中国が「借金のカタ」にスリランカの有力港湾を99年間経営、インドと日本が連合して対抗―米紙

2017年12月15日 05時40分 (2017年12月17日 00時00分 更新)

スリランカ政府は9日、同国南部のハンバントタ港の経営権を中国国有系企業に譲渡する手続きを完了させた。中国のスリランカ進出を強く警戒しているインドは、日本とともにスリランカへの投資に注力するなどの動きを示している。資料写真。(Record China)

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米紙ニューヨーク・タイムズは12日付で、スリランカ政府が9日、同国南部のハンバントタ港の経営権を中国国有系企業に譲渡する手続きを完了させたと報じた。インドは中国のスリランカ進出を強く警戒しており、日本とともにスリランカへの投資に注力するなどの動きを示している。

中国がスリランカへの進出を本格的に始めたのは、2005年11月から15年1月まで続いたラジャパクサ前大統領の時代だ。西側諸国がラジャパクサ政権には深刻な人権侵害の問題があるとして距離を置いた時期に、中国は同政権と急接近してインフラ整備などの投資事業を進めた。

スリランカではラジャパクサ大統領に対して、中国資本絡みで進めた港湾や空港などのインフラ整備計画などで不正な利益を得ているとの批判が出た。ラジャパクサ大統領は大統領三選を禁止する憲法を修正して2015年1月の大統領選挙に出馬したが、汚職や独裁、極端な親中政策が批判され落選。対立候補のシリセナ氏が大統領に就任した。

シリセナ大統領は当初、中国企業絡みのインフラ整備を凍結する意向を示したが、2016年になると建設の再開を認めるようになった。ハンバントタ港については、17年7月に同行の株式70%を中国国有系企業の招商局港口に11億ドル(約1240億円)で売却する契約を結んだ。

ニューヨーク・タイムズによると、スリランカ国会は12月8日に同契約を認めることを採決し、政府は9日に関連手続きを完了させた。招商局港口が今後99年間にわたるハンバントタ港の経営権を取得することが最終的に確定した。

スリランカ政府は深刻な財政難を抱えており、インフラ整備などでは中国企業に対して80億ドル(約9020億円)以上の債務がある。ハンバントタ港の経営権譲渡は中国企業への債務返済に充てられる。構図としては、インド洋進出を強化する中国の思惑に乗った結果として返済に苦しむことになり、「借金のカタ」として自国にとって重要なインフラ施設である港湾の経営権を譲り渡したことになる。

スリランカ国内でも批判の声や抗議活動が発生していたが、ウィクラマシンハ首相は国会に対して、港湾地区に造られる経済ゾーンや産業施設は経済発展と観光客誘致をもたらすと説明した。

スリランカにはかつて、インドの衛星国のような側面があった。インドは領土問題などで中国とは対立関係にあり、中国のスリランカへの本格進出を警戒している。ニューヨーク・タイムズによると、インドは日本と共同でスリランカ東部の港湾を開発する動きを進めており、ハンバントタ港の近隣地区での空港建設に対する投資でもスリランカ側と交渉を始めた。

日本側の最近の動きとしては、河野太郎外相が1月上旬にパキスタンとスリランカを訪問する方向で調整しているとされる。さらにミャンマーとインドも訪れ、「質の高いインフラ」の整備について各国外相らと会談する方針だ。河野外相の南アジア歴訪には、中国の進出をけん制する狙いがある。(翻訳・編集/如月隼人)

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