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なぜボルボ「XC60」のカタチは魅力的なのか、デザイナーに聞く秘密

2017年12月16日 09時00分 (2017年12月16日 10時00分 更新)
●カー・オブ・ザ・イヤー受賞の理由に迫る
「2017~2018日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したボルボ「XC60」。評価された理由のひとつに北欧デザインがあった。ボルボのカタチはなぜ魅力的なのか、生まれ故郷のスウェーデンでデザイナーに聞いた。来年上陸予定の弟分「XC40」の試乗記とともにお届けしよう。

○クルマづくりを一新したボルボの新世代SUV

ボルボは昨年発売した大型SUV「XC90」と今年デビューのセダン「S90」/ワゴン「V90」からなる「90シリーズ」から、クルマ作りを一新している。プラットフォームは新設計で、エンジンは4気筒に一本化。デザインも新しくなった。

今年登場したXC60もこれらの特徴を受け継ぎつつ、ボディサイズは小柄になって日本の道でも取り回ししやすい大きさになり、価格も90シリーズよりお手頃になった。こうした内容が日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)でも高い評価を受けたようだ。

筆者は先週、ボルボの本社があるスウェーデン第2の都市ヨーテボリを訪れ、XC60のデザイナーからプレゼンテーションを受けた。そこでCOTY受賞の理由を、デザイン面から紹介していきたい。

○「XC60」のこだわりは? スウェーデンでデザイナーに聞く

エクステリアでまず重要だったのが、プラットフォームの一新だ。

従来のボルボは、フォード・グループに属していた2010年以前に開発したプラットフォームを使っており、デザイン面の制約が大きかった。それが専用設計となったことで、車体前部のオーバーハング(前輪から前端までの張り出し部分)が短く、前輪と車室部分が離れた、スポーティでプレステージ性の高いプロポーションが実現できたという。

同じプラットフォームはXC90にも用いている。しかし、全長4,950mm、全幅1,960mm、全高1,775mm、ホイールベース2,985mmという堂々としたサイズを持つXC90に対し、XC60は全長4,690mm、全幅1,900mm、全高1,660mm、ホイールベース2,865mmと、長さは5ナンバー枠内に収まる。

しかもサイドウインドー後端のキックアップを明確にし、ボディサイド下側に抉りを入れ、フェンダーにプレスラインを追加することで、車格にふさわしい躍動感を高めているのである。

グリルを斜めに走るバーがボルボであることをアピールする顔も差別化を図っている。新世代ボルボのアイデンティティであるヘッドランプ中央の「トールハンマー」(北欧神話の雷神が持つハンマー)型デイタイムランニングランプをグリルまで伸ばし、トールハンマーの高さでグリルに折れ線を付けている。細部までこだわったデザインなのだ。

リアゲートもXC90より立体的な造形となっており、ダイナミックさを強調。そのうえで伝統の縦長ランプは下端を水平に伸ばすことで、XC90に比べて幅の狭い車体に広がり感をプラスすることに成功している。

●細部にまで息づく北欧デザイン
○インパネは素材にこだわり、さりげない主張も

インテリアデザインについては、まずインパネに特徴がある。上のラインはジェントル、下は上下にメリハリをつけることで、センターパネルやエアコンルーバーなどのディテールをきれいに見せることにこだわった。一方のドアトリムは、ひとつのラインをカーブさせることで一体感を出している。

その上で本物の素材にこだわり、金属や木材を多用。樹脂を使う場合もメタルコートを施すことで、触れた際にひんやりした感じをもたらしている。

面白いのは助手席側のシルバーのキャラクターラインにスウェーデン国旗が織り込まれていること。さりげない主張だ。しかもこの国旗の部分でラインが分かれており、上に張られた木と下側の樹脂の熱による膨張率の違いを吸収するという機能も保たせているのだ。

○居住性と使いやすさにも配慮

シートは前後とも90シリーズと共通とすることで座り心地にこだわった。このうち後席は、ベースの部分はXC90用、シートはV90用とすることで、隙間にタブレットなどが入るスペースを設けている。細かい部分まで考え抜かれた空間なのだ。

新世代ボルボはディスプレイの使いやすさにも定評がある。縦長なので地図が見やすく、メニューの表示は明快で、タッチ操作のほか音声操作も可能。スイッチが整理されていることも目に付く。この部分は情報機器部門と共同で進めたそうで、シンプルかつクリーンに見せるべく、スイッチを少なくすることにも留意したという。

●「XC60」が“スエードシューズ”なら「XC40」は“スニーカー”
○ボルボのSUVにカジュアルな雰囲気の“末っ子”が誕生

そんなXC60に弟が生まれた。今年9月に発表された「XC40」だ。日本には来年の初夏に上陸すると言われるこの新型車に、スペイン・バルセロナで行われた国際試乗会で乗ることができた。

XC40のサイズは全長4,425mm、全幅1,863mm、全高1,652mm、ホイールベース2,702mmで、長さはトヨタ自動車「C-HR」やスバル「XV」と同等だ。そのスタイリングは、XC90からXC60につながる流れを受け継ぎながら、車格にふさわしくカジュアルな雰囲気も身につけていた。

サイドウインドー後端のキックアップはさらにダイナミックだし、ボディサイド下部の抉りも明確で、同じモチーフを前後のフェンダーにも入れることで、よりアクティブな雰囲気になっている。

さらにルーフを塗り分けた2トーンカラー、クラシックな雰囲気を醸し出すプレーンなリアパネル、カーペットにオレンジを用いたインテリアなど、ボルボとしてはかなり遊び心あふれるデザインにまとめてあった。

ボルボでは3つのシリーズを靴にたとえており、90シリーズは革靴、60シリーズはスエードのシューズ、40シリーズはスニーカーをイメージしている。たしかにXC40はボルボのスニーカーという雰囲気がする。
○「XC60」以上の注目車に? 日本では400万円以下で登場

メカニズムでは、XC90やXC60が用いるSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)とは異なる、小型車用プラットフォームCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)を初採用していることが特徴だ。

これの出来がXC60に劣らぬほど素晴らしかった。小型車用ということで安っぽくなっているかと思ったが、さにあらず。乗り心地はボルボらしく穏やかでしっとりしており、長距離をリラックスして走ることができる。そのうえでXC60より短いホイールベースのおかげで、身のこなしは軽快になった。

エンジンは2L直列4気筒ガソリンターボの「T5」とディーゼルターボの「D4」があり、いずれも8速ATを組み合わせたAWD(四輪駆動)だ。ボディがXC60より100キロ以上軽いこともあり、ガソリンでも加速は十分。ディーゼルはさらに力強く燃費にも優れるけれど、エンジンの軽さを含めた車体とのバランスではガソリン車が好ましいと思った。

ボルボ自慢の安全装備も、時速140キロ未満でステアリングアシストを含むアダプティブクルーズコントロール、交差点などで出会い頭の衝突を防ぐべく搭載された衝突被害軽減ブレーキなど、上級車種に遜色ないレベルになっている。

こうした内容の北欧製SUVが、日本でも400万円以下で手に入る。日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたXC60以上に注目を集める存在になりそうだ。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

コメント 1

  • 匿名さん 通報

    ボルボは中国資本に買収されてから性能と価格の両立が出来るようになった。企業イメージを悪くするので隠しているが、デザインも価格もガラリと変わり、その影響は大きい。

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