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縮小するクリーニング店 打開策は?

2018年1月24日 07時00分 (2018年1月25日 07時51分 更新)

クリーニング店の市場が縮小している

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 現在、日本には約10万のクリーニング店がある(2017年3月末時点、厚生労働省調べ)。10年前は14万店舗、20年前は16万店舗だったので、ここ10年で4割も減った計算になる。

 クリーニングに対する家計の支出も大幅に減少している。2人以上の世帯の場合、1996年度には年間約1万6000円のクリーニング支出があったが、2016年度は6600円まで落ち込んだ。家計の支出に占めるクリーニング代の比率も半分に低下している。この間、クリーニング料金はほとんど変化していないので、クリーニングに行く頻度や、出す衣類の数が減った可能性が高い。

 近年、単身者や共働き世帯が増加しているので、クリーニング店の需要が拡大してもよさそうなものだが、現実は逆だ。クリーニング店を利用しなくなっているのは、家計収入の推移と密接に関係している。

 日本社会はここ20年で急速に貧困化が進んでおり、平均的な世帯収入も減少が続いてきた。家計が苦しくなる中で、不要不急ではないクリーニングへの支出を絞ったとの仮説が成り立つ。利用者に対するアンケート結果はこの仮説を裏付けている。

 日本政策金融公庫の調査によると、約2割の人がクリーニング店を全く利用していない。利用している人の中でも3割が「半年~1年に1回」となっており、「4~5カ月に1回」の人を加えると約半数に達する。

 利用していない人の中で、これまでに1回も使っていないという人は14%しかなく、残りはかつて利用していたものの、その後利用しなくなった人たちだ。

 クリーニング店を利用しない理由としては、「クリーニングが必要な衣類を着ない」「自分で洗濯するので必要ない」「節約のため」といった回答が多くなっている。自分で洗濯する人は高齢者が多いことを考えると、勤労世帯の大部分がクリーニングの必要がなくなったか、もしくは節約のためということになる。

 「クリーニングが必要な衣類を着ない」ことについては、職場のカジュアル化が進んだことが最大の要因と思われるが、もしかすると非正規社員へのシフトなど職場環境の変化(在宅勤務など)が関係しているかもしれない。

●コインランドリー市場はファミマの参入でさらに拡大へ

 クリーニング店への支出が減少する一方、コインランドリー市場は拡大が続いている。2014年3月末時点における施設数は1万6693店となっており、10年間で3割以上も増えた。個人投資家の間では、コインランドリーは利回りのよい投資案件と見なされており、投資をアレンジしたり、フランチャイズ展開する企業も増えている。

 こうした状況を自社のビジネスに取り込もうとしているのがコンビニのファミリーマート(以下、ファミマ)である。同社は昨年11月、家電メーカーのアクアと提携し、コインランドリー事業に進出すると発表した。実証実験を行うため今春をメドに1号店を関東地域に出店するという。

 ファミマでは、コンビニとコインランドリーを融合させた新しい店舗デザインを検討している。コンビニに行く際に洗濯物も持ち込み、洗濯が終わるのを待っている間に、店内で買い物をしたり、イートインスペースで食事を済ませるといった利用を想定している。主に駐車場のある店舗が設置の対象になるという。

 コンビニの店舗数は極めて多く、他の業態とは桁が違う。ファミマは全国に約1万8000店舗を展開しており、駐車場のある店舗は約1万2000店舗となっている。この1割にコインランドリーが設置されただけでも、コインランドリー業界では圧倒的な事業規模となる(ちなみに同社は19年度に500店舗にコインランドリーを設置するとしている)。

 もっとも、コインランドリー単体での収益はそれほど大きいわけではない。先ほど、コインランドリー事業に参入する個人投資家が増えているという話をしたが、競争は激化しており、投資利回りは年々下がっているともいわれる。

 コンビニにとってコインランドリーは集客ツールなので、単体のビジネスより採算ラインは低く設定しているはずだ。ファミマに続いて他のコンビニもコインランドリーに参入してきた場合、店舗数が一気に増えてしまい、過当競争に陥る可能性が出てくる。

●超高級店かリユース品のクリーニングか

 こうした状況においてクリーニング店にはどのような展開があり得るのだろうか。1つ考えられるのはECサイトと連携した業務用クリーニングと、もう1つは高付加価値型クリーニングである。

 業務用クリーニングついては、アパレル業界がネット通販の台頭で激変期を迎えていることでチャンスが生まれている。

 米Amazon.comは、無料で試着ができたり、AI人工知能)が似合う洋服をアドバイスする新しいサービスをスタートさせている。日本でも「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、自動的にサイズを測定する採寸スーツの無料配布を開始するなど、店舗に依存しない画期的なサービスが次々に登場している。

 ネット企業によるこれらのサービスは月額利用料制と相性がよく、月額固定料金でシーズンごとに自分に合った洋服が送られてくるサービスも期待される。

 理屈の上では、新品のみならず、返品された新古品、さらに古着まで、あらゆるカテゴリーの洋服が同じプラットフォーム上で行き来することになり、洋服を巡る巨大なシェアリング経済圏が出没する。そうなってくると“大量の業務用クリーニング需要”が発生するため、既存のクリーニング業界はこの部分にシフトする選択肢があり得る。

 また、洋服が購入するものから利用するものへとシフトするならば、高級ブランドを手軽に着る機会も増える。店舗型のクリーニング店は、高級ブランド向けの専門クリーニング店に衣替えすることになるだろう。ブランド品などにフォーカスし、顧客の家までクリーニングする衣類を取りに行くスタイルが標準化しているかもしれない。

 クリーニング店の今後の展開に期待したい。

(加谷珪一)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

コメント 7

  • 匿名さん 通報

    日本国民の95%とほとんどを占める中小零細企業勤めの人は大企業とは違って収入減少で節約を強いられている実態が出ただけ。企業のつくる製品が値上がりし多くの国民が物を買わなくなった。

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  • 匿名さん 通報

    家庭用洗濯機の性能も向上してるし被服関係も洗える物が多くなったからねー

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  • 匿名さん 通報

    商店街のクリーニング店では仕事帰りにもう閉まっているので、もっぱらスーパーのクリーニングコーナーです。もっとも今、クリーニングに出すのはフォーマルウェアだけですが。

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  • 匿名 通報

    確かに、100%ウールとかスーツとか礼服くらいしか出さね〜な〜。普段は襟のあるもの着ないし(会社ユルいから)

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  • 匿名さん 通報

    スーツ着用の仕事が少なくなってきているのも一因でしょ。それと難癖モンスターとかのせいで廃業させられたり。

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