しかし過去には国民栄誉賞を打診されながらも、辞退した人物もいる。
イチローが国民栄誉賞を拒む理由
それは日本が誇るスーパースター、イチローだ。実はイチローは過去に、メジャー1年目で衝撃的デビューを果たしてMVPなどを受賞した2001年、メジャー最多安打記録を更新した2004年の計2回、国民栄誉賞を打診されたものの、断っているのだ。
一体、そのような名誉な賞を断るのはなぜだろう。しかしそこには、イチローらしい理由が隠されていた。
断った際の文言を見ると、2001年は「まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」、2004年には「今の段階で国家から表彰を受けると、モチベーションが低下する」としている。
あくまで通過点…イチローのプロ意識
こうしてみるとイチローが国民栄誉賞を辞退したのは、現役の間はつねに発展途上であり、ゴールにたどり着くことはないという、類稀なるプロ意識が理由である事がわかる。
このような意識は今年、イチローがメジャー3000本安打を達成した時も垣間見れた。アメリカのスポーツサイト『ESPN』が行ったインタビューで「メジャー3000本安打達成は意味のあるものか、ただの数字にすぎないものか」と問われたイチローは以下のように答えている。
「それ(メジャー3000本安打)が野球生活の最後に、ぎりぎりで目指している安打数であるなら、そこにたどり着くこと自体が目標になるが、僕の場合は、チームの一員として野球をしているうちに、自然に通過する数字にすぎません」
ここからも分かるように、イチローにとってはメジャー3000本安打も通過点に過ぎず、決してゴールではないのである。かねがね「50歳まで現役」でプレーしたいと語っているイチロー。現役引退を迎えるその日までは、国民栄誉賞を受け取ることはないだろう。
※イメージ画像はamazonよりNumber(ナンバー)876号 イチロー主義 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))