ゴルフでホールインワンを達成したとウソの報告をして、保険会社から保険金100万円を騙(だま)し取ったとして3人の男が逮捕された。

名古屋・中警察署によると、詐欺の疑いで逮捕したのは愛知県一宮市の浅井政典容疑者(40)と岡安兼吾容疑者(54)、名古屋市中区の中村誠二容疑者(44)。

3人は共謀して浅井容疑者のホールインワンをでっち上げ、いともカンタンに保険会社を騙したようなのだ。

3人の男が「役回り」を決めて結託か

「ゴルファー保険」は、ゴルフのプレーに伴って発生しうる人身や物損など事故やゴルフクラブの盗難などを保障する損害保険。その内容のひとつが、ホールインワンやアルバトロスを達成した場合、プレーヤーが祝賀会や記念品、他のプレーヤーやキャディー、ゴルフ場へのご祝儀などの多額の「お祝い金」を保障する、「ホールインワン保険」。

一般に、保険料は「掛け捨て」方式で、保障期間が短く、保険会社によってはプレーする日だけ。また、保険会社によっては普通傷害保険やクレジットカードの特約として「ゴルファー特約」を付けられる傷害保険を販売している。

さらに、保険会社によってホールインワンやアルバトロスの認定基準が異なっていたり、ホールインワンの達成から保険の適用申請までが1か月以内などと制限を設けたりしていることもある。

そんなホールインワン保険だが、3人の男が結託すれば、そんなにカンタンに保険会社を騙せるものなのだろうか――。しかも「余罪を追及中」(名古屋・中警察署)というから、複数の保険会社が騙された可能性もありそうなのだ。

ホールインワンの認定基準について、ある損害保険大手は2018年1月18日のJ‐CAST会社ウォッチ編集部の取材に、「ホールインワンの認定は、多くの場合はキャディーなど、客観的な第三者の現認によります。同伴の競技者の証言は認められず、セルフプレーの場合では、たとえば造園業者や、一緒にプレーしている組と無関係の前後のプレーヤーなどの目撃証言が必要になります」と説明。

また、ある損害保険代理店によると、保険会社ではお互いにホールインワンを達成したプレーヤーや一緒にプレーしていた人、達成したゴルフ場などの情報を共有しているという。今回の「ホールインワン詐欺」の容疑について、「あまり聞いたことがないですね」と話す。

名古屋・中警察署によると、今回の事件発覚のきっかけは、保険会社からの情報提供だったという。「浅井容疑者がホールインワンを達成したと請求があった2014年7月8日の事案が偽装だった疑いが強まりました。他にも似たようなケースがあり、捜査中です」と話す。

3人の役回りは、保険契約者で受取人は浅井容疑者で、中村容疑者は浅井容疑者と同じ組でプレーしていた。岡安容疑者が目撃者だった。

1月18日現在、岡安容疑者は容疑を否認しているが、ほかの2人は容疑を認めている。