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知っているようで知らない「名目GDP」と「実質GDP」の違い

2017年3月30日 18時13分 (2017年3月31日 17時30分 更新)

知っているようで知らない「名目GDP」と「実質GDP」の違い(写真=zhaoliang70/Shutterstock.com) ((ZUU online))

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ニュースでよく耳にする「GDP」は景気を判断する代表的な指標だが、「名目」と「実質」の2種類がある。「違いがよくわからない」「どういうものなのかわかりにくい」という人も多いのではないだろうか。今回は、両者の違いについて解説していきたい。

GDPとはどういうものか

GDPとは「国内総生産」といい、国内で一定期間内(一般的には1年間)に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を表わす指標である。

G:Gross(合計)
D:Domestic(国内)
P:Product(成果)

上記の言葉を意味しており、それぞれの頭文字から「GDP」という。

GDPは、市場で取引されたものを対象としているため、家事労働やボランティアなどは含まれない。また、国内市場での取引が対象となっていることから、国内企業による海外の取引・生産・サービスなどは含まれない。GDPは、日本の景気を測る指標として利用されており、内閣府により四半期ごとに発表されている。

2016年12月8日に内閣府から発表された2016年7~9月期(二次速報値)によると、名目GDPは537.3兆円、実質GDPは523.0兆円であった。四半期の成長率は、名目GDPは0.1%、実質GDPは0.3%となっている。

■名目GDPと実質GDPの違いは?

● 名目GDP
名目GDPとは、国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を表わす指標である。その年に生産された財やサービスについて、それぞれの付加価値を足し合わせて算出する。

● 実質GDP
実質GDPとは、国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を表わす指標だが、物価変動の影響を取り除いて、その年に生産されたモノやサービスの「本当の価値」を算出したものである。言い換えれば、名目GDPから「物価変動の影響」を除いたのが実質GDPである。

例えば、とある年に、100円のコーラを10本販売したとしよう。この場合のこの年のGDPは、100円×10本=1,000円となる。では、翌年に、コーラの値段を100円から110円に値上げして10本販売したらどうなるか。名目GDPは、110円×10本=1,100円と算出するが、実質GDPの計算では10円の値上げ分は考慮されないので、実質GDPは昨年と同じく1,000円となる。

この場合、取引の拡大(1,000円→1,100円)は物価上昇によるものであり、販売数量が増えたわけではない。つまり、名目GDPは物価変動の影響を受けるため、どの程度経済が成長したかが把握しにくいのだ。従って、一国の経済の成長を測る際は、一般的には実質GDPを重視する。

内閣府から発表された2015年度のGDPは、名目GDPがプラス2.8%、実質GDPがプラス1.3%(2014年度比)であった。実額では、名目GDPが532.2兆円、実質GDPが517.2兆円だ。物価変動の影響によって、実質GDPと名目GDPにはこれだけの差があることがわかる。

■景気判断と投資判断の材料に活用できる

それでは、名目GDPと実質GDPをどのような視点で見ていけばよいのだろうか。前述の通り、名目GDP成長率がプラスだからといって、必ずしも景気が拡大しているとはいえない。所得の上昇割合が物価の上昇割合を上回らない限り、実質的な所得増には繋がらないからだ。

一方、昨年よりモノやサービスの値下げをして、昨年より取引数量を伸ばした経済では、実質GDP成長率がプラスになる。実質GDP統計では、物価変動は考慮せず、数量の拡大のみを考慮するためだ。ただし、物価が下落する環境はいわゆる「デフレ」と呼ばれる経済状態であり、日本の「失われた20年」を考えても、この状態が続くことが経済成長かと問われると、疑問符がつく。

つまり、名目GDPにしても実質GDPにしても、成長率のプラスマイナスや実額の増減だけで判断するのではなく、実質所得の伸びや物価上昇率を含めて複合的に観察する必要がある。なお、政府は2020年頃までに名目GDPを600兆円に引き上げるという目標を掲げている。名目GDPの拡大は物価上昇、つまり安倍政権が掲げる「脱デフレ」とほぼ同義なので、今後は、名目GDPの実額がアベノミクスの通信簿になってくるかもしれない。

GDPは、日本だけでなく世界各国でも公表されている。個人型確定拠出年金(iDeCo)でも、外国債券や外国株式を投資対象に選ぶ際には、各国のGDPを参考にすることができるのではないだろうか。(提供:確定拠出年金スタートクラブ)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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