【中証視点】中国物価が連続減速も、豚肉安は一時的、反騰の恐れ

2011年11月10日 10時55分 (2011年11月13日 00時12分 更新)

国家統計局が9日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.5%上昇し、上昇率は9月に比べて0.6ポイント低下した。CPIの低下は3カ月連続。中国政府が実施してきた物価抑制策に効果が見られ始めてきた。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>国家統計局が9日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.5%上昇し、上昇率は9月に比べて0.6ポイント低下した。CPIの低下は3カ月連続。中国政府が実施してきた物価抑制策に効果が見られ始めてきた。

◆農産物価格の7割が低下

 これまでCPIを大きく押し上げてきた食品価格は、第4四半期以降、その上昇圧力が大きく緩和した。統計局のデータによると、10月の食品価格は前年同月比11.9%の上昇となり、上昇率は9月から1.6ポイント低下した。前月比では0.2%の上昇率で、9月に比べ0.9ポイント低かった。

 農業部、商務部、統計局は以前から、10月の食品価格が大幅に低下するとの予想を示していた。10月は中旬に入って、農産物の7割が値下がりした。そのうち、これまでCPIを大幅に引き上げてきた豚肉価格は、10月の前年同月比での下落幅が9月に比べて4.6ポイント低下した。その他の肉類、タマゴ類、水産物、野菜なども値下がりした。

 非食品価格をみると、10月は住居類価格が前年同月比4.4%上昇し、9月を0.6ポイント下回る上昇率だった。ただ、住宅賃貸価格は同3.6%上昇し、上昇率は前月に比べて0.2ポイント大きかった。

 季節の変わり目であり、新学期シーズンであり、国慶節の連休がある10月は通常、非食品価格に前月比での上昇率が年内で最も大きい月となる。だが今年は、石油製品価格の下落や国際商品価格の下落を受けて、全体の上昇率が抑えられた。

 経済の先行指標と言われる購買担当者指数(PMI)も低下傾向にある。10月のPMIを項目別にみると、購入価格指数が46.2となって、9月に比べて10.4ポイント低下。2009年4月以降初めて景気判断の分かれ目となる50を下回り、インフレ圧力のはっきりとした緩和を反映した。

◆豚肉価格は第4四半期も高位を維持か

 10月は食品価格と非食品価格がいずれも下落基調を示したことから、年内2カ月のCPIは大きく低下するとの楽観的な予想を示す市場関係者もいる。第4四半期にインフレ基調が下向くというのは市場の共通認識ではあるものの、豚肉価格が高い水準を維持し、CPI上昇率の速い減速を阻む可能性がある。

 国海証券の分析によると、最近の豚肉価格の下落は、一部の地域で豚の疫病が発生したことを受け、養豚業者が出荷を急いだことが大きく関係したとみられる。また6月と7月の豚の飼育頭数は大きく増えておらず、第4四半期も豚の供給不足が大きな程度で存在すると予想される。さらに、豚肉と飼料となる穀物との価格比が縮小するなか、養豚業者が飼育頭数を増やす意欲は弱い。肉類の消費が高まるシーズンを迎え、豚肉価格が安定する可能性は大きく、さらには再び上昇する可能性すらある。

 豚肉価格は今回のインフレの主要な動力だ。10月はCPIの上昇を1.12ポイント押し上げた。中国人民銀行(中央銀行)貨幣委員会の李稻葵委員は、今年のインフレの60%が農産物によってもたらされるもので、そのうち20%が豚肉価格の上昇が原因だとの見方を示している。

 「中国生猪預警網」の馮輝主席顧問は全国の養豚数について、「来年の夏まで不足が続く」と指摘した。豚の需給関係については、供給が不足している局面が改善されていないという見方が専門家の間で普遍的。このため、「今回の値下がりは豚肉価格の上昇に転換がみられたわけではない。下落は来年の春節以降だろう」との予想が一般的だ。

 国海証券の高勇標アナリストによると、冬季の需要最盛期がまもなく訪れることに加え、資源税改革の実施により、石炭価格に上昇圧力が高まっている。海外に目を向ければ、欧米経済が安定に向かい、コモディティ価格に反発が見られており、輸入性インフレ圧力が再び増してきた。コモディティ価格は今後、高位での変動が予想され、非食品価格の上昇圧力も大きく緩和されることはないとみられる。

◆物価コントロールは流通コストに照準

 温家宝首相は10月29日の国務院常務会議で経済政策について述べた際、「効力を持った措置を継続して物価水準を安定させる」との方針を示すとともに、「流通コストを確実に下げる」との考えを強調した。業界関係者はこれについて、流通コストの低下は物価を安定させる根本的な策であるとの認識を示した。

 10月以降に相次ぎ発表された各種の政策は、流通分野がその重点に置かれた。商務部は25日、財政部、中国人民銀行との連盟で、「第12次五カ年計画中に消費活動を拡大するための意見」を発表した。「インフレ回避、内需拡大、構造調整」という中央政府が示した計画を着実に履行し、また流通分野に照準を絞って価格を管理し、末端消費価格を下げることによって消費ポテンシャルを引き出す方針を明確に示した。

 また翌26日の国務院常務会議で、2012年1月1日から上海をモデル地として、運輸業とサービス業を対象に、現在徴収している営業税を増値税に試験的に変更することが決定された。上海で試行後、全国に拡大する計画とされる。こうしたすばやい関連政策の発表は、流通システムを改革する中央政府の決心を体現したものと言える。財政部財政科学研究所の劉尚希副所長は、「これらの政策はいずれも流通企業の税負担を減らし、それによって末端消費価格を下げるという適切な措置の一つである」と述べた。交通銀行金融研究センーの陸志明氏は、「インフレは今後2年間はコントロール可能だが、中長期的にはなおリスクが存在する」と指摘した。

 インフレ圧力が徐々に弱まるにつれて、市場では政策緩和観測が出てきている。国務院がこのほど「マクロ経済政策を適度なタイミングで適度に微調整する」との方針を示したことも、この観測に拍車をかけた。陸氏は「預金準備率は過去最高の水準にあり、さらに算出基準が拡大されたことによる影響が今後もしばらく続く。物価圧力が緩和したこともあって、年内に引き上げられることはない。利上げの必要性はさらに低い。年内の金融政策は穏健な基調が続く」との見方を示した。(編集担当:浅野和孝

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