【中証視点】上海で不動産2、3割値下げ、中国全土に波及の恐れ

2011年10月26日 15時37分

上海の不動産市場では、竜湖集団、中海地産、緑地集団などの開発業者が物件を大幅に値下げし、値下げ前に該当物件を購入したオーナーがこれに抗議する事態に陥っているが、それでも不動産価格の下落に歯止めがかからない。多くの開発業者が資金を回収しようと値下げ戦略を打ち出している状態だ。売り手側と不動産オーナーとの衝突を教訓に公に値下げを発表せず、仲介販売業者を通じて購入希望者と暗に値下げを約束する業者が多い。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>上海の不動産市場では、竜湖集団、中海地産、緑地集団などの開発業者が物件を大幅に値下げし、値下げ前に該当物件を購入したオーナーがこれに抗議する事態に陥っているが、それでも不動産価格の下落に歯止めがかからない。多くの開発業者が資金を回収しようと値下げ戦略を打ち出している状態だ。売り手側と不動産オーナーとの衝突を教訓に公に値下げを発表せず、仲介販売業者を通じて購入希望者と暗に値下げを約束する業者が多い。その値下げ幅は2~3割が普通となっている。

◆水面下での値下げが広がる

 上海の不動産仲介業者は中国証券報に対し、「社名は公表できないが、竜湖集団、中海地産などの業者の顧客とのトラブルを受け、多くの開発業者が我々に顧客に一対一で値下げを伝えるよう依頼してくる」と話した。また、この業者が代理販売している嘉定区のある物件は、インターネット上で表示する団体購入価格が1平方メートル当たり5000元下がって同1万2500元となっているが、購入済みの顧客からの反発を避けるために、物件名は公表せず、購入希望者が物件を見たい場合は直接指定の場所で落ち合ってから物件の現場に向かうようにしているという。

 上海ではこのほど、竜湖集団、中海地産、緑地集団などがそろって物件を20―30%値下げした。竜湖集団の物件価格は1平方メートル当たり1万7000元から1万3000元、中海地産の物件は同2万1000元から1万7000元に下がった。竜湖集団が上海に持つ高級物件である「竜湖好望山」の一部は同2万7000元から1万6000元と約4割値下げされた。

 3社の大幅な値下げは該当物件を購入済みのオーナーから強い反発を受けた。このほど、100人近い不動産オーナーが、竜湖集団が値下げした物件の販売カウンターに集まり、模型を壊すなどの騒ぎになった。中海地産の物件でも同様の抗議活動が起こった。

 不動産情報を提供する中国房産信息集団(CRIC)の薛建雄アナリストによると、不動産価格の下落はペース、幅ともに市場予想を超えている。郊外の一般住宅だけでなく、市街地の高級住宅物件も価格が下がっている。

 不動産価格が堅調だと常に見られてきた上海での大幅値下げと、それによるオーナーとのトラブルについて業界関係者は、浙江省温州などでの高利貸し業を巡るデフォルト(債務不履行)問題を受けて市場の資金チェーンが緊張し始めたことなどが背景にあるとみられる。同時に大手開発業者が、需要が最も旺盛な上海から資金回収戦略を着手したことも原因に考えられる。竜湖集団の値下げ物件をみると、このほど発売した約300戸は値下げ効果もあって一気に270戸が売れ、最低でも2億5000万元を回収できる。CRICの周忻最高経営責任者(CEO)は、「不動産価格の適度な値下がりは正常だ。大幅に下落する可能性は大きくない」と述べた。

◆値下げの波が全国に拡大

 開発業者が全国各地で値下げ活動を行う中、上海、北京、杭州、成都、深セン、江蘇などでも購入済みオーナーが自身の権利を訴える運動が相次ぎ起きている。こうした動きは08年に大きく表面化したが、今年になってまたみられるようになった。上海の物件だけでなく、北京通州京貿国際城、無錫太湖国際社区、上海新里米蘭公寓、太倉景瑞栄御蘭湾などが程度は異なるもののオーナーからの抗議を受けている。

 不動産業の資金チェーンが緊張する背景の下で、値下げに活路を見出すことが開発業者の間で共通の認識になっている。万科企業、竜湖集団、中海地産、富力地産など多くの開発業者が販売確保のために物件を値下げし、これに中小開発業者が追随している。万科企業は7月に深センで値下げキャンペーンを打ち出し、同時に数十の都市でこれに連動した値下げ販促を行った。恒大地産はよりはっきりとした値下げ販促・現金回収戦略を打ち出し、富力地産は物件全体を10%値下げした。

 申銀万国のリポートによると、さまざまな資金調達ルートが制限される中で、開発業者の資金圧力は増加を続けている。9月に不動産企業が調達した資金は前年同月比17.4%増の7209億元だったが、前月比では8.1%減少した。そのうち、自社で調達した資金の比率が41.2%と過去最大となった。このほど打ち出された不動産信託業の管理強化策や、不動産市場への外資流入監督の強化策は、いずれも不動産企業の資金調達が難しくなり、資金繰りが悪化していることを反映したものといえる。

 1年で不動産が最も売れると言われる9月と10月は販売が低迷に終わり、第4四半期の市場は一段の冷え込みが予想される。中国指数研究院が発表した最新リポートによると、全国主要35都市の10月17日から23日までの1週間の不動産取引量は、28都市が前年同期比で減少し、8都市の減少幅が50%を超えた。そのうち、湖南省長沙は減少率が76.43%、江蘇省揚州も73.02%に達した。一線都市も減少し、深センの減少幅が65.03%と最大だった。

 不動産在庫も増え続けている。2012年上半期に新たに供給される物件は、北京、上海、広州、深センの一線都市で2902万平方メートルと予想される。供給量が急激に増える中、資金難の開発業者は、在庫と負債拡大の板挟みに会い、値下げ圧力が一段と高まるだろう。

 こうした状況下、多くの開発業者が発売予定物件の値下げ販売によって冬を乗り切ろうと画策している。恒大地産の幹部は、来年は土地購入を中断し、着工面積を減らして、投資コストを50億元に削減する計画を明らかにした。業界関係者は、現在個々に見られる値下げの動きが第4四半期は大きな波へと変わり、不動産価格を全国的に引き下げる道筋ができると予想した。(編集担当:浅野和孝

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