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V・ファーレン長崎をJ1昇格に導いた高田社長の「職場環境改善」

2017年11月14日 06時25分 (2017年11月16日 05時56分 更新)

■”ジャパネット効果"の真価が問われるのはこれから




■V・ファーレン長崎が初のJ1昇格を決める



11月11日に行われた日本プロサッカーリーグ2部(以下「J2」)の第41節において、V・ファーレン長崎が3-1でカマタマーレ讃岐に勝利しました。これにより、今シーズンの2位が確定し、初の1部リーグ(以下「J1」)への昇格を果たしました。



長崎県にある唯一のサッカークラブが初のJ1昇格を成し遂げたことで、その夜は長崎の至る所が歓喜に沸いたようです。そして、V・ファーレン長崎のJ1昇格は、Jリーグの理念でもある地域密着を表したものであり、今後の日本サッカー発展に向け大きな牽引役になることが期待されましょう。



■九州の地域クラブとして発足したV・ファーレン長崎



V・ファーレン長崎について簡単に紹介しておくと、2004年に長崎の地域クラブとして発足しました。地域クラブとは言いますが、ハッキリ言って“草サッカー”のクラブに過ぎません。その後、2005~2008年は九州の地域リーグで活動し、2009年にJリーグに準加盟しました。



ただ、Jリーグの基準に合うスタジアムを有していないこと等から、Jリーグには参戦できず、2012年まではJFLリーグでの活動を余儀なくされます。ようやく2013年からJ2に参入し、2013年と2015年はJ1昇格プレーオフに進出するなどプレゼンスを高めてきました。



しかし、年によっては降格圏が目前という低迷もあり、J2の強豪チームと呼ばれるには至らなかったことは事実でしょう。また、大手スポンサーが少ないというJ2クラブの宿命の影響もあり、クラブ経営は綱渡りの状況だった模様です。



■経営危機でジャパネットHD傘下に入り再建へ



そして、2017年春に経営危機が表面化し、長崎県佐世保市に本社がある持株会社ジャパネットホールディングスの完全子会社として再建し、今日に至っています。



なお、ジャパネットホールディングスの最大事業(形態上は最大子会社)は、通信販売で有名な「ジャパネットたかた」です。



そして、2017年5月、完全子会社になったのと同時に、ジャパネットたかたを大手通信販売会社に育て上げた創業者でもある高田明氏がクラブ運営会社の社長に就任しました。



高田明氏がジャパネットたかたのテレビショッピング番組(♪ジャーパネット、ジャパネット、夢のジャパネットたかた~で有名)に出演していた姿を覚えている人も多いはずです。



■クラブ運営会社の社長に就任した高田明



今回、V・ファーレン長崎のJ1昇格に際して大きく取り上げられたのが、ジャパネットホールディングスの傘下に入った効果であり、とりわけ、高田社長による経営手腕でした。



確かに、2月26日に開幕したJ2において、V・ファーレン長崎は4月に3連敗を喫するなど、好調なスタートには程遠い状況でした。しかし、高田氏の社長正式就任(5月16日)以降、チームは徐々に調子を上げて行き、歓喜の瞬間を迎えたのです。



高田社長はどのようにチームを建て直したのでしょうか?



■実施したことはシンプルに“職場環境の改善”



高田社長は、外国人選手を含めた大型補強は一切行わず、監督やスタッフの交代もしませんでした。実施したことは、一言で言うと“職場環境の改善”だったようです。



この職場とは、選手や監督・コーチはもちろんのこと、事務局など運営スタッフも全て含まれます。



まず、グラウンドが職場の選手に対しては、独自のマーケティング手法や様々なアイデアを用いて観客動員数を増やしました。プロのアスリートにとって、観客が増えればモチベーションが高まることは言うまでもありません。これは監督やコーチにとっても同じです。



また、事務局等に対しては、業務の「質と効率」を重視する方向に転じさせ、不足している人手を補充するなどして、スタッフのモチベーションを底上げしました。また、サッカークラブの経営に精通した経験豊富な人を役員として複数採用するなどもしています。



■社員のモチベーションを高めるのが社長の仕事



確かに、よくよく考えてみれば、高田社長はサッカーに関しては素人です。高田社長がゲーム戦略の立案や技術指導などできるはずがありません。高田社長から見れば、選手もスタッフも“社員”です(注:正社員かどうかは別問題)。社員が気持ちよく働けるように環境を整備したということでしょう。



また、選手やスタッフから見れば、経営危機が表面化して不安のどん底にいたのが3~4月でしたが、5月以降はその心配がなくなったことになります。一般的に言えば、自分が勤めている会社が倒産するかもしれない状況では、仕事に身が入るわけがありません。



ジャパンネットホールディングスの完全子会社になり、高田社長が職場環境の改善に注力したからこそ、V・ファーレン長崎の選手が実力を発揮できたと言えましょう。また、快進撃を演出した高木監督の手腕も、こうした背景があったからに他なりません。



■高田社長の経営手腕の真価が問われるのはこれから



さて、来シーズンのV・ファーレン長崎はJ1で戦うわけですが、残念ながら楽観視できる状況にはないと言えます。



まず、今シーズンJ2での2位という成績は、名古屋グランパスエイトなど強豪チームの敵失に助けられた感は拭えません。



また、改めて言うまでもなく、J1とJ2ではそのレベルに大きな差があります。実際、ほとんどの年において、J1へ昇格したチームのいくつかは翌年にJ2へ降格しています。さらに、V・ファーレン長崎にはJ1で戦うノウハウが何も蓄積されていません。



高田社長の経営手腕が発揮され、ジャパネットホールディングスによる強化策の真価が問われるのは、まさにこれからなのです。来シーズンは、V・ファーレン長崎の戦いだけでなく、高田社長の新たな取り組みにも注目したいと思います。



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