【中証視点】中国ハードランディング懸念後退も、まだ楽観は禁物

2011年10月25日 11時05分

HSBCが24日発表した中国の10月の中国購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)速報値は51.1と市場予想を上回った。5カ月ぶりの高水準となって、製造業活動の拡大と縮小の分かれ目である50を超えた。中国の工業生産が安定していることを示すものとなり、中国経済がハードランディングするとの市場懸念を大きく緩和させた。アナリストによると、国内経済の下振れ懸念からこのところ低迷しているA株市場に回復のきっかけをもたらす可能性があるが、本格的な反発基調に入るかはミクロ面でより多くのプラスシグナルが存在するかを確認する必要がある。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>HSBCが24日発表した中国の10月の中国購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)速報値は51.1と市場予想を上回った。5カ月ぶりの高水準となって、製造業活動の拡大と縮小の分かれ目である50を超えた。中国の工業生産が安定していることを示すものとなり、中国経済がハードランディングするとの市場懸念を大きく緩和させた。アナリストによると、国内経済の下振れ懸念からこのところ低迷しているA株市場に回復のきっかけをもたらす可能性があるが、本格的な反発基調に入るかはミクロ面でより多くのプラスシグナルが存在するかを確認する必要がある。

◆10月のPMIが「50」超える

 HSBCが発表したPMI速報値のうち、生産指数は51.7となって、6カ月ぶりの高値を記録した。HSBCが発表するPMI速報値は今年3月以降、大きく低下し、7月から9月までは50を下回った。7月が48.9、8月が49.8、9月が49.9と推移し、製造活動が縮小に向かっていることを示していた。先ごろ発表された中国の9月と第3四半期のマクロ経済統計では、第3四半期のGDP(国内総生産)の前年同期比成長率が9.1%となって、第1四半期の9.7%、第2四半期の9.6%からの減速が顕著だった。加えて厳しい不動産取引制限政策の下、一部の都市の不動産価格が下落し始め、市場では中国経済のハードランディングに対する懸念が再び強まっていた。今回、10月のPMIが市場予想を上回ったことは、市場に存在する経済成長鈍化に対する懸念をある程度和らげた。この「予測と現実の差」の出現により、24日の香港、中国本土株式市場では株価が大幅に上昇した。

 HSBC中国の屈宏斌シニアエコノミストによれば、10月は新規受注と生産額が伸び、PMIを景気拡大ゾーンに押し上げた。製造業の第4四半期の良好なスタートと、中国経済にハードランディングの懸念はないことを示したといえそうだ。

◆「衰退」懸念がA株の反発を制約

 予想を上回った10月PMIの速報値は投資家の国内経済の下振れ懸念をある程度緩和させたものの、単月のデータだけでランディングの成功を確定することはできない。マクロ政策がなお「安定を保ちながら引き締める」という状態にある中、資金供給の減速とと緊縮サイクルにある金融政策が逆転する可能性はない。

 国務院はこのほど零細企業向けの支援策を発表したが、具体的な施行時期は決まっていない。国内のインフレ率は7月に天井に達したが、その後のマクロ政策に対する微調整力は市場の期待よりも低いままだ。投資家の国内経済に対する下振れ懸念はなお存在しており、市場全体の非観的なムードが10月のPMI速報値の結果だけで完全に打ち消されることはないだろう。

 メリルリンチのアナリストによれば、経済成長とインフレ水準の両方が「衰退期」にある際の株式市況は債券市場に劣る。中国経済は9%以上の高い成長率を保っているが、成長率の鈍化が続いている。このため、国内経済が「衰退期」に陥るとの投資家の懸念が今のA株市場を制約する最大の要因になっている。

 もっとも、経済の下振れ周期は2年を超えないのが一般的。今の成長鈍化は2010年第1四半期から続いており、サイクルの面でみれば、終わりに近づいている。緊縮的な金融政策は22カ月に近付いているが、国内インフレ率は7月の6.5%以降、ピークアウトしている見方がほぼ確立されている。緊縮策の累積効果が見られる中で、インフレ率は今後加速度的に低下すると予想される。

 従って現在はマクロ政策の敏感期であり、また今後の経済成長の方向を見極める観察期でもある。国内経済の安定基調が確認できれば、長期にわたって株式市場の重しとなってきた要因がプラス要因へと逆転する可能性がある。その意味では、経済の先行指標であるPMIの上昇は投資家心理を改善させる作用を持つ。ただ、最終的な判断はミクロ面に表れるより多くのプラスシグナルを確認する必要があるだろう。(編集担当:浅野和孝

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