<直言!日本と世界の未来>年末年始のテレビ番組で思ったこと=大宅壮一の「一億総白痴化」論を想起=立石信雄オムロン元会長

2018年1月14日 04時50分 (2018年1月16日 00時00分 更新)

年末年始はテレビに接する機会が多い。すぐれた教養・歴史・芸術番組も多く、じっくり堪能したが、お笑い芸人が登場し、たわいない会話を繰り返すシーンも多かったように思う。(Record China)

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年末年始はテレビに接する機会が多い。すぐれた教養・歴史・芸術番組も多く、じっくり堪能したが、お笑い芸人が登場し、たわいない会話を繰り返すシーンも多かったように思う。

中には目を覆いたくなるようなものもあった。大阪の豪遊をテーマとした番組。通称キャバクラでシャンパングラスを富士山をまねて積み上げて、その上から最高級のシャンパンを水のように流し込み、その模様をホステスがSNSで流し、興味を持ったお客が入店。2晩で1億円を水揚げたという。奢侈を煽るような内容で、バブル全盛時代の狂乱を彷彿とさせた。悲しく、すぐにチャンネルを変えた。

インターネットの普及に伴って、ソーシャルメディアがメディアの一つとして存在感を増している。企業の広告もインターネットに移行する部分も増えているという。番組制作費も減ってきているのが現状とのこと。こうした中で、「テレビは視聴率次第」とはいうものの、過度に視聴率を優先する風潮がありはしないか。そうなると勢い、視聴者受けのする過激な内容にならざるを得なくなると危惧する。

当然これら番組にはスポンサーがついているが、コマーシャルに出てくる商品が、いかに立派なものであっても、番組の内容によって、視聴者に、スポンサーの品位や信頼性まで疑われることにも留意する必要があるのではなかろうか。

かつて社会評論家の大宅壮一が「一億総白痴化」と表現、流行語となった。「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という意味合いの言葉だった。その後、テレビ業界関係者の努力で番組の質が向上、この言葉は「死語」になったと思っていたが、この言葉を想起せざるを得なかった。

もちろん激動の内外情勢を深く探った報道番組や、さながら世界旅行に出かけた気分にしてくれる楽しい番組も多かった。地球の起源、人類の歴史、人体の不思議、偉人伝なども見ごたえがあった。

こうした中にあって、ワイドショーやニュース番組の中には、相撲界の暴力事件や芸能人や有名人のゴシップを執ように追った番組も目に付いた。公共の電波を使用するテレビで、このような興味本位の内容が繰り返し放送されるのは、諸外国ではあまり例がないように思う。相撲界の問題点を取り上げるのはよいとしても、もっとほかに取り上げるべき重要な出来事があると見られるのに…。いささか偏り過ぎではないだろうか。

<直言篇37>

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。公益財団法人・藤原歌劇団・日本オペラ振興会常務理事。エッセイスト。