「不倫は文化」――この言葉が生まれたのは1996年のこと。タレント・石田純一が「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」との発言がその後曲解されてできた言葉だ。


不倫がテーマのドラマ『昼顔』(フジテレビ系)の流行や矢口真理の騒動など、10年程のサイクルで不倫は世間を賑わせるのかもしれない。“禁断の恋”と言い換えればどことなくロマンチックに思えるが……古来より人々の関心を集めるこのテーマは奥が深い。
不倫は10年に一度ブームが来る!? 芸能界の不倫ゴシップを振り返る
ドラマや映画の世界では華やかに描かれがちな不倫(写真はイメージ)

10年に一度来る!? 不倫がテーマの大ヒット作品
映画やドラマ、小説、音楽など、不倫を題材にした作品は数多く作られてきている。まずはこれらの作品を年代別に振り返ってみよう。

■80年代「金妻」
1980年代を代表する不倫ドラマと言えば「金妻」の略称でも知られる『金曜日の妻たちへ』(TBS系)シリーズだろう。核家族間の交流とそこに起きる不倫を題材にしており、“不倫”という言葉を広く一般的にした作品でもある。その時代を生きる女性の心の不安定さが上手く描かれ、共感やある種の憧れを生み大ヒットとなった。


■90年代『失楽園』
そこから約10年後の90年代後半には、不倫をテーマにした作品『失楽園』と『不機嫌な果実』がブームとなる。特に『失楽園』は社会的な大ヒットとなり、「失楽園(する)」(=不倫する)が1997年の流行語大賞に選ばれたり、映画や小説が海外輸出されるなど、当時世間を大きく賑わせた。
不倫は10年に一度ブームが来る!? 芸能界の不倫ゴシップを振り返る
劇場版・失楽園

『失楽園』原作者の渡辺淳一氏は、「不倫なんかをしても利益も何もない。もう危険なだけですよ。それでも懸命に愛し合っているんだから、それは純愛に決まっているじゃないですか」と当時のインタビューで語っている。バブル崩壊後の疲弊した日本で、皆が純愛とスリル、その相反する二つを求めたことから生まれた必然的なブームだったのかもしれない。


不倫ブームを呼んだ立役者は?
『軽自動車に乗る人妻はなぜ不倫に走るのか?』(溜池ゴロー/双葉新書 2013)によれば、90年代は軽自動車、ファミリーレストラン、ラブホテルという「不倫の三種の神器」が急増したこと、また前述した『失楽園』のヒット以降、美しいイメージが付いたことからブームが起きたとされている。
(関連記事:カリスマAV監督の考察『軽自動車に乗る人妻はなぜ不倫に走るのか?』エキサイトレビュー)

何だかゾワっとする話だが、この頃からアダルト業界でも既婚者女性による出演が増えだしたという。アメリカでは「景気が悪くなるとHIPHOPミュージックが盛り上がる」と言われているが、反社会的な何かが熱を帯びる点においては、同じ現象と言えるのかもしれない。

不倫への関心は芸能界にも……
離婚・再婚、不倫といった話の矛先はいつの時代も芸能界に向けられがちだ。不倫関連のスキャンダルが報じられた有名人は数多く存在する。例えば、鈴木保奈美はプロデューサーと長年不倫していたと当時、週刊誌などで報じられ、別れた翌年に妻子ある石橋貴明とできちゃった婚。ミスチルの桜井和寿は、97年に元ギリギリガールズの吉野美佳との不倫が報じられ、2000年に離婚し再婚した。
他にも松田聖子や、篠原涼子なども週刊誌に取り上げられて話題になった。

「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて、気がつけばそこにあるもの」(『名もなき詩』より)桜井さんの書く決して甘いだけではない歌詞は、こういった背景があってこそなのだろうか。

法律的観点から言えば、不倫は不貞行為である。後々様々なトラブルを引き起こさないためにも、ドラマや映画の世界に留めておくことをお勧めする。
(セイヒ)