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改正道路交通法施行、運送業界と高齢運転者の問題は改善されるのか?

2017年3月21日 07時13分 (2017年3月22日 06時32分 更新)

改正道路交通法施行、運送業界と高齢運転者の問題は改善されるのか?(写真= Toa55 /Shutterstock.com) ((ZUU online))

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3月12日に改正道路交通法が施行され、「準中型自動車免許」が新設されたほか、75歳以上のドライバーのうち、免許証更新時の認知機能検査で「認知症のおそれあり(第1分類)」とされた人は全員、臨時適性検査(医師の診断)を受けるか、主治医による診断書提出が義務づけられる。

■改正の狙いとは

「準中型免許」はなぜ新設されたのか。この免許で運転できるのは小型トラックであり、主に近距離の配送に使用されている。コンビニ配送や宅配便などのトラックとして多く使われているのはこのタイプだ。近年問題視されている宅配便ドライバーの長時間労働と人手不足の対策の一環として、運輸・トラック業界への若者の雇用増加が期待できる。

「高齢ドライバー対策」の推進では、高齢ドライバーの認知症対策が強化される。認知機能が低下しているおそれがあるか、または認知症のおそれがある高齢者への講習が高度化され、事故防止の取り組みが強化される。免許更新時以外でも、一定の違反行為があった場合に臨時認知機能検査が新設されるなど、ドライバーの認知症対策が強化されるのだ。

■「準中型免許」制度の新設

準中型免許とは、普通免許と中型免許の間に位置し、車両総重量7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満の自動車を運転できる免許である。この免許は18歳から取得できる。

改正前の免許区分では、普通免許では、車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満の自動車まで運転できる。これより大きな車両を運転するには中型または大型の免許が必要であった。しかし、中型免許を取得するには、20歳以上で普通免許等を2年以上保有している必要があり、高校卒業後すぐに中型免許を取得できなかった。つまり、18歳以上で取得できる普通免許では、宅配便などのトラックは限定的にしか運転できなかった。

今回の改正により、18歳以上であれば準中型免許を取得することができるようになる。高校卒業後に準中型免許を取得することで、宅配便やコンビニの配送などの仕事に就くことができるようになるのだ。また、専門学校生や大学生も準中型免許を取得することで、これらのトラックを運転するアルバイトをすることができる。これにより宅配ドライバー不足の改善が期待される。

なお準中型免許を取得するための教習日数は、最短でも普通免許より2日長い17日間必要となり、費用も追加される。普通免許と準中型免許、どちらを取得するかは、日数と費用の両方について検討すべきである。

今回の改正による普通免許への影響についても確認しておこう。改正前の免許区分の普通免許を持っている人は、車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満の自動車を限定で運転できる。しかし、改正後に取得した普通免許では、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満の自動車となり、普通免許で運転できる自動車の範囲が狭くなる。

■高齢者講習の改正と臨時認知機能検査の新設

近年、認知機能が低下した高齢ドライバーが、交通事故に影響を与えていると考えられている。

改正前、75歳以上の運転者は3年に一度の免許証更新時に認知機能検査を受けるようになっていた。検査の結果、「認知症のおそれあり(第1分類)」、「認知機能低下のおそれあり(第2分類)」、「認知機能低下のおそれなし(第3分類)」の3つに判定される。この分類に応じ、2時間30分の高齢者講習を受けることになっていた。また70歳以上75歳未満の高齢者への講習は、運転適性検査を含め3時間かかっていた。

改正後は認知機能検査にて「認知症のおそれあり(第1分類)」、「認知機能低下のおそれあり(第2分類)」と判定された人に対し、実車指導にてドライブレコーダーを使った指導を含むなど、3時間の充実した高齢者講習を行うようになる。

第1分類に認定されたドライバーが一定期間内に18の違反行為(信号無視、通行禁止違反、通行区分違反、交差点優先者妨害など)をすると都道府県公安委員会による臨時適性検査を受けなければならず、そこで認知症と判断されると免許取り消しなどの対象となる。
また第1分類のドライバーは、違反にかかわらず、臨時適性検査(医師の診断)を受けるか、医師の診断書提出が義務づけられるという。

一方、「認知機能低下のおそれなし(第3分類)」に判定された方と70歳以上75歳未満の方の高齢者講習は、合理化され2時間に短縮される。

さらに免許更新時以外でも75歳以上の方に一定の違反行為があった場合、新設の臨時認知機能検査を受ける。その検査にて認知症のおそれあり(第1分類)と判定された場合は、臨時適正検査を受け、認知症と判断された場合は免許取り消しなどの対象となる。

今回の主な2つの改正によって、宅配便ドライバーの業務負荷軽減と高齢ドライバーの事故低減が実現されることを期待したい。これからの課題として、自動車が生活に欠かせない地域にて、免許返納や取り消しになった高齢者の増加が懸念される。これらの高齢者に対し、生活支援や自動車がなくても生活できるような社会の実現を考える必要があるだろう。(松本雄一、ビジネス・金融アドバイザー)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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