【中証視点】中国の成長減速わずか、12年前半に底打ちの見方も

2011年10月19日 10時51分

国家統計局は18日、今年第3四半期と9月の主要経済指標を発表した。第3四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比9.1%増加し、成長率は前四半期から0.4ポイント低下、3四半期連続で鈍化した。一方で、9月の鉱工業生産、消費品小売総額などの伸びは加速しており、中国経済のハイペースな成長鈍化への懸念が和らいだ。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>国家統計局は18日、今年第3四半期と9月の主要経済指標を発表した。第3四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比9.1%増加し、成長率は前四半期から0.4ポイント低下、3四半期連続で鈍化した。一方で、9月の鉱工業生産、消費品小売総額などの伸びは加速しており、中国経済のハイペースな成長鈍化への懸念が和らいだ。

 今後の経済情勢についてアナリストは、第4四半期は成長率が9%以下に落ち込む一方で、インフレ圧力は軽減すると予想。マクロ政策基調が短期間内に大きく変更されることはないものの、問題がみられる一部分野に限定して政策の微調整が行われる可能性があるとの見方を示している。

◆成長鈍化続く

 第3四半期のGDP成長率は9.1%と低下を続け、低下するペースも上半期より速まった。世界経済の回復の遅れによる影響で、第3四半期、とりわけ9月は貿易額の伸びが顕著に鈍化した。また国内で緊縮的な金融政策が続く中、マネーサプライと新規融資の規模が市場予想を下回った。一方で投資、消費は堅調に伸びた。

 中国国際経済交流センターの張永軍研究員は、「欧米の経済環境がおもわしくないことに加えて、人民元に対する切り上げ圧力が続いており、今後、外需の伸びが一段と減速する可能性が大きい」と指摘した上で、来年上半期は月間輸出額の伸びが1けた台に落ち込むと予想した。

 第3四半期は工業、投資、発電量などの指標も前年同期比増加率が上半期から低下した。しかし9月に一部の指標が好転したことは注目に値する。同月の社会商品小売総額は前年同期比17.7%増加し、中でもこれまで低迷が目立った自動車と建材消費の伸びが回復した。これは消費の安定成長にとって大きな意味合いを持つ。投資においては、1―9月の新規着工事業の計画投資額が前年同期比23.4%増加し、伸びが回復した。

 また9月の鉱工業生産額は前年同月比13.8%増加し、前月に比べて0.3ポイント上回る伸びとなった。申銀万国の李慧勇首席アナリストによると、GDP成長が鈍化する中で鉱工業生産額の伸びが加速した原因は、企業在庫の増加と関係がある可能性がある。政策の履歴効果(ヒステリシス効果)や輸出の急減速を考えると、今後の中国経済には「加速着陸」のリスクがなおある。今回の成長減速の底は来年の第1四半期から第2四半期の間に訪れるとみられる。

◆成長は四半期ごとに減速か

 今年の3四半期のGDP成長率はそれぞれ9.7%、9.7%、9.1%と徐々に低下した。ファンダメンタルズ面での影響や需要減少を受け、第4四半期は9%以下に落ち込む可能性があり、今年の経済成長は四半期ごとに減速する軌道を描くとアナリストは予想している。

 成長を鈍化させる原因には、前述した外需や流動性のほかに、不動産市況の継続的な落ち込みが与える投資への影響がある。統計局の発表によると、今年1―9月の全国の不動産開発投資額は前年同期比32%増加し、1―8月の増加率を1.2ポイント下回った。9月は不動産投資、新規着工面積、不動産販売収入の伸びがいずれも低下しており、この状態は第4四半期も続く可能性がある。

 国家統計局の盛来運報道官は国務院新聞弁行室主催の記者会見で、「経済成長の動力からみて、我が国のマクロ経済が安定した比較的速い成長を維持する可能性は比較的大きく、二番底を探る可能性は極めて小さい」と説明。一方で物価情勢については、「上昇の勢いは基本的に抑制できており、第4四半期は物価が下向く可能性は大きいが、なお油断できない状況にある」と慎重な見方を示した。

 今後の中国経済成長率について専門家は、第4四半期を8.5―9%、2011年通年を9.2%と予想。世界経済については、「成長鈍化はあるが、二番底を探るほどではない」と示した。

◆政策基調は変わらずか

 今後の経済政策基調についてアナリストは、経済成長と物価上昇率がともに低下している状態だが、経済成長の鈍化がより鮮明だとして、当面はマクロ政策に明らかな変更はないとの見方を示した。ただ局部的な微調整が行われる可能性は示唆した。

 海通証券もこのほど発表したリポートで、「インフレ水準は下がってはいるものの、なお高い水準にあり、金融政策の緩和は難しい」と報告する一方で、「中小企業や貿易企業の経営環境の悪化が注目されており、政策が微調整される可能性が強まっている」と指摘。中小企業の資金繰り難を解決するためには実質的な支援措置の発表が必要だとの考えを示した。

 銀河証券の潘向東首席アナリストによると、現在はマネーサプライの増加ペースが継続的に低下し、融資規模も縮小を続けており、「穏健な金融政策」の効果が集中的に表れてきた。インフレ圧力の緩和や景気減速を考慮すると、金融政策が一段と引き締めされる可能性は基本的に取り除かれた。今後の金融政策ツールは先見性をしっかり持って、均衡を見極める段階へと移り、インフレ水準が持続的に低下すれば、12月に預金準備率が引き下げる可能性もあるという。(編集担当:浅野和孝

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