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落合陽一「AI時代、仕事を奪われないために必要なこと」

2018年1月13日 11時00分 (2018年1月14日 10時41分 更新)

 人工知能の進化で、どこまで「仕事を奪われる」のか。生き残りをかけてすべきことは? 20、30代は何を目標に、それより上の世代は? 筑波大学で教鞭をとる落合陽一氏による実践的な対策。(出典: 文藝春秋オピニオン 2018年の論点100 )


■スキルが1個だけでは危険

AI時代に消滅する職業リスト」が、このところ話題だ。消滅する職業として、運転手、レジ係から、医者、弁護士までが候補に挙がっている。


 だが私からみると、この区分け自体がナンセンスであると感じることも多い。なぜなら、誰が生き残るかという観点が抜けているからだ。すなわち、ひとつの専門分野において唯一無二のレベルであれば、生き残れる確率は高まる。


 しかし、そのうえでやはり、スキルを1個だけしか持たないことは、あまりおすすめしない。その職業がいつ廃れるか予想がつかず、リスクが高いからだ。


 私自身を振り返っても、職業的スキルは多岐に渡っている。本業である大学の先生、メディアアーティスト以外に、作家、ジャーナリスト、バラエティ番組出演者、写真家、CADオペレーター、ハンダ付け作業士など。数えたところ、文字通り100個ぐらいの仕事をひとりで行っている。いわば語の本来の意味での百姓のような状態だ。近代以降、ひとつの職に就くことがよしとされ、こうした生き方は“器用貧乏”と貶められてきた。しかし、AI時代を迎えて、再び多様なスキルが脚光を浴びている。



 もちろん、すべての技能においてプロレベルである必要はない。私の場合、プロレベルなのは、リサーチ、プロダクトづくり、アート、本を書くこと、など。セミプロレベルなのが、学生時代に身につけた映像編集の能力など。アマチュアレベルなのが、ビデオカメラをまわすこと、写真を撮ることなどだ。iPhoneのカメラは優秀なので、アマチュアレベルでも自分で使う映像なら問題はない。


 これらスキルセットのユニークな組み合わせで、他人ができないことをやることが重要だ。たとえば、キングコングの西野亮廣氏の場合は、お笑い芸人×絵本作家、として才能を掛け合わせることで個性を際立たせている。


■未来を予測する確実な方法は「それをつくること」

 他人にはできないことをやる能力以前に必要なのが、やりたいことをやる能力だ。受験勉強は、子どもたちのやる気をまったく育ててこなかった。なぜなら受験勉強は、ゲームと同じく、勝っている人以外は、楽しくないからだ。


 そんななか、日本の教育界が2020年からSTEAM教育へと舵を切ることになったのは評価できる。重点化が予定されるのは、S=サイエンス、T=テクノロジー、E=エンジニアリング、A=アート、M=数学。プログラミングが小学校から必修となり、かつてないほどアート教育に注目が集まっている。



 それと同時に、未来が読める人間を育てるべきだ。パーソナルコンピュータの父とされるアラン・ケイに有名な言葉がある。「未来を予測する最も確実な方法は、それをつくることだ」。日本においては、未来に対する漠然としたロマンを語っているものとして誤解されがちだったこの言葉。しかし、その真意を私なりに翻訳させてもらうと、「未来のとある商材の価値を予想するには、それを発明しなければならない」もしくは「未来という同一の商材に対して、アービトラージは効くか」となる。たとえば、自動運転が実現されると分かれば、関連企業の株を前もって買うことができるのだ。


■役に立つのは会計学と博士号

 今後、AIに仕事を奪われると言われたホワイトカラーは、どんどん分が悪くなってきている。複数人に発注しなくてもクラウド上やデスクトップ上で仕事が完結し、マネージメントが必要なくなって来ているからだ。一方で、世の中には投資・投機マネーが余っている。それゆえAI時代を生き抜くひとつの方法として、ホワイトカラーからマルチカラーになるために、起業することを強くすすめたい。20代はもちろん、たとえ30代以降でもまったく間に合う。ただし、それにはいくつか条件がある。



 まずは、BS・PL(財務諸表)は読めたほうがよい。会計学の知識は必須だからだ。それから、貯金よりも借金ができる人間になること。私は研究費を無駄に使うタイプではないが、やりたいプロジェクトに対してラボのお金が足りない場合、節約するのではなく、調達するほうを選ぶ。ビジネスとしてスケールさせて、リターンを返せばよいという考え方だ。そのためには、投資に値する信用される人間であることが必要だ。


 Ph.D(博士号)も取っておくとよい。高度な専門性の証明となる。ハーバードやMITならハクがつくが、日本やアジアの大学でも問題ない。もしお金がないのなら、借金すなわち奨学金を利用してでも、学費を調達すべきだ。


■会社を辞められないときは?

 そして、自動運転関連や機械学習関連のような、いち早く予測して空いている分野に参入してポジションを取ること。


 起業に便利な会計ソフトなどのITツールは、どんどん使うべきだ。AIもその特性を理解したうえで活用したい。使えば使うほど、あなたのやり方を学習するから、2カ月、3カ月たつと、驚くほど仕事が楽になるだろう。


 さらには、古い時代の金融ステータスは、これからも本当に合理的か疑うべきだ。たとえば、ローンを組んで家を買うことを当たり前と思っている人は多いが、実際は借家のほうがいまや有利である。以上が、起業に必要な条件である。


 とはいえ、すべてのビジネスパーソンが起業できるわけではないだろう。古い業態の会社に勤めており、辞められない場合はどうするか。そんな人は、もしこの部分を新しくしたら多くの人が楽になるのにな……ということにいち早く気づき、社内で新規事業として立ち上げればよい。たとえば銀行で働いていて、ビットコインが流行っていると分かったら、新しい預金システムを行内でつくることを提案してみてはどうか。雇用契約の問題で社内では不可能となった場合は、副業として自分で起業すればよい。


 たとえ会社員であったとしても、ポートフォリオワーカー志向とフリーランス思考が、AI時代を生き抜くために重要となってくる。


(落合 陽一)


注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

コメント 4

  • 匿名さん 通報

    AIや機械と競争するのではなく、人間同士で競争して勝てば良いのだ。AIであろうが機械であろうが、それらを管理する人間は必要。その地位に居ることで高い収入も手に入る。

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  • 匿名さん 通報

    どちらにしろ、職を奪われる人間が溢れるでしょ。人件費が減り、利益は増えても金を使う人間の数が減ったら経済回らなくならないか?むしろ生活保護対処が増えて大変な事になるかもね。

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  • 匿名さん 通報

    AI時代になれば一人当たりの生産性は上がり賃金は多くなる。しかし、人手とAIとのコスト比較でバランスする。AIがコストダウンすれば人手が余り賃金も下がることもあり得る。

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  • 匿名さん 通報

    ネットコラムによく出てくる自称文化人の一人か。「大学の先生…100個ぐらいの仕事を」とか、相変わらず自慢話がうざい。

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