本日13日、リオデジャネイロ・オリンピックのレスリング女子で4連覇を果たした伊調馨選手に国民栄誉賞を授与されることが発表された。受賞は2013年の長嶋茂雄、松井秀喜以来、23例目となる。

しかし過去には国民栄誉賞を打診されながらも、辞退した人物もいる。

イチローが国民栄誉賞を拒む理由


それは日本が誇るスーパースター、イチローだ。実はイチローは過去に、メジャー1年目で衝撃的デビューを果たしてMVPなどを受賞した2001年、メジャー最多安打記録を更新した2004年の計2回、国民栄誉賞を打診されたものの、断っているのだ。

一体、そのような名誉な賞を断るのはなぜだろう。しかしそこには、イチローらしい理由が隠されていた。
断った際の文言を見ると、2001年は「まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」、2004年には「今の段階で国家から表彰を受けると、モチベーションが低下する」としている。

あくまで通過点…イチローのプロ意識


こうしてみるとイチローが国民栄誉賞を辞退したのは、現役の間はつねに発展途上であり、ゴールにたどり着くことはないという、類稀なるプロ意識が理由である事がわかる。

このような意識は今年、イチローがメジャー3000本安打を達成した時も垣間見れた。アメリカのスポーツサイト『ESPN』が行ったインタビューで「メジャー3000本安打達成は意味のあるものか、ただの数字にすぎないものか」と問われたイチローは以下のように答えている。
「それ(メジャー3000本安打)が野球生活の最後に、ぎりぎりで目指している安打数であるなら、そこにたどり着くこと自体が目標になるが、僕の場合は、チームの一員として野球をしているうちに、自然に通過する数字にすぎません

ここからも分かるように、イチローにとってはメジャー3000本安打も通過点に過ぎず、決してゴールではないのである。かねがね「50歳まで現役」でプレーしたいと語っているイチロー。現役引退を迎えるその日までは、国民栄誉賞を受け取ることはないだろう。

※イメージ画像はamazonよりNumber(ナンバー)876号 イチロー主義 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))