2017年度の平均視聴率で、TBSがゴールデン帯(19~22時)で9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録し、民放2位となった。これは同局にとって11年ぶりの快挙で、局内は大いに沸いている。



 一方、そのTBSと同率でゴールデン民放2位につけたのがテレビ朝日だ。テレ朝は全日帯(6~24時)で7.4%、プライム帯(19~23時)で10.0%、プライム2帯(23~25時)で 5.4%を記録し、その3つの時間帯でNHKと民放を通じて2位となっている。そんな絶好調に見えるテレ朝だが、実は今「編成」の失態が続いているという。

「17年5月にスタートしたKAT-TUN・中丸雄一とオードリー・若林正恭をメイン司会に据えた『世界ルーツ探検隊』は、業界内でも評価が高まっていましたが、わずか3カ月あまりで打ち切られました。その後を受けて始まった『天才キッズ全員集合~君ならデキる!!~』も4カ月足らずで終了。最終回(2月5日)の前週のオンエアでは、19時台にもかかわらず4.7%という驚きの低視聴率を記録しました」(芸能記者)

 テレ朝の編成ミスの象徴ともいえるのが、1977年から40年続いた2時間ドラマ枠『土曜ワイド劇場』の打ち切りだという。
同枠は2017年4月の放送をもって終了となったが、長年のファンからは大ブーイングが起き、インターネット上でも物議を醸した。

「『土曜ワイド劇場』は土曜21時から日曜10時に移され『日曜ワイド』として再出発、『土曜ワイド劇場』の再放送だけでなく新撮のドラマも積極的に放送していました。しかし、同時間帯は『サンデー・ジャポン』(TBS系)や『誰だって波瀾爆笑』(日本テレビ系)、さらには『ワイドナショー』(フジテレビ系)がしのぎを削る激戦区。当然、視聴率は4~5%と低迷していました」(同)

 それでもなんとか放送を続けていた『日曜ワイド』だが、今年3月にひっそりと終了した。

「かつての『土曜ワイド劇場』のファンですら見向きもしなくなった枠ですから、打ち切りもまったく話題になっていません。ちなみに、4月から新しく始まったのは『旅サンデー』という週替りの旅番組。
ところが、これも初回(4月8日)は4.1%、2週目(4月15日)は5.4%と、目も当てられない数字です」(テレビ業界関係者)

●あと15年は「日テレの時代」が続く?

 一方、『土曜ワイド劇場』の後枠には、21時台は報道番組『サタデーステーション』、22時台は深夜から昇格した『陸海空 地球征服するなんて』がラインナップされている。『サタステ』は最近になってようやく視聴率2ケタに乗る週もあるが、『陸海空』は5~6%が関の山だ(ただし、4月14日は7.0%を記録)。一時話題を集め、ゴールデン・プライム帯進出の起爆剤となった総合演出・ナスD(友寄隆英氏)による無人島ロケも、毎回「完結編」「最終章」とうたいながら何週にもわたって引っ張り視聴者から飽きられている上、ほかの企画も迷走を続けているという。

「『陸海空』では、昨年10月28日のオンエアから、往年の人気番組『あいのり』(フジテレビ系)を彷彿とさせる企画『ラブアース』がスタートしました。男女6人が路線バスでベトナムを旅行するというものですが、“本家”が『ネットフリックス』で『あいのり Asian Journey』をスタートさせた影響からか、まだ初回の1回しかオンエアされていません。女性側のひとりとして出演していた元アイドリング!!!メンバーの長谷川るみは、すでに帰国し日本で仕事をしていることがブログなどから明らかになっており、もはや企画はお蔵入りになったものと思われます」(前出の芸能記者)

 さて、冒頭でお伝えしたように躍進中のTBSも、過去にやらかしている。
09年、社長以下の「これからは報道の時代だ」という大号令の下で19時台のバラエティ番組を全廃し、同年3月から『総力報道!THE NEWS』という平日帯のニュース番組をスタートさせた。ジャーナリストの後藤謙次氏をアンカーに、小林麻耶アナをメインMCに起用したが、裏番組にまったく歯が立たず、わずか1年で撤退したのだ。

「長年親しまれている番組を変えるというのは、視聴者から一定の拒否反応が出るなど、当然ながらリスクを伴います。それはテレビ業界の常識なのに、テレ朝はいまだに平気でやってしまう。最近何かと物議を醸すフジテレビにしても、編成が視聴者の気持ちを読めていないことは明らかです。このままいけば、視聴者心理を読むのが巧みで編成が緻密な日本テレビの時代が、あと15年は続くでしょう」(前出のテレビ業界関係者)

 政財界もそうだが、テレビ業界も「失敗から学ばない」と、痛い目を見ることになりそうだ。

(文=編集部)