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なぜ多くの企業が「旭川市」を選ぶのか

2016年12月24日 08時02分 (2016年12月25日 07時13分 更新)

なぜ多くの企業が「旭川市」を選ぶのか(写真=The 21 online) (ZUU online)

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■「最北の中核市」旭川市の強みとは?

安倍内閣の地方創生の流れもあり、全国各地の自治体が企業誘致にしのぎを削っている。だが、それよりはるか前から企業誘致の重要性を認識し、地道な活動で多くの企業の誘致に成功している街がある。

それが北海道旭川市だ。規模がそれほど大きいわけでもなく、日本の北の端という立地にもかかわらず、人気を集めている秘密は何か。元パイロットという異色の経歴を持つ旭川市長の西川将人氏にお話をうかがった。

西川将人
1968年、旭川市生まれ。北海道大学工学部を経て日本航空入社。99年に退社。2006年に旭川市長に立候補し当選。現在、3期目を務める。

■なぜ「旭川人」は評価されるのか?

北海道第2の都市、旭川市。旭山動物園で知られるこの街だが、一方で「企業誘致のモデルケース」としても知られつつある。西川氏が市長になってから本格的な企業誘致の取り組みを始め、平成23年度以降だけでも新規で12社が進出。新規雇用は1200名にも上る。

「進出企業は食品から医療、ITなど多岐にわたります。また、データセンターやコールセンターなどのニーズも多いですね。平成23年度からは最大2億6000万円にもおよぶ助成など、かなり思い切った施策を展開しましたが、その効果も大きかったと思います。ここまでの規模の助成は北海道内はもちろん、全国的にもそう多くありません」

だが、助成以上に評価されている点がある。それが「旭川人」への評価の高さだ。

「旭川人の特長をひと言で表わすと、まじめでコツコツ。だから企業の研修にも真剣に取り組み、すぐに仕事を覚えてくれるという評価を得ています。また、人材の確保はどこの企業にとっても大きな問題ですが、まじめな旭川人は離職率も低い。

市もまた、人材育成のための様々なサポートをしています。たとえばコールセンターオペレーターや製造業のリーダー育成プログラムを、進出企業と共同企画したりもしているのです。

来ていただいて終わり、というのでは無責任。移転企業は一緒に街を盛り上げていくパートナーだという意識で、できることはなんでもやる、という万全のサポートを心がけているのです」

■「ちょうどいい」大きさだからこそのメリット

すぐ近くの札幌市など、旭川市より規模の大きい都市はいくつもある。同規模で首都圏、関西圏により近い都市も多い。人口約34万で、日本の北の端に位置する旭川は不利に思えるが、西川氏によればそこがむしろ「強み」になるのだという。

「大きすぎず、小さすぎずという『ちょうどいい』規模感。それが旭川の特長であり、強みでもあると私は思っています。

旭川には医療機関や教育機関が一通りそろっている一方で、大都市に比べて街がコンパクトなので、通勤にかかる時間も長くて30分ほど。住環境も都会に比べて圧倒的にいい。だからこそIターン、Uターンも多く、人材も確保しやすいのです。

また、このくらいの規模だと企業同士が連携しやすいというメリットもあるようです。たとえば、食品工場で出た野菜残渣を地元企業の技術により堆肥化する連携なども進出の際に生まれています」

また、アクセスが悪いというのもイメージ先行だという。

「東京へは旭川空港から一日7往復の航空便が出ており、所要時間は100分。冬場は雪の影響があるように思われがちですが、飛行機の就航率は年間99.8%に上ります。雪はもちろん降りますが、除雪もしっかり行なっており、道路や鉄道など交通がマヒするようなことはほぼありません。

むしろ旭川は『災害が少ない』ことが評価されているのです。政府の地震調査研究推進本部が発表した資料によれば、今後30年間の震度6弱以上の大地震発生確率は、東京47%、大阪55%に対して、わずか0.38%。あくまで確率の話ではありますが、そこも大きな強みです」

むしろ、北海道の中心部に位置するメリットが大きいという。

「北海道のどこへも行きやすいのはもちろんですが、北海道各地から新鮮な農産物が集まるなど、物流の集散地であることもメリットです。

たとえば旭川に工場を新設したある食品メーカーは、以前は工場のある静岡まで北海道内各地からジャガイモやカボチャなどを取り寄せていましたが、旭川に進出し、これら原材料が集めやすく、より新鮮なうちに加工することができるようになり、味の評価も高まったと聞きます。作った商品もスムーズに関東圏に輸送することができるので、質の高い商品が全国チェーンのコンビニエンスストアに届けられているのです」

■グローバルな視点から見た旭川の強みとは?

さらに、その視点をグローバルにまで広げたとき、見える世界は大きく変わってくる。

「旭川の緯度はカナダのトロント、イタリアのミラノとほぼ同じ。ロンドンやパリといった大都市はさらに北。北のはずれにあるというのはあくまで、東京から見た視点にすぎません。

実は旭川市には複数のタイヤメーカーやブレーキメーカーがテストコースを設けています。

広い土地が確保できるということもあるのですが、ヨーロッパ基準にも対応できる気候でテストすることに意味を見出していただいているからです。大手空調メーカーのラボもあり、寒冷地であることがむしろメリットとして生きるのです」

旭川市の魅力を伝えるため、市長自らがトップセールスで飛び回る毎日だという。

「近年では、台湾、香港、タイ、ロシアへ行きましたが、どこへ行っても北海道のブランド力、とくに農作物への高い評価を感じました。観光面では、とくに台湾から『雪を見たい』という多くの観光客が訪れます。昨年の国際線利用者数は20万人に迫る勢いです。宿泊施設が不足し、ホテルが相次いで3棟もオープンしたほどです。

国内も同様です。トップセールスで企業に出向いたり、各地で企業誘致のセミナーを行なったりしています。この11月には名古屋でセミナーを開く予定です」

一見、不利に見える立地を発想の転換で強みに変え、地道な努力で広げていく。その姿勢からは企業誘致だけでなく、あらゆるビジネスに通じるヒントが隠されているようだ。

■企業インタビュー「安全性と優秀な人材が進出の決め手に」

丸山洋一氏(アクサ損害保険株式会社HR&GA本部 HRプランニング&ビジネスパートナー)

2013年3月にコールセンターを立ち上げました。旭川を選んだ理由の一つはBCP(事業継続計画)。他に福井と高知にコールセンターがあるので、そこから離れた場所で、かつ地震など災害のリスクの少ない場所を選んだのです。ただ、より重要なのは採用です。人口や有効求人倍率はもちろん、競合のコールセンターの数など総合的に判断した結果、旭川市が最適となったのです。

採用に関しては、行政のサービスも大きかったです。新しい土地では採用に苦労するものですが、市の職員の方が一緒に学校を回りPRをしてくれたりと、全面的に支援をしてくれました。結果、採用は非常にスムーズに進みました。

仕事を始めてつくづく感じたのは、旭川の人のまじめさ。研修もみな、とても真剣に受けてくれましたし、その真摯な姿勢からお客様の評価もとても高いです。

確かに冬は寒いですが、除雪も万全で、むしろ首都圏より交通がマヒするようなことが少ないかもしれません。今年8月に東京に戻りましたが、景色の美しさや食事のおいしさなどは今でも忘れられませんね。(『The 21 online』2016年11月21日 公開)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

コメント 3

  • 名無し 通報

    今や、札幌は北大などパヨクの本拠地。人材もロクなのがいないかも。政治家も*エリとか、発言も意味不明の輩が多い。その点、旭川は適度な街なのでろう。

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  • 自治体次第 通報

    いろいろ有るだろうが安心安全が一番にくる、人材は連れて来れば良いだけそれと自治体がいかに本気かいう所だべ。

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  • 匿名さん 通報

    旭川は適度な街なのでろう。これが右翼のお言葉。

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