高校中退でニート、転職も数えきれず。何も持っていなかった青年が、今、ウェブを中心にしたビジネスで大きな成功を収めている。

大成信一朗さん(32歳)の風貌からは、かつて「ヤンキー」「落ちこぼれ」だった面影を思い起こさせない。しかし、新刊JPのインタビューに対して、彼は自身の壮絶な半生を淡々と語った。

著者としてのデビュー作『裸の錬金術師』(サンライズパブリッシング刊)は、成功者のマインドを植え付ける強い言葉たちが収められた一冊。どのようにして本書は書かれたのだろうか?

(新刊JP編集部)

■高校を半年で中退、とび職やニートを経てビジネスで成功――まず、大成さんの経歴を教えていただけますか?

大成:今はウェブマーケティングやプロモーションを中心とした事業や、アフィリエイト関連のビジネスを教える塾を運営する会社を経営しています。

そこに行き着くまでは紆余曲折がありまして(笑)、実はもともと僕は落ちこぼれだったんです。大阪出身なのですが、高校も大阪の中でも底辺中の底辺の高校にしか進学できず、しかも入学半年で中退しました。

そこからとび職、ニート、そしてトラックドライバーとだいたい3年ごとに仕事を変えましたね。

――今の風貌からすると、想像つかない経歴ですね。

大成:当時は金髪でした。まさにヤンキーですよ(笑)。ニート時代はずっとネットゲームだったり、ゲームセンターでゲームをしていましたね。あとはアニメを見続ける生活でした。

トラックドライバーになったのは、家業の都合で「手伝え」と言われたから。でもそこも3年くらいで飽きてしまいました。

――次の仕事は何ですか?

大成:アニメを見ていたときから声優やナレーションの仕事に興味があったので、上京をして3年間声優の養成所に通いながら、派遣社員として通信関連の営業をしていました。営業はトップの成績も取れていたけれどしんどかった(笑)。それにちょうど声優も大手事務所に所属寸前までいったのですが、事情から所属できなくなってしまって、夢破れてしまったんです。

――営業の仕事はどうなったのでしょうか?

大成:所属が決まりかけていたので、やめてしまっていました。

だから一気に全部失った感覚です。そこで何もないし、ネットビジネスなら人と関わらずできるかなということで、ノリでビジネスを。アフィリエイトからスタートして、ビジネス教材だけで3400万円は投資しています。

――3400万円も投資したんですか!?

大成:そうです。ただ、勉強をすれば成果は出るものなので、売り上げを伸ばして、単月2億円の売り上げを達成しました。

――勝ち負けに対するこだわりは強いのですか?

大成:強いと思います。

特にゲームにはまっていた頃は、とにかく勝つことで自分の価値を見出したいという気持ちがありました。ニートで学歴もないわけじゃないですか。自分は何のために生きているんだろうという漠然とした疑問があって、やることがないからひたすらゲームをしていて、その世界の中で強くなると地位が確立されるわけですね。それでそのゲームの中で称賛される。居場所ができた感覚を持てました。

――それでも3年くらいで飽きてしまう。

大成:確かにそうなんですよね。仕事も含めて3年。会社経営は今のところ3年以上続いていますが、やることが変わるからでしょうね。最初はアフィリエイトからスタートして、通販事業もやりました。実績ができると飽きる性分なんです。

だからなるべく、同じルーティンの中にいないようにしていて、人生を通じてリスクを楽しみたいと思っています。

不安定が大好きです。

――安定を求める人が多い中で、自分から不安定の中に入っていくって珍しいですよね。

大成:珍しいと思います。昔は安定したい気持ちもありましたけど、資金0円からウェブでビジネスを立ち上げて、何百万何千万と回収できる術を知ってしまったので、リスクをかけてもすぐに復活できてしまうんです。不安定こそが自分にとっての安定かもしれませんね(笑)。

――『裸の錬金術師』を執筆した経緯を教えてください。

大成:ウェブでの集客と販売のノウハウを教えるビジネススクールを開いているのですが、そこで教えている受講生たちに贈る言葉を書き溜めていたんです。店舗を経営している人とか、コーチングをしている人とか、転売ビジネスを行っている人など、色々な人がいたのですが。

その文章がある程度溜まってきて本が出せるくらいになったときに、サンライズパブリッシングさんと関係ができて、本を出すことになりました。

――全体的に文章がポエム調ですよね。

大成:そうですね。メルマガだったり、ブログだったりというところで出す文章をまとめていったので。

――『裸の錬金術師』というタイトルに込めた思いは?

大成:裸は「0」という意味です。僕自身何もない人間で、それこそ学歴は高校中退、キャリアもない。お金もないところからスタートしていますから、まさに0から這い上がっていったと思っています。

錬金術は無から有を錬成するというところで、「価値のないものからお金を生み出す」という意味で使っています。どういう考え方をすれば、無から有を生み出せるのか。いろいろ方法はありますよね。その考え方が本書に詰まっています。

――人気マンガの『鋼の錬金術師』を思い起こさせますね。

大成:知っている方には100%それを指摘されます(笑)。似ていますよね。でも、実は僕は1巻しか読んだことがないんですよ。

――装丁のポーズもまさに。

大成:こちらは確かに意識しました(笑)。

(後編に続く)