計」と称される広州交易会はまもなく第110回が開幕する。バイヤーの申し込み状況をみると、今回はロシア、インド、ブラジルなどの新興市場のバイヤーが大きく増えている。欧米のバイヤー数には変化はないものの、人民元の先高観や外需環境の不確定さから、長期契約を結びたがらない可能性があるという。

 もっとも、交通銀行発展研究部の陸志明研究員によれば、中国は貿易黒字と輸出入の伸びがいずれも下降しているが、まだマイナス成長にはなっておらず、貿易環境はある程度悪化しているものの、輸出入全体の状況は正常な範囲内にあると判断でき、悪化しているとは言えない。

 ただ中国の輸出業は商品構造の転換ペースが遅い。機電製品やハイテク技術製品の輸出の伸びは全体の伸びを下回っており、輸出全体に占める割合が低下している。1―9月の機電製品輸出額は前年同期比18.2%増の93億3000万米ドルとなり、同じ期の全体の輸出伸び率より4.5ポイント低かった。

 税関総署は、今年通年の中国の貿易額を前年比約19%増の3兆5000億米ドル超と予想する。うち輸出が18%増の1兆8600億米ドル、輸入が21%増の1兆6900億米ドルとみている。

 税関総署の魯副署長は、「中国の輸入が堅調に伸び、貿易黒字が縮小していることによる世界経済のけん引作用が顕著に見られた」とアピール。1―9月は、輸入の伸びが輸出の伸びを4ポイント上回り、貿易黒字額は前年同期と比べて10.6%、12億7000万米ドル減少した。貿易額に占める貿易黒字の比率は4%となって、前年同期より1.6ポイント低下した。

◆新興国との取引拡大

 魯副署長は、「中国の輸出入がバランス良く成長している状況が変化することはない」との見方を示し、「中国の貿易環境は複雑で厳しい局面にあるが、中国製造業の中核的な競争力に短期間内に大きな変化が起きることは考えにくく、中国は世界第1の輸出国、世界第2の輸入国という地位を続けていく」と予想した。

 税関総署の統計によると、中国の貿易は欧米日への依存度が減り、新興市場との取引が大きく伸びた。1―9月の対欧米日貿易額の増加率は、対EUが20.9%、米国が17%、日本が18.2%となって、中国の貿易額全体の伸びをそれぞれ3.7ポイント、7.6ポイント、6.4ポイント下回り、欧米日の貿易額の比率は前年同期より2ポイント低い43.7%になった。一方で対アセアンは貿易額が26.4%増の2670億9000万米ドルとなって、日本を抜いて中国の第3の貿易相手国となった。(編集担当:浅野和孝

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