先日、歌舞伎町のホテルで火災が起こり、女性客1人が死亡した。歌舞伎町で起きた火災というと、44名犠牲者を出した2001年の新宿歌舞伎町ビル火災事件が思い起こされる。

この火災は多数の犠牲者を出しながら、未だに決定的な原因が解明されていない。放火説を含め様々な憶測を呼んだが、徹底的な検証をされないまま、終息してしまった印象さえある。
そんな、2001年に起きた歌舞伎町ビル火災事件について今一度振り返ってみよう。

歌舞伎町ビル火災事件 発生当時の情報


2001年9月1日深夜、現場となったのは新宿歌舞伎町の雑居ビル「明星56ビル」だ。「明星56ビル」には当時、ゲーム店や麻雀店などが入居していた。
このビルの3、4階に火災が広がり、多くの犠牲者は、フロア中に蔓延した煙による一酸化炭素中毒が直接の死因とされている。

最初の119番通報は深夜1時頃、火災に気づいてビルから飛び降りた従業員の救急要請から。
消火活動は夜を徹して行われ、朝6時過ぎに鎮火された。

歌舞伎町ビル火災の出火原因は?


鎮火後の検証の結果、出火場所は3階踊り場のガスメーターボックスあたりとされている。ガスメーターはガス管から外れた状態で見つかっており、このことからガスに引火した火災と考えられた。
しかし、ガスメーターは壁に直立する形で見つかっており、引火による衝撃ではないことが推測され、放火犯による仕業という説も生まれたが、真相はいまだ闇の中。

多くの死亡者を出した原因は?


なぜこの火災で、多くの犠牲者を出すことになってしまったのか。このことについては、多くの問題点が明らかとなっている。
例えば火災報知器が、誤作動が多いという理由から電源が切られたり、改装によって火災報知器自体が隠れてしまっていたりしていた。
そして防火扉が閉まらない、避難経路が確保されていないなどの問題も、多くの犠牲者を出してしまった要因になってしまった。


実はこの火災のあった「明星56ビル」は、以前から消防署から防火管理についての改善を求められていたそう。しかしビル管理者側は改善を怠っていたのだ。そうした経緯もあり、2003年にビルオーナー、テナント関係者など6名が逮捕されることに。
また、これを機に消防法は大幅に改正され、より管理者側に防火対策が求められるようになっている。

あまり報道されなかった歌舞伎町ビル火災事件


44人もの犠牲者を出した大火災だったが、その後あまり報道されることはなかった。というもの、火災が発生したのは2001年9月1日。

火災からわずか10日後はあの「9.11」。アメリカ同時多発テロが起きたため、かなり早い段階で風化されてしまったのだ。