【中証視点】中国各銀行が巨額利益でわが世の春、企業は青息吐息

2011年10月31日 11時41分

第3四半期(7-9月)報告書の発表ラッシュも終わりに近づいている。各上場企業の同期業績データを見ると、今年上半期や昨年と比べると「立派」とは言い難い。しかし、上場企業の利潤が全体的に減少している状況のもと、銀行業だけは、営業収入や純利益のみならず成長率においても、再び「鶏群の一鶴(ずば抜けた業績)」を達成した。 (サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>第3四半期(7-9月)報告書の発表ラッシュも終わりに近づいている。各上場企業の同期業績データを見ると、今年上半期や昨年と比べると「立派」とは言い難い。しかし、上場企業の利潤が全体的に減少している状況のもと、銀行業だけは、営業収入や純利益のみならず成長率においても、再び「鶏群の一鶴(ずば抜けた業績)」を達成した。

◆15行の純利益総額、約6900億元を実現

 統計データによると、15の上場銀行が第3四半期報告書を発表した。15行の純利益総額は前年同期比31.6%増の約6900億元、成長率が30%を上回ったのは12行。純利益の成長率トップは民生銀行の64.42%、最小の中国銀行でも22%以上だった。

 5大国有銀行のうち、中国工商銀行の税引後利益(純利益)は1640億元、「最も多く稼いだ銀行」の座をキープした。第2位以下は順次、中国建設銀行(1392億700万元)、中国農業銀行(1007億7600万元)、中国銀行(1012億8400万元)、交通銀行(384億1600万元)。成長率ランキングでは、農業銀行が引き続きトップで前年同期比43.59%増。その他4行の成長率は20%から30%だった。

 株式制銀行の成長率は国有銀行をしのいでいる。南京銀行の28%を除き、その他株式制銀行の第3四半期純利益成長率は軒並み30%以上。上位3行は順次、民生銀行(64.42%)、深セン発展銀行(63%)、華夏銀行(44.42%)。その他は30%から40%の成長率となった。

 これまでと同様、銀行業の好業績を後押しした最大の動力は、純金利マージン(Net Interest Margin=NIM)だった。第3半期統計データによると、上場銀行15行の純金利マージン総額は1兆2900億元と、営業収入総額の78.9%を占めた。純金利マージンが営業収入全体に占める割合は、5大国有銀行が75.7%、株式制銀行が90%以上だった。

 統計によると、15行の第3四半期利息収入成長率(前年同期比)は18.82%から43.37%の間で、平均31.2%。これに対し5大国有銀行の利息収入成長率は軒並み30%以下だった。株式制銀行の利息収入成長率は非常に際立っており、興業銀行(27.6%)を除き軒並み30%以上。中国銀行、南京銀行、民生銀行は40%以上に達した。

 貸付額の増加に伴い利息収入が増加するという従来のパターンと異なり、第3四半期、貸付額成長率が減速している状況下で上場銀行の利息収入が増加したのは、銀行の金利設定力が高まった表れだという点は注目できるだろう。

 上場銀行15行の純金利スプレッド(純金利差)は軒並み、前年同期比拡大した。第3四半期、多くの銀行が上半期の上昇をベースとしてさらに伸びて2.5%レベルに達し、3%以上の株式制銀行もある。

 多数の銀行関係者によると、金利を引き上げても、銀行の資金コストも同時に上昇することはあり得ず、ローン収益が大幅に増加するという。さらに、貸付政策が緊縮化し、銀行の金利設定力が高まり、通貨緩和策実施時に低かった金利が大幅な上昇に転じたことで、各銀行の純金利スプレッドはぐんと拡大した。

 広東金融学院理財研究センターの趙立航主任は、「国内商業銀行の純金利マージンが増加したことは、通貨政策緊縮化のもとで銀行の金利設定力が高まったことと関係がある。中国人民銀行(中央銀行)は今年何度か利上げを実施したが、いずれも対称的な利上げ(預金金利引上げと同時に貸付金利も同じ分引き上げる)だった。貸付金利はすでに『市場化』されているため、貸付金利が高い銀行は、銀行貸付による収益が大幅に高まった」と指摘した。

 業界専門家は、「貸付緊縮策のもと、銀行が自主的に経営構造を調整し、零細小企業など高金利が取れる取引先を大々的に開拓していることが、一部銀行の金利差収入増の主因となっている場合もある。しかし、中国では預金金利の上限と貸付金利の下限が定められ、金利差が管理されている。全体的に見て、このような国内の状況が、銀行に隠れた巨額の『特別に認められた利益』をもたらす原因となっている」とコメントした。

 この「特別利益」こそが、世界の各企業の利益がここ数年、金融危機のダメージを受けて軒並み減少しているなかでも、金融業が依然「独走態勢」にある主な原因だといえる。上場銀行の業績を振り返ってみても、業績が全面的に好調だった2007年、薄暗い影に覆われた2008年、安定した業績を保った2009年と2010年と、過去数年ずっと、「日照りや大雨に関わらず順当な収穫」を得てきたことは明らかだ。

◆企業の金利支出は激増

 借入者と貸出者は、ゼロサムゲーム(参加者の得点と失点の和がゼロになるゲーム)の当事者で、一方が金利設定力を高めて利益を増やせば、もう一方は必然的に利息支払が増し最終的に利益が減る。

 発表された第3四半期業績報告によると、100社を超える上場企業の同期財務経費は1億元以上。一部企業は融資コスト上昇と金利支出増加のために大幅な業績ダウンとなり、損失が拡大した。以下は具体的ケースだ。

 吉電股フェンの1-9月赤字額は7115万1400元、財務経費は2億7100万元、前年同期の財務コストはわずか6680万8800元だった。永安林業の同期赤字額は1217万元、前年同期の純利益は108万3300元。同社は、業績悪化は金利支出の増加によるものだと説明している。吉林化繊の同期赤字額は1億3300万元と、赤字は引き続き拡大している。会社側によると、財務コストが前年同期比98%増、その主因は融資コストの大幅上昇にあるという。

 中小企業が融資コスト上昇から受けるダメージは、上場企業よりはるかに大きい。ある中小企業関係者は、「貨幣・貸付緊縮策が続く中、銀行の融資条件は次第に厳しくなり、中小企業向け貸付金利は、通常の基準金利より3、4割高く、年利8.13%から9.18%まで上がった。小規模の零細民間企業が銀行から融資を受けることは、極めて厳しくなっている」と話した。

 また、民間ローン金利は、驚くべき高さだ。広州交易会進出口(輸出入)有限公司の梁金勝董事長は、「融資難は、同業者間貸借レートの連れ高をもたらし、月利6%、さらには10%以上の金利まで登場している」と語った。

 このような状況で、経営方針を見直す企業も出始めている。輸出入取引を行っている大連天元建材進出口有限公司の陳麗君・業務経理は、「貸付金利が生産利益よりずっと高くなった今、大口受注でない限り、生産を一定期間継続し、労働者や物資を活用することは難しくなった。われわれには、このような状況に対処する術がない。わずかな輸出税が還付された後は、しばし生産調整に入り、状況を見た上で今後の経営方針を考える」と話している。(編集担当:浅野和孝

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