隣の人の声が大きすぎて、対応中の電話が聞き取れない。パソコンのキーボードを力いっぱい叩く音が気になって、仕事に集中できない。
マイナビニュースの調査によると、「職場で周りの人の音が気になったことがあるか?」という質問に対して、「ある」と答えた人は55.5%でした。冒頭に述べた音に加え、他には舌打ちやため息、鼻をすするなどの体の音、ボールペンをカチカチする音、乱暴な音、話し声や笑い声などが挙げられています。
「音」ハラスメント、音に無頓着な本人は気付いていないかもさてここで注目すべきは、今挙げた音はすべて本人に「悪気はない」ということです。つまり音の張本人は、たいていの場合、自分の音が周囲にとって迷惑であることに恐らくは気付いていません。
電車でイヤホンから音漏れしていても平気な人や携帯で話す声が必要以上に大きい人を見かけることがありますが、このように普段の生活でも音に対して無頓着なタイプの人が無自覚にやってしまうのが「音」ハラスメントです。
問題は、プライベートな空間で「音」をまき散らしているのとはワケが違うということです。職場は、仕事をする場です。そこで共に働く人々への配慮があってしかるべきです。そこに気が付かないのは、社会的に未熟であると言わざるを得ません。
「音」もひとつのマナー。
ただし、この場合本人は意識してやっているわけではないケースがほとんどですので、上司や先輩がきちんと教えてあげるのが良いでしょう。もしかするとこれまでに誰からも、「音」が大きいと注意してもらえなかったのかもしれません。
まずは自分が出す「音」の大きさを自覚してもらいましょう。
精神的な苦痛を与えることを指す「ハラスメント」。この言葉が最初に注目されたのは、1980年代後半の「セクシャルハラスメント」でした。元々は、職場で力を持つ人による「弱いものいじめ」といった意味のハラスメントが、今では様々な局面で様々な形態のハラスメントが存在、その数は30種類を超えるとも言われます。
なんでもかんでもハラスメントと騒ぎたてる風潮はいかがなものかと思いますが、その為に仕事に集中できず「働きづらい」と感じるなら、何らかの改善策を考えるのは当然です。
それと同時に考えたいのは、自分も誰かに対してのハラスメントになっていないかどうか。スムーズに仕事が進むよう、相手を敬い気遣うのがビジネスマナーです。つまりマナーは思いやりです。ハラスメントを考える時、それは自身のマナーを振り返る良い機会なのではないでしょうか。
(城戸 景子/イメージコンサルタント・マナー講師)