【中証視点】中国経済成長、今後10年は8―8.5%へ減速必至

2011年11月14日 11時45分 (2011年11月17日 00時12分 更新)

12日に北京で開かれた「2011年財新サミット」に出席した専門家は中国経済について、成長率の鈍化が大勢になっているものの、「ハードランディング」することはないとの見方が一般的だった。投資の減少が経済に与える影響を小さくするため、都市化を積極的に推進すべきといった意見や、金融資本市場のメカニズムを完全なものにし、民間資本を合理的に誘導して潜在的なリスクを回避すべきといった意見も出された。(サーチナ&CNSPHOTO)

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 <中国証券報>12日に北京で開かれた「2011年財新サミット」に出席した専門家は中国経済について、成長率の鈍化が大勢になっているものの、「ハードランディング」することはないとの見方が一般的だった。投資の減少が経済に与える影響を小さくするため、都市化を積極的に推進すべきといった意見や、金融資本市場のメカニズムを完全なものにし、民間資本を合理的に誘導して潜在的なリスクを回避すべきといった意見も出された。

◆成長ペースは段階的に鈍化へ

 中国社会科学院の李揚副院長は、輸出が現在のペースで減少を続けるとすれば、国内総生産(GDP)が過去32年の平均成長率から1、2ポイント低下することは正常なことだ」と述べ、今後10年間は平均8―8.5%程度の成長率しか見込めないとの見方を示した。

 李副院長によれば、現在国内でコントール可能なのは消費需要と投資需要の2つのみ。消費に関しては、さまざまな消費刺激策が講じられてきたが、消費全体に占める実質消費の比率にほとんど変化がなく、物価要因を除けば今年の実質消費は減少した。このため長期的にみれば、経済成長は依然として投資活動、とりわけ都市化に伴う投資活動に頼らなければならず、今後の投資活動は工業化や都市化と連動させるべきだという。李副院長は、「都市化と関連した投資は今後、経済において一段と大きな役割を持つようになる。政府は投資面への資金投入を惜しんではならない」と述べた。

 国務院発展研究センターの劉世錦副主任は来年の中国経済について、「成長ピッチは徐々に減速するが、その過程はなだらかなものになる」との見方を示した。一方で、「内外環境の影響、特に大きな外部要因によって、短期間内に大きく減速する可能性もある」とし、成長率は今年に比べて低下するとの予想を示した。副主任によると、今年の成長率は9%以上、来年は8.5%程度になるという。また「安定成長を保つことが依然として中国の来年以降数年間の重要な政策目標になる」との認識を示した。

 劉副主任によると、経済政策が緩和的な方向に転換する過程では、短期的に成長を加速させることによるマイナスの影響は相当に大きい。このため、10%以上の成長を維持するリスクを回避する施策が必要だ。一方で、成長率が短期間で一気に減速することによるリスクもできる限り避ける必要がある。安定成長に向かう転換期には、経済成長の不安定性や脆弱性が大きく増すという。

 劉副主任は、「中国の当面のインフレ圧力を低く評価し過ぎてはならない」とも警告。「政府の統制下にある一部のエネルギー製品価格は見直しを必要としており、また価格制度改革に伴って価格を引き上げる余地も必要だ」と指摘し、「今後しばらくは高い物価水準への許容力を高めることが求められるだろう」との見方を示した。

 ゴールドマンサックス管理部中国副主席の哈継銘氏は、「中国経済が短期間内にハードランディングすることはない」と述べた。「中国経済には今後、小幅な下ぶれ、もしくは高止まりしていた製品価格の下落が見られる」との見方を示した上で、「こうした際は政策緩和期待が表れるのが常であり、実際にいくらかの微調整の余地はあるが、長期にわたって微調整が実施されるということは現実的ではない」と述べた。

中小企業向けの金融システムが必要

 中国社会科学院の李副院長は、「中国は資金が不足しているわけではないが、マネーが銀行に集中している。銀行は融資によってその資金を放出するしかないが、融資は債務に代わる。現在国内の一部みられる債務問題は、レバレッジ率の高さが最大の懸念だ」と述べた上で、金融資本市場を大きく発展させるべきとの考えを示した。店頭市場などの合法取引所の増設や、プライベートエクイティ(PE)市場の育成奨励、シャドーバンキング市場の管理強化をその具体的な方法として提案。民間投資や外資誘致も奨励し、中国の資金構造を改良すべきとの考えを示した。

 国務院発展研究センターの劉世錦副主任は、来年に注目すべきリスクとして、◇地方政府の投融資会社「地方融資平台」向け融資の償還期間が集中するリスク、◇不動産価格が大幅に変動するリスク、◇経済減速に伴い一部の業界が生産過剰となり、大幅な業界赤字に陥るリスク、◇世界経済が再び落ち込むことによってもたらされる国内経済へのリスク――の4点を挙げた。不動産価格については、上昇すればそのリスクはもちろん大きいが、短期間内に急速に下落する場合にもリスクがあると指摘した。

 ゴールドマンサックス管理部中国副主席の哈継銘氏は中小企業の資金繰り難について、「長期的に言えば、金融市場のメカニズムを改革して初めて、根本的に解決できる」と指摘。「銀行に対して中小企業への融資を増やすよう提言するべきだが、最終的にはやはり市場改革が必要だ」と述べた。また短期的な対策として、「財政資金の一部を中小企業向け融資の担保として投入できれば、銀行の中小企業向け融資への意欲を高められる」との提案を示した。(編集担当:浅野和孝

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