中国の銀行、預貸率急上昇「預金残高の減少傾向は想定外に深刻」

2011年11月1日 11時54分 (2011年11月4日 00時12分 更新)
 中国の主要銀行各行の預貸率が上昇している。インフレで預金人気がかげりを見せ、高利回りの財テク商品や民間貸出に流れることで、銀行の預金残高が減少傾向にあることが原因。中国当局が定める預貸率のレッドラインが75%で、2011年9月末時点で中国銀、交通銀、招商銀、民生銀、興業銀の五行がこれを上回った。

 預貸率は銀行の預金残高に対する貸出残高の割合。健全な銀行としての経営を考えた場合、ある程度高いことが望ましいとされるが、高すぎると貸出資金が逼迫(ひっぱく)していることになる。逆に低すぎると、貸出以外の収益に依存していることを示すものとなる。一般的に、75%を超えたからといって、すぐにその銀行に問題があることは示さないが、今回は中国当局の定めるラインを越えたことで注目が集まった。

 上述の各行は、いずれも年初と比べて貸出残高の伸びが預金残高の伸びを上回っている。招商銀、民生銀、興業銀を除く、その他の株式制銀行でも預貸率がすべて70%を超えた。一方で、中国銀、交通銀以外の国有メガバンクでは、工商銀(62.66%)、建設銀(65.14%)、農業銀(56.55%)と「安全圏」内を維持しているが、それでも年初と比べると上昇傾向を示しているという。また、農業銀の数値は逆に低すぎて、それはそれでリスキーとの指摘もある。

 「ここに来て、中国のほとんどの銀行では預金残高の伸び減少、あるいは残高そのものの減少傾向が加速している。そのため、預貸率の上昇が際立ち、今回注目されることになった。今回のデータが示す預貸率の上昇そのものはすぐにリスクになりえる、というものではないが、預金残高そのものや伸びの減少傾向は予想以上に深刻であることを示しているとは言える」(現地業界関係者)という。(編集担当:鈴木義純)

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