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立憲民主党よ、胸を張れ! 胸を張り、リベラルを誇れ!

2017年10月18日 15時55分 (2017年10月20日 23時49分 更新)

 選挙戦も折り返し地点をすぎ、残すところあと数日となった。

 先週末実施された報道各社の情勢調査は、軒並み面白い傾向を示している。あれだけ鳴り物入りで登場した希望の党への支持率が完全に失墜。かわって、希望の党への合流をよしとしない人々が枝野幸男を中心に再集結し立ち上げた立憲民主党が「大躍進」ともいうべき伸長をみせ、いまや政党支持率では希望の党のそれを上回る情勢となっている。

◆候補者の「質」が如実に現れた「希望の党」

 たしかに、取材で各選挙区を回ってみても、希望の党は、知名度そのものがあまりにも低い。東京など大都市圏近郊を除けば、「希望の党?ああミッチー(故・渡辺美智雄)の息子の党?」という有権者にでくわすほどだ。

 最大の要因は候補者の質。旧民進党から合流した候補者を除き、小池政治塾出身を中心とした「非民進・希望の党独自候補」は、ほぼ全員が有り体に言えば泡沫候補。自身の公式Webサイトさえ公示後になっても開設できていない候補者や、街頭演説の冒頭で「私はご当地と縁もゆかりもありませんが、小池百合子氏とともにこの地域を変えたい一心で立候補しました」と、地元有権者の反感をあえて買おうとしているのかと思うような挨拶をしだす候補者など、「議員としての資質」以前に、「社会人としての資質」に疑問符がつくような候補者ばかりだ。

 このような候補者がいかに各選挙区で地上戦を繰り広げようとも、その候補者の得票数はおろか、希望の党そのものの知名度すらあがらないだろう。

 一方の立憲民主党。どの選挙区をまわっても立憲民主党の候補者は「古強者」揃いであることを印象づけられる。東京1区で自民党の山田美樹候補と激しいつばぜり合いを繰り広げる海江田万里候補をはじめ、前回の衆院選で落選の憂き目にあった候補者も含め、「苦戦の選挙などお手の物」と言わんばかりの歴戦の経験者ばかりだ。

 連合や、市民運動体などの支持組織との紐帯のみならず、そもそも候補者自身が長年の政治活動で獲得し共に成長して来た分厚い一般支持者の層が存在している。報道各社の情勢調査でも「東京都内の選挙区ですら、希望全滅。立憲民主、意外な伸長」との傾向が示されるのも無理はない。

 たしかに、希望の党は9月最終盤から、失策が目立った。

「政権交代は次の次」とせっかくのムードに水を差すような愚劣な発言を繰り返した若狭勝だけでなく、「首班指名選挙では山口那津男と書く」と奇策を繰り出したにもかかわらずそれを直後に撤回し、最後の最後まで首班指名を誰にするか明らかにせず、自身も衆院選に出ないという奇怪な判断を下した小池百合子にしても、彼・彼女らが9月最終盤・10月冒頭にみせた「喧嘩下手」というにも下手すぎる醜態は、「所詮、希望の党は素人集団」「小池百合子の個人的パフォーマンス」との見方を日本中に印象づけた。希望の党はその誕生のわずか2週間後に「オワコン」となってしまったのだ。

 確かにあの一時期、希望の党は「政権交代の受け皿」との印象を有権者に与えていた。そして自身の失策によってその印象をすべて拭い去ってしまった。

 行き場を失ったのは「安倍政権を支持しない」という声を投票行動で示そうとしていた有権者たちだ。なにせ安倍政権の支持率は39%止まり。不支持率の方が高いという傾向がいまだに続いている。調子付いて希望の党が自滅したことは、この「安倍政権不支持者」たちを路頭に迷わせる結果となった。

 立憲民主党の躍進はこうした「路頭に放り出された安倍政権不支持者たち」をすくい上げる効果があった………。と、考えると、なるほど、筋が通る。主要全国紙は軒並みその論調で「立憲民主の躍進」を解説している。

 希望の党の醜い自滅後、路頭に迷った安倍政権不支持の有権者たちは、安倍政権に鋭角に対立する立憲民主に一縷の光明を見たのだと。そしてそうした有権者たちはその光明に縋ったのだと主要各紙はいうのだ。

 しかし果たしてそれだけだろうか?立憲民主党が有権者に魅力的に映るのは「安倍政権を支持しない人々の受け皿」としてのみなのだろうか?

◆リベラル虐殺の血しぶきの中から立ちあがった立憲民主党

 小池百合子が満天下のアイドルとして振舞っていた9月末のあの時期、小池は明確に、「(民進党リベラルは)排除します」と言明した。早くに民進党を離党し小池百合子と野合した細野豪志は『文藝春秋』11月号に掲載された「希望の党は選挙互助会ではない」というインタビュー記事で、「民進党時代、皆で建設的な憲法改正の議論が堂々とできなかったことは大変辛かった」「保守の部分が大事」と語り、暗に「民進党リベラルが邪魔だった」と表明している。

 小池百合子の増長満が頂点にたっしていたあの9月末、日本全国の有権者の前で繰り広げられた政治劇は、「小池百合子による、リベラル虐殺」としかいいようのないものだったのだ。

 枝野幸男と彼を中心として活動する立憲民主党の面々は、その虐殺の血しぶきの中かから生まれた。周囲には、小池によって政治生命を絶たれたもの、次は自分かと戦々恐々とするもの、虐殺の被害者になるぐらいならば加害者にまわろうと画策するものなどが蠢く陰惨たる風景のなかで、立憲民主党というまことにか細くひ弱な政党は産声をあげ、その一歩を踏み出した。

 その誕生の瞬間から、立憲民主党は「虐殺の現場から生きて帰ってきた被害者代表」という立場を宿命づけられているのだ。そして虐殺の加害者である小池百合子細野豪志前原誠司などの一派が、虐殺の対象を「リベラル」と指呼するのであれば、立憲民主党がその誕生から代表するように宿命づけられているものも「リベラル」でしかありえない。

 だとすると。

 現在の情勢調査で、希望の党の政党支持率を抜き、自由民主党の支持率に次ぐ高支持率を確保している立憲民主党なる政党は、仮令その支持率の高さが「希望の自滅で行き場を失った安倍政権不支持者の流入」によって齎されたものであっても、堂々たる「リベラル政党」であるという点は変わらない。原因がなんであれ「リベラル政党が一定数の支持を集めている」ということには、変わりはないはずだ。

 こう書くと、「そんなことはない。リベラルなど支持が集まるはずがないではないか」という反論が来るのが今の日本。とりわけ本稿が掲載されるウェブメディアという種類のメディアが属する「ネット言論界隈」は、未だに時代遅れの「リベラル弄り芸」が流行っている界隈だから、そうした声がよせられるのだろう。

 井の中の蛙、大海を知らずとはこのこと。

 世界を見よ。先進国と呼ばれる国では軒並み、「リベラル」(確かにこの言葉は使われる国によって大幅にコノテーションが変化する言葉ではあるが)と呼ばれ、あるいは自称する政治勢力が、国政で大きなプレゼンスを示しているではないか。

 イギリスでは、ジェレミーコービン率いる労働党が、いまにも保守党政権を覆しそうな勢いである。先頃行われた議会選挙で、極右政党の躍進が伝えられたドイツでさえも、その名の通り社会民主主義政党であるドイツ社会民主党が堂々たる議会内第二党の地位をしめている。

 マクロン大統領率いる「共和国前進」(この政党はある意味、小池新党のようではある)の大躍進が記憶に新しいフランスでも、フランス社会党は未だに重要な地位をしめているではないか。

 英独仏の事例としてあげた3党はいずれも社会主義インターナショナルに所属するような政党である。ちなみに我が国で社会主義インターナショナルに加盟しているのは社民党のみであり、福島瑞穂は一時期社会主義インターナショナルの副議長を務めていた。日本では政界の異端児扱いの福島瑞穂も、世界標準からみればごく普通の政治家ということになろう。

 カナダの自由党は、社会主義インターナショナルに加盟するはずもない政党ではあるが、党首であり首相のトルドー氏は極めてリベラルな政治姿勢で知られる。トランプ大統領の排外主義的で乱暴な言動ばかりが取りざたされるアメリカでも、つい昨年の大統領選で、バーニーサンダース氏が大健闘をした記憶は新しい。

◆時代遅れの政治情勢から卒業せよ

 こうみると、日本だけが異質なのだ。日本だけがいまだに、東西冷戦華やかりし頃のような「サヨクは売国奴」「リベラルは害悪」という愚にもつかない紋切り型の言説がもてはやされ続けている。

 列挙した各国は全て日本と同じ高度先進資本主義国だ。どの国でも、貧富の差の拡大など、「放っておけば政府の政策など関係なく自然と新自由主義化してしまう資本主義社会」という悩みを抱えている。

 いささか単純化しすぎた図式ではあるが、その悩みを解消するために、どの国でも「いや、政府は小さくあるべきだ。レッセフェールだ。規制緩和だ。自由市場の意思に任せるべきだ」とする一派と、「人々が政府を形成する理由は徴税と再分配にある。格差是正のための再分配だ、貧困解消だ、富裕層増税だ、積極財政だ」とする一派が、議会内で対立し、審議を経て妥協案を生んでいくという政治風景が日常化している。

 ひとり、我が日本だけが、この当たり前の光景からとおざかり、「リベラル虐殺」など30年も時代遅れの古い芸当を未だにやりつづけているのだ。



 そろそろ日本もこうした時代遅れの政治情勢から卒業せねばならない。

 立憲民主党が、「リベラル虐殺」の血しぶき溢れる現場からうまれたのだとするのならば、立憲民主党には、正々堂々と「リベラル政党」としての地歩を確立し、より深化していってもらいたい。外野からの批判は大きかろう。賢しらだった連中は「自民党をみよ、自民党はナショナルパーティーとして、清和会的な極右路線から、宏池会のような中道左派路線とワイドレンジな陣容だから、政権を維持できるのだ」などと忠告して来るかもしれない。それらはすべて嘘だ。自民党は民主党政権下の野党時代、「純化路線」を採用した。もはや「清和会的なもの」しかのこっていない。

 純化路線を採用した自由民主党がここまで支持を維持できるのだから、純化路線に恥じらうことはない。正々堂々と「リベラル純化路線」を進めばいい。その方が、有権者には綺麗な政治メニューの提示となって、主権者には好都合でさえある。

 立憲民主党よ、胸を張れ。胸をはってリベラルだと叫べ。それが世界水準であり、そしてなにより我が国の民主主義のためだ。

 再度言う。

 立憲民主党よ、胸を張れ。リベラルであることに誇りをもて!

<文/HBO取材班 撮影/織田曜一郎>

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

コメント 100+

  • 匿名さん 通報

    小池と希望は要らないが、枝野と立憲民主は存在意義有りと思う・・

    174
  • 匿名さん 通報

    何より、言論の自由を封じ込めしようとするネトウヨは気味が悪い!

    155
  • 言葉に酔ってるよ 通報

    保守であれ、リベラルであれ、かっこつけずに、実績は?結果は?人間性は? 東日本大震災の無能内閣の顔ぶれが信用できないと言っている!

    151
  • 匿名さん 通報

    打倒安倍内閣という意味では希望の党を立ち上げたことは意味があったのでは?一方で、リベラルが胸を張ることには大賛成だ。一部記事に誘導された意見が多すぎる。

    144
  • 匿名さん 通報

    ハハハ。無理だよ。

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