5

外国人が「Excuse Me!」にちょっと緊張する理由

2017年10月17日 07時00分 (2017年11月11日 06時41分 更新)

 ハワイ出身のアメリカ人、ルース・マリー・ジャーマンさんは、首都圏を中心としたJRの駅や駅ビルの清掃を行うスタッフとともに、訪日外国人観光客への「英語対応力アップ」を目指して、シンプルで簡単な英会話をレクチャー中! JR東日本の清掃スタッフが実践する「今日から使えて、外国人の気持ちがわかるようになる」フレーズを紹介します。


◆◆◆


■「あなたはカバですか?」

「すみません!」という声がけに続き、「あなたはカバですか?」と日本語で表示されたスマホの画面を見せる外国人。突然、この画面を見せられた新潟市内の古町(ふるまち)商店街の店員さんは、驚いたに違いありません。これは初来日中の私の友人が、動物のカバが大好きな旦那さんのためのお土産探しをしていた時の爆笑エピソードです。彼女がスマホの翻訳ソフトに吹き込んだ英語は「Are there Hippos?」。日本語に訳すと「カバはあるの?」というフレーズなのですが、英語が変に訳されて「あなたはカバですか?」と表示されてしまったのです。


 画面に表示された日本語が読めない友人は不思議そうに「どうも店員さんに伝わらなかったみたいよ」と報告してきたのですが、その理由がわかると、2人してお腹が痛くなるほど大笑いしてしまいました。彼女にとって1人買い物体験の救いになったのは「すみません」と声をかけて通じたこと。「すぐにこっちを向いてくれたよ! 会話ができた感じですごく嬉しかった!」と自慢している彼女を見て、私も嬉しかったのです。観光客にとって日本人と「通じる」ことが旅行中の楽しみの1つだなと実感した経験でした。



 外国人を顧客に「もっと英語でのサービスを提供できるようになりたい」という思いを持つ自治体やサービス業界の企業は日本中で増えています。そんな中、私はいま、「株式会社東日本環境アクセス」(以下、アクセス)さんというJR東日本のグループ会社の中でも首都圏を中心とした駅や駅ビルの清掃を行っている企業と「英語対応力アップ」につながる取り組みを始めています。訪日外国人観光客から、駅などで働く約3800人の清掃スタッフの方々は多岐にわたる質問を受けているのです。おもてなしの心が伝わるような簡単な英語をスッと話せるように、私がアドバイザーを務めています。


 この活動を通して、私自身も日本のサービス業の定番フレーズを英語でどう伝えればいいのか、深く考えるようになりました。どちらかというと受験英語を正しく話すよりも「言われた外国人はどういう気持ちになるのか」という点が重要であると思うようになったんですね。


■初来日の外国人はいつだって「Why Japanese People!?」状態

 例えば、「カバ」エピソードに登場した友人には、旅行中に必須と思われる日本語「すみません」「ありがとう」「こんにちは」の3フレーズを教えました。このフレーズは多くの観光客が暗記して来日します。日本人がハワイに行くと「アロハ」や「マハロ」を覚えるのと同じですね。友人は日本のあちこちでこの3フレーズを使ってくれました。当然ながらときどき不正解の使い方もありましたが……。特に可愛かったのは福井市のホテルをチェックアウトしたあとのことです。友人はスタッフに深くお辞儀し、「こんにちは!」とドヤ顔で挨拶していました(笑)。



 日本語や漢字との出会いが一度もない外国人にとって、日本語という言語はとても聞き取りにくく、細かい違いが分かりにくいのです。例えば、山手(やまのて)線をやっと覚えたと思ったら、山手(やまて)駅という読み方の異なる同じ漢字が出てくるのですから! 1音1音がはっきりしている「カキクケコ」などの発音は、全部混ざって聞こえるような英語、スペイン語、フランス語などの発音感覚と全く異なっています。


「Why Japanese People!?」ではないけれど、日本で長く生活してきた厚切りジェイソンさんも私も、そういう気持ちになるのですから、観光客が日本語や日本の文化を前にして、パニックに陥る状態はよく理解できます。


■「Is this the Shinkansen?」

 この前は東京駅から山形新幹線に乗車し、郡山駅で観光客が慌てて乗りこんできた場面に遭遇しました。この人は発車まで少しばかりの時間があったので、車掌さんを見つけるやいなや、大きな声で「Is this the Shinkansen?」(こちらは新幹線ですか?)と不安そうな顔で聞いていました。すごく驚きましたね! だって、新幹線のチケットを持っている上に、新幹線専用の改札を通って、新幹線専用のホームに立っていたにもかかわらず、自分が乗っている電車が新幹線かどうかがわからないのです。観光客はそれほど迷ったりしているんですよ!


 こういったとき、私は初めて生まれ故郷のハワイからアメリカ本土(メインランド)に行き、家族みんなでサンフランシスコ湾を眺めたときの出来事を思い出します。真っ赤なベイブリッジの景色を満喫していたら、妹が「カリフォルニアにはいつ行くの?」と母に聞きました。サンフランシスコはカリフォルニア州の中にあると、気がついていなかったのですね。初来日の訪日外国人も妹の状態とさほど変わりません。ある時、ニューヨークのタクシードライバーに「日本に住んでいます」と言うと「すごい! 日本ですか? 最高ね! ちなみに日本のどこ? 香港?」と真面目な顔で応えられました。


■外国人が「Excuse Me!」にちょっと緊張する理由

 私はインバウンドビジネス(※)を中心にお仕事をさせていただく中で、初来日した訪日外国人(特に英語圏)は、混乱状態にあることを大前提にしたほうがいいと思うようになりました。「おもてなし」の一環として、アクセスさん同様、日本全国の皆さんが訪日外国人の気持ちを少しでも理解でき、わかりやすい英語対応ができるように、文春オンラインのコラムを通してサポートしたいと思っています。


※国外から訪れる外国人をターゲットとしたビジネス


  アクセスさんの現場で起きている面白い例の一つとして、「Excuse Me」があります。直訳すると「失礼します」と「すみません」などいくつかの選択肢があがりますね。でも日本人がお部屋やお化粧室に出入りする際の「失礼します!」と声をかけるニュアンスは「Excuse Me」ではスムーズに通じない場合があります。なぜなら英語圏の外国人が「Excuse Me」と言われると「こちらも何かしらリアクションをしないといけない」と思う人が多いからです。清掃スタッフがお化粧室に入って、「Excuse Me!」と声をかけると、個室に入っている外国人も「あ、何かあった?」と思い、ちょっと緊張します。


 海外のお店で「Excuse Me」と言うと「はい! 何でしょう」と店員さんがこちらを向いてくれることと同じですね。「失礼します」を「私はここにいますよ!」というような日本的な意味合いで言いたいのであれば、「Excuse Me」ではなく「Good Morning」や「Good Evening」と言った方がわかりやすくて親切です。「Good Morning!」と返す外国人がいるかもしれませんが、相手は緊張はしませんし、むしろ「気さくに声をかけてくれて、感じのいいスタッフだな」という印象を受けるはずです。



 アクセスさん同様、 訪日外国人観光客が増えることで、いまこのコラムを読んでいるあなたも、より頻繁に何かを質問されるようになるのは間違いないですね。身近な存在となる「初来日の外国人」とどうコミュニケーションをとるか。プレッシャーを感じることなく、「カバ」なミスを楽しみながら、みんなでグローバル化を目指して行きたいところです。これからもたくさんの爆笑シーンがありそうで、ちょっとワクワクしますね!


INFORMATION

「週刊文春デジタル」
ルーシーさんの「外国人の気持ちがわかるおもてなし英会話」の入門編動画を、「週刊文春」デジタルで配信中!


(ルース・マリー・ジャーマン)


注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

コメント 5

  • 匿名さん 通報

    日本人だって海外に行くなら、多少なりとも勉強していくだろ。日本人だけが勉強しろってのは在日特A害人の発想じゃん。

    14
  • 匿名さん 通報

    多少なりとも英語を勉強して海外に行っても、「通じない」「言葉が出てこない」んだよね。相手が少しでも日本語を理解してくれたらすごく嬉しい!

    8
  • 匿名さん 通報

    外国人に道聞かれることよくあるけど、最近は日本語使ってくること多い。昨日も電車止まってて白人が日本語で「めちゃ暑い」って言ってたよ。英語も簡単な感じで話しかけてくるから記事みたいなことにならない。

    5
  • 匿名さん 通報

    韓等圏民は、いつ見ても劣等感で溢れてるな。

    5
  • 匿名さん 通報

    税金使って宣伝だけしてあとは投げっぱなし。みんないい迷惑。

    5
コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!