映画やドラマには当然ながら成功と失敗がある。映画での成功といえば興行収入が目安になるが、映画賞の受賞や観た人の評価なども成功の目安と言える。

その一方、ドラマでの成功の目安は“視聴率”である。たとえ視聴率が低い作品だったとしても、ドラマに関わった人々自身は「失敗だった」とは中々口にできないのだが、主演した本人自ら「失敗作」だと言い切ってしまったドラマがある。

「織田裕二主演のドラマ」=「ヒット作の宝庫」


織田裕二主演のドラマといえば、『踊る大捜査線』シリーズを筆頭に、『東京ラブストーリー』『ラストクリスマス』など高視聴率のドラマばかり。「織田裕二主演のドラマ」=「ヒット作の宝庫」と言っても過言ではないだろう。

織田裕二主演で大コケ そのドラマとは……


そんな織田裕二の主演ドラマの中で大コケにコケたものがある。それは1992年4月から6月までTBSで放送された『あの日の僕をさがして』である。
このドラマには、当時清純派女優として人気だった仙道敦子も出演。織田と仙道は映画『就職戦線異状なし』でもコンビを組んでいたこともあり期待も高かった。
他の共演者には大鶴義丹、保阪尚暉に加えてドラマ初出演の永井真理子と、当時人気のキャストを揃えて前評判も上々であった。

織田裕二が語る失敗の原因 「全てが中途半端だった」


このドラマは全11話が放映されるも初回から視聴率15%を割り込み、途中15%を超えることがあったものの全体を通して視聴率が悪かった。また最終回でも、ラスト5分間での大どんでん返しで視聴者を置き去りにするなど、お世辞にも好評とはいえないドラマであった。
織田は後日雑誌のインタビューで「空回りしたね、見事に。主役だから責任背負ってんだろうね。でも大コケ。
中身がないんだよね、なんか全てが中途半端で」
と語っている。

失敗の原因は織田が語っている通り、全てが中途半端だったことに尽きる。伏線を詰め込みすぎた結果、それらを回収出来ないままラスト5分の大どんでん返しを迎え、視聴者そっちのけになってしまったのだ。結果的に人気者頼りのドラマとなってしまったことは否めず、前評判とは裏腹に大ゴケしてしまったドラマであることは明らかだ。
しかも同時期に、安田成美・中森明菜のダブル主演ドラマ『素顔のままで』の大ヒットがあり、余計に目立ってしまうという不運も重なった。

昨今、面白いドラマが減ってしまったと言われているが『家政婦のミタ』や『半沢直樹』、『下町ロケット』など大ヒットしているドラマも多くある。
これらのドラマは人気者を揃えたからではなく、ドラマの物語自体が面白かったからこそ成功したといえる。
視聴者が本当に面白いドラマを求めているのは、当時も今も変わらない。
(篁五郎)

※イメージ画像はamazonより織田裕二 写真集「COLORS」(カラーズ)