【中証視点】中国の外貨準備高が減少も、なおインフレ促す恐れ

2011年10月17日 15時28分 (2011年10月20日 00時12分 更新)

中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表した2011年第3四半期の金融統計報告によると、中国の9月末の外貨準備高は前月末から608億米ドル減少した。減少は1年4カ月ぶりとなる。増加ペースは鈍化したものの、3兆2000億米ドルに上る中国の巨額の外貨準備高に対する市場の懸念はなお残る。業界関係者は、外貨準備高管理について、構造調整とリスク管理を実現するために、「多角化」というキーワードを把握すべきだとの認識を示している。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>中国人民銀行(中央銀行)がこのほど発表した2011年第3四半期の金融統計報告によると、中国の9月末の外貨準備高は前月末から608億米ドル減少した。減少は1年4カ月ぶりとなる。増加ペースは鈍化したものの、3兆2000億米ドルに上る中国の巨額の外貨準備高に対する市場の懸念はなお残る。業界関係者は、外貨準備高管理について、構造調整とリスク管理を実現するために、「多角化」というキーワードを把握すべきだとの認識を示している。

◆投機マネーの流出とユーロ安が関係か

 人民銀が発表した統計によると、9月末の中国の外貨準備高は3兆2017億米ドルだった。7月と8月はそれぞれ前月末比で478億米ドル、172億米ドル増加したが、9月は608億米ドル減少した。単月ベースでの減少は、2010年5月に510億米ドル減少した以来、1年4カ月ぶりとなる。

 中国人民大学経済学院の楊瑞竜院長によると、世界の金融システムが債務危機などの大きな不確定要因に直面し、回避リスクが増えて、国際資本の新興経済体に対する投資熱が下がっている上、より多くの流動性が望まれる中、当面は一部の資金がこれらの新興国から流出する可能性がある。

 国家外貨管理局は9月末に発表した2011年上半期の中国国際収支報告で、「下半期の世界の経済成長の減速が、貿易成長と貿易関連の融資活動を抑え、また先進国の債務危機が世界の金融市場の動揺を一段と激化させ、短期間内はわが国の国際資本流動の不確定性が増す」と報告した。またアナリストよると、第3四半期はユーロの対米ドルレートが6.1%下落し、中国の外貨準備高におけるユーロ建て資産に為替損失が発生した可能性がある。これも外貨準備高が減った大きな原因だったとみられる。

◆巨額の外貨準備高に懸念残る

 全体をみると、中国の国際収支はこの数年「双子の黒字」を続けた。加えて世界金融危機発生後、国際流動性が大きく増して外貨純流入の規模が拡大し、中国の外貨準備高を速いペースで増加させた。2005年末の外貨準備高は8189億米ドルだったが、現在は3兆2000億米ドルに達しており、わずか5年余りで4倍に増えた。

 専門家によると、外貨準備高の増加は中国の対外支払い能力を増し、改革開放を促し、中国の国際的地位を高めることができるが、速すぎる増加と過剰な規模拡大は、外貨準備高の管理とマクロ調整にある程度の圧力を与える。

 交通銀行金融研究センターの陸志明アナリストは、「外貨準備高の増加は人民元の市場投入量を増やし、基礎通貨量の増加を招いて、足元のインフレを促しかねない」と指摘した。

 外貨準備高が速いペースで増えるにつれ、人民銀がそれに応じて市場に投じる人民元通貨の量が増えている。これは総量面でマクロ調整の執行力を制約するばかりでなく、構造上においてもマクロ調整の効果を削ぐ。人民銀の周小川総裁は以前、「外貨準備高はわが国が必要とする適正な水準を超えた。外貨の過剰な増加は、過剰流動性を招き、これを相殺するための人民銀の市場コントロール負担を増やしている」と述べた。

◆投資多角化原則にリスク管理強化を

 商務部国際貿易合作研究院の梅新育氏によると、中国の外貨準備資産の規模は莫大であるため、現有分を調整することは難しく、増加量をコントロールして外貨準備高の構造を改善するしかない。周総裁は今8月、「外貨準備高の管理は引き続き多角化投資を原則とし、リスク管理を強め、世界の金融市場の波乱が中国にもたらすマイナスの影響を最小限にとどめる」と示した。

 多角化は外貨準備高を管理していく上での原則の一つ。有効な多角化とは、戦略性を備えた資産の配置を指し、先見性を備えた計画とそれを実行する力が必要だ。国務院発展研究センター金融研究所総合研究室の陳道富主任は、「中国は実体経済を発展させるよう、未来の需要を見据え、外貨準備の真の価値を発揮させるべきだ」と述べた。

 外貨管理局の関係者によると、現在の内外経済・金融情勢の下で、外貨準備の経営リスクをコントロールするためには、まず「安全、流動、価値増加」の原則を堅持することを前提に、資産配置の多角化を進めると同時に、市場の状況に基づいた構造の見直しを進めることが必要だ。次に、通貨の種類や保有比率を合理的に確定し、リスク管理と内部コントロールを強める。3つ目に、多角化投資を行うための政策決定システムを整え、投資戦略の客観性、科学性、専門性を確保する。最後に、外貨準備の運営プラットフォームを整え、グローバル経営の道を拡大・改善することが求められる。

 アナリストによると、外貨準備高の増加に伴う圧力を根本的に解決するためには、経済構造の調整を推進し、内需、とりわけ末端消費の需要を拡大して、輸出業に依存してきた経済成長モデルを変革することも必要だ。(編集担当:浅野和孝

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