4

山手線は「Green Line」、銀座線は「Gold Line」?

2017年10月24日 07時00分 (2017年10月26日 00時21分 更新)

 NHKEテレ「しごとの基礎英語」に出演しているルース・マリー・ジャーマンさんは、急増する外国人観光客のニーズに応えるためのインバウンド・ビジネスを幅広く手がけています。ルーシーさんがJR東日本の清掃スタッフにレクチャー中の「今日から使えて、外国人の気持ちがわかるようになる」英会話フレーズを紹介します。


◆◆◆



 日本を訪れる外国人観光客は、2013年の時点では約1000万人だったのですが、たった4年間、2017年中には3000万人近くまで伸びると言われています。口コミを聞いて「日本に行ってみたい」と思っている観光客が実にたくさんいますし、リピーター客も増加しています。


 私はいま、JR東日本グループの子会社東日本環境アクセス(以下、アクセス)さんのスタッフの方々へ、駅構内などで迷っている外国人観光客へのシンプルで簡単な英語対応をレクチャーしています。アクセスさんのスタッフは、駅構内や駅ビルなどの清掃を行うなかで、外国人から実にさまざまな問い合わせを受けていて、簡単な英会話スキルを身につけることで、外国人とのミスコミュニケーションの溝を埋めようと試みています。


 電車や路線の案内には、英語を話す外国人の感覚に合った「色」を使って説明すると非常に効果的であることが、だんだんわかってきました。


■「銀座線」が「Silver Line」では外国人に通じない理由

 JRの山手線は「Green Line」。京浜東北線は「Light Blue Line」と説明すれば、だいたいわかってもらえます。東京メトロの銀座線は「Silver Line」になると思うかもしれませんが、実は「Gold Line」と説明したほうがわかりやすいのです。「銀座線」という漢字をまったく理解できない外国人に対しては、電車そのものを見たままの色で説明しなくてはならないんですね。そして「Where?」と尋ねられたら、「Over there(あちらです)」と指をさして案内するようにアクセスさんにレクチャーしています。迷っている外国人を目的地まで連れていく余裕がなかったとしても、親切に指を差して「Gold Line is over there!」と方向を示してあげれば十分におもてなしの心が伝わりますよ!



■「Blue Eyes」と「Green Eyes」

 私自身、こんな経験があります。以前、4年ほどお付き合いしていた日本人のボーイフレンドにこう激怒してしまったのです。


「私の目の色を見分けられないの? 信じられない!」


「ルーシーのブルーアイが大好き」という、ちょっと聞いたところでは素敵な一言が喧嘩の発端でした。


「私の目は緑色なのに!」と言うと「えっ?」と理解不能な顔をしている彼。後々になってわかりましたが、彼は悪くなかったんです。日本では「青」も「緑」も同じように使われていますよね。「青空」は英語でいうと「Blue Sky」ですが、「青信号」は「Blue Light」ではなく「Green Light」です。


 ところが欧米の感覚では、「Blue Eyes」と「Green Eyes」の違いは、青信号と赤信号くらいはっきりと区別されるものなのです。うっかり間違われた私は、「目の色を分かっていないなんて、私のことをちゃんと見てくれていない!」と憤慨してしまいました。最終的には仲直りできましたが、私の「東京ラブストーリー」に危機が訪れた瞬間でした(笑)。


 いま、外国人観光客は、日本が国をあげて力を入れている観光客誘致政策の「ラブコール」に応えようとしているのですが、経験者の一人として思うのは、国籍が異なる者同士の「恋愛」って、ミスコミュニケーションばかりが起きて本当に大変なんですよね……。外国人観光客は、東京だけでなく日本全国で、試行錯誤しながら「恋愛」をしている真っ最中みたいな状態ともいえるでしょう。


■日本知識ゼロの「ファーストタイマー」グループがより一層増える

 実は2017年のいま、日本企業にとっては、外国人観光客が利用しやすいサービスを研究する絶好のチャンスが訪れています。その理由は2つあります。


 第一に、世界各国の中で、比較的治安がいいと思われている日本が、今後ますます海外旅行の有力候補地になるはずだからです。米国から初来日した私の友人は、「これまでの海外旅行といえば、ヨーロッパを中心にクルーズばかりを楽しんできたけど、テロが心配でもうヨーロッパには行きづらくなっちゃった」と言っていました。


 そして第二に、「日本好き」な外国人以外の観光客が増えるビッグイベントが控えているから。これはあくまで私の直感なのですが、今後の外国人観光客は今までのアジアの近隣諸国からの方々とは異なり、漢字や日本語にまったく触れたことのない「ファーストタイマー」グループがより一層増えていくでしょう。今までは旅行先に日本を選ぶ理由として「アニメが好き」、「忍者に興味がある」、「日本食が好き」というような意見が多かったのに対して、今後は「治安がいい」、「ラグビーW杯(2019年)を見たい」、「オリンピック(2020年)へ行きたい」などなど、ある意味で日本という国そのものとは関係のない目的で日本へ行きたいと考える人も多くなる気がします。彼らは日本についての知識をまったく持たない白紙の状態でやってきます。


「ファーストタイマー」が街中で途方にくれているとき、簡単な英語対応のテクニックを身につけた日本人にサポートしてもらったら、きっと日本のことが好きになるはずです!



 もし、駅構内で外国人から電車のことを尋ねられたら、まずは「色」の説明を試してみましょう! きっとうまくいきますよ。ミスコミュニケーションを乗り越える皆さんの努力があれば、外国人と日本の「ラブストーリー」はますます深まり、アンコールありの素敵なハッピーエンドが訪れる気がしてなりません!


(ルース・マリー・ジャーマン)


注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

コメント 4

  • 匿名さん 通報

    語感を大切にする日本文化の曖昧さ、緑のもみじではなく、青もみじという。

    6
  • 匿名さん 通報

    山吹色ライン。

    5
  • 匿名さん 通報

    昔から緑をさす言葉として「アオ」は使われてきましたよね 漢字一つ見てもアオの表記は「青」「蒼」「碧」といろいろ英語なら「blue」だけだものね 外人にはわからない感覚であるのは間違いないでしょ

    4
  • 金閣寺 通報

    京都で「ゴールデンテンプル?」と訊かれたことあり。

    4
コメントするニャ!
※絵文字使えないニャ!