【中証視点】地方債の自主発行を試行、「新たなリスク」の指摘も

2011年10月21日 11時14分 (2011年11月4日 00時12分 更新)

上海市、浙江省、広東省、深セン市の4地方政府が、「2011年地方債自主発行テスト」を国務院から認可された。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>上海市、浙江省、広東省、深セン市の4地方政府が、「2011年地方債自主発行テスト」を国務院から認可された。

 これに伴い、財政部は、2011年地方債自主発行試行に対する指導強化と自主発行のルール化を目的として、地方債発行のルールを定めた「2011年地方債自主発行試行弁法」を発表した。

 試行省市が発行する地方債について、同弁法には次のような詳細規定が盛り込まれている。

◆財政部が返済肩代わり

 ◇財務部が地方政府に代わり元本の返済と利息の支払いを行う◇2011年度の発行上限額は、同年度に限り有効で、次年度への繰り越しは認められない◇発行額は、3年物と5年物を各50%ずつとする◇金利は、国債金利と市場金利を基準に、単一金利制を採用して決定する――などだ。

 アナリストは、「今回の試行は、中央政府による地方債の代理発行から地方政府による自主発行への移行段階に相当する。債券発行の裁量権を地方政府に与えることで、地方政府は徐々に債務管理プロセスを計画するようになり、債務構造の合理化を図ることが可能となる。リスクの早期警報・コントロールの面でも、透明性を高めるなど、効果的で前向きな措置といえよう」と指摘した。

 中航証券の康海栄・固定収益研究員は、「今回の試行が、地方政府による債券発行制度の完備を狙ったものであることは間違いない。しかし、発行額決定の根拠となる算定方法は明らかにされておらず、市場に対する影響度は不透明だ」と話した。

 中信建投証券の黄文涛研究員は、「地方政府の融資ルートが、シンプルで明快な地方債発行という方法に統一されたことで、中央政府の集権および地方政府への制約がいっそう強化されるだけではなく、地方政府融資の市場化がさらに推進される。楽観的に見ると、地方債が全国規模で展開すれば、現在の『城投債(都市投資債券。地方の投資機関が都市インフラ整備を目的として発行する企業債)』に部分的または全面的に取って代わるであろう」との見方を示した。

◆地方債の透明化へ前進

 国海証券のアナリストも、「地方債の自主発行は、債務の透明性を高める効果がある。上海や広東などの省市は、地方自体の経済規模が全国トップにあり、金融市場が発達し、金融機関も極めて多いため、真っ先に試行対象都市に指定されたことは決して予想外ではない」と指摘した。

 注目すべきは、4省市に地方債の自己発行を認めたことは、中央政府がマクロコントロール政策を緩和する兆候ではないかと一部の投資家が憶測していることだ。

 多くの研究員はこれに対し、「発行上限額が、年初に計画された2千億元以内にとどまるのか、それとも追加されるのかを具体的に見なければ何とも言えない。金額が増えるというだけでは、これをマクロコントロール緩和への動きと判断することはできない」と口を揃えた。

 また、「4省市に地方債発行が認められたことは、地方政府が今年直面する償還圧力が小さくないことを示している。地方政府の起債を制約するシステムが完備されていない状況で、新たな穴を開けることは、将来に大きな憂いを残す。財政部が償還を肩代わりする方針も、市場が信用リスクを正しく評価することの妨げとなる」と指摘する専門家もいる。

◆将来に大きな憂いも

 社会科学院金融研究所の安国俊研究員は、この見方について、「プロジェクト融資や都市インフラ建設推進という点から見ても、あるいは金融リスク・財政リスク予防の点から見ても、地方債の自主発行は、地方政府融資を白日の下に晒し、市場化に向かう動力となる」と述べた。

 金元証券の王晶アナリストは「実際の操作運営面から見ると、中央政府は3年続けて地方債の代理発行を実施してきた。地方債の自主発行は、地方政府融資プラットフォームによる資金調達難問題をよりスムーズに解決するための仕組みだ。地方債の自主発行試行は、本来は正しい発展の道筋に沿うもので、避けて通ることは不可能だ」との見方を示した。(編集担当:浅野和孝

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