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石破茂・元防衛相が自民党総裁選の出馬会見をフリー記者にも開放、安倍首相会見との違い鮮明に

2018年8月13日 08時31分

身振り手振りをまじえて、政策を説明する石破茂・元防衛相

 石破茂・元防衛相が8月10日、衆議院第二議員会館の多目的室で16時から自民党総裁選への出馬会見を行った。会見場に貼られた石破氏のポスターのキャッチフレーズは「正直、公正、石破茂」というもので、森友・加計問題で“お友達優遇”と批判されている安倍晋三首相への当てつけともいえる内容だった。

 石破氏は冒頭発言でこう語った。

「思いの一端を申し述べさせていただきます。私は、正直で公正、そして、謙虚で丁寧。そういう政治を作りたいと思っております。『なんだ、当たり前のことではないか』と言われるかもしれません。

 しかし、なぜ今の時代、正直で公正、丁寧で謙虚、そのような政治が求められるのか。それはこれから先、わが日本国が直面する大きな課題に対応していくためには『日本の設計図』を書き換えていかなければいけないからであります」

「未来は過去の延長線上にはありません。過去の遺産にすがり、そして次の時代に負担を先送りするような、そのような政治であってはなりません。設計図を書き換えていくためには、政治が国民の皆さま方に対して、誠実で謙虚で正直に勇気を持って真実を語る。その姿勢が必要であります。

 そして国民の皆さま方、その政治の語りかけに対して納得と共感を寄せていただく、信頼を寄せていただく。そうでなければ設計図を書き換えることなどはできません」

◆自民党の会見では異例、フリー記者にも会見をオープン

 石破氏の会見が異例だったのは、フリー記者にも会見をオープンにして、挙手した質問者の質問に全て答え、しかも冷静かつ丁寧だったこと。その結果、会見は1時間30分という長時間になった。

 国会などで野党議員に気に入らない質問をされると逆ギレして、持論をとうとうと述べる安倍首相との姿勢との違いが際だった。永田町で40年以上取材をしているベテラン記者は次のように語る。

「自民党関係者の会見は、記者クラブ『平河クラブ』が主催し、フリーは排除するのが長年の通例です。入れたとしても質問はさせない。石破会見にフリーの記者を入れて質問を認めたのは、極めて異例なことです。

 私もフリーを入れると聞いたとき、とはいえ質問者は『平河クラブ』の記者に限られるだろうと思っていました。それがフリーにも質問を認めるという前例のない措置でしたから、正直驚きましたよ。永田町を40年取材していますが、こんなことは初めてです」

杉田水脈議員のLGBT差別発言を批判、同性婚にも理解を示す

 質問のトップバッターに立ったのはゲイレポーターの酒井佑人記者。酒井記者は「杉田水脈衆院議員のLGBT(性的少数者)に関する発言についてどう考えるか。同性間のパートナーシップ制度や同性婚についてどう考えるか」と質問、石破氏はこう答えた。

「いわゆるLGBTの方々は日本国民の、人類と言ってもいいのかもしれませんが、8%おられるといわれています。12.5人に1人です。どんな考え方を持っても自由ですが、あらゆる人に対して人権を侵害することはあってはならないことだと思っております。

 そういう方々が、一人一人の日本国民として基本的人権を共有し、この日本において生きていかれるために、われわれ政治は力を尽くしていかねばなりません。それが政治の責務なので、それを否定したり、あるいはそういう方々の思いを傷つけて平然としていたりということがあってはなりません。

 われわれ自由民主党は、間違っていることは間違っているときちんと指摘する。そういうような政党でありたいと思っています。『いろんな考え方があっていいからね』ということが、すなわち自由民主党の懐の深さだと私は認識をいたしておりません」

 続いて石破氏は、同性婚についての考えも語った。

「そして、同性婚等々については、いろんな議論がございます。両性の合意をもって成立をする。そこにのみという言葉が入っておりますが、これをどのように考えるかということについてはいろんな議論があると承知しております。

 一部の地方自治体において、そういうことを認めるような動きがあることも、また事実であります。一人一人が差別を受けることなく、人としての幸せを実現していく。そういうような観点に立って、この問題には取り組んでまいりたいと考えておるところでございます」

 この発言に対してネット上では、LGBT関係者たちの「石破氏はLGBTについてよく分かっている」という書き込みが相次いだ。

◆安倍首相の会見は、質問も回答も最初から用意されている

 それにしても、石破茂氏が自民党の慣例を破ってまで、フリー記者にも会見を開放したのはなぜだろうか。これに対し、「安倍首相との違いを鮮明にするためではないか」と語るのは大手紙記者だ。

「安倍首相になってから、首相の会見は極端に少なくなりました、小泉純一郎・元首相が毎日ぶら下がり取材を受けていたのとは対照的で、ぶら下がり取材も少ない。しかも安倍首相の会見は事前に質問提出が必要で、指名されるのは都合のいい質問をしてヨイショしてくれる記者ばかり。

 大川豊氏(「大川興業」総裁)は雑誌協会のプレスパスで首相会見に毎回出て、挙手していますが、一度も当てられたことがありません。記者会見とはいえ、質問も回答もすでにできているんですよ。

 国外で会見をやるとき、外国のプレスは事前通告したのと違う質問をします。それに対して安倍首相がとんちんかんな答えをしてしまうのは、記者クラブ会見になれてしまっているからなのです。石破茂さんは、そんな安倍首相の閉鎖的なプレス対応に風穴を開けたいのでしょう」

◆石破氏「メディアを選別したり制限したりすることはあってはならない」

 石破氏は最後に、記者からプレス対応について問われて、次のように締めくくった。

「私は民主主義社会のために、たとえ自分が気に入らないことであっても不都合なことであっても、取材に対しては極力応じるべきだという考え方を今までとってまいりました。従って、そういう思いのもとにこれからメディアとの対応はしてまいりたいと思っております。

『なんでこんなこと書かれるんだろう』って悲しいことや悔しいことはいっぱいあります。『なんで分かってもらえないんだろう』ということはあります。しかし、だからといって、メディアを選別したり制限したりすることはあってはならないと思っております。

 それはものすごい負担でもあるでしょう。ですけれども、それが政治の使命だと自らにそれを納得せしむることは肝要だと思っておりますので、仮にそうなりましたら、ぜひよろしくお願いいたしたいと思う次第です」

 フリー記者への会見開放までは明言はしなかったが、「メディアを選別したり制限したりすることはあってはならない」という言葉からは、石破茂氏が自民党総裁になった場合、会見のオープン化を認めるともとれる発言だ。

◆総裁選の結果次第では「石破待望論」が出てくる可能性も!?

 現時点では、石破氏が総裁選で安倍首相に勝利する可能性は低いと見られている。「しかし」と語るのは前出の永田町ベテラン記者だ。

安倍内閣の支持率・不支持率は拮抗していますが、不支持のいちばんの理由は『総理の人柄が信用できない』というもの。つまり、政策うんぬん以前に『安倍首相が嫌いだから支持しない』というのが理由のトップなのです。

 かつて小泉純一郎・元首相は『政局は参院選前にある』と喝破しました。ダークホースだった小泉氏が2001年に自民党総裁に選ばれたのも、参院選を間近にして『彼じゃなければ自民党は大敗するだろう……』という危機感があったからです。安倍首相が総裁に3選しても、参院選前に支持率が低下すれば“安倍おろし”が起きてくる可能性もある。

 前回の参院選では、沖縄選挙区以外での1人区は自民党がすべて押さえた圧勝ですからね。議席減は免れない。今回の総裁選で石破氏が健闘すれば、『石破待望論』が出てくることも十分あり得る。勝敗がほぼ見えている総裁選とはいえ、その結果には要注目ですよ」

 今後も石破氏の動向には目が離せない。

<文・写真/及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局長)

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

「石破茂・元防衛相が自民党総裁選の出馬会見をフリー記者にも開放、安倍首相会見との違い鮮明に」のコメント一覧 56

  • 匿名さん 通報

    記者会見をオープンで公正なものにする。これ自体がひとつの「政策」なのである。政治とメディアの関わり方について安倍政権はあまりに杜撰で高圧的であった。

    41
  • 匿名さん 通報

    国民は自分の見たいものしか見ない。その程度の存在だという上から目線が安倍政権の特徴。そこから憲法9条3項追加論や「あんな人たち」発言も出てくる。メディア対応は全ての政策につながっている。

    38
  • 匿名さん 通報

    日本の財政、金融を破綻させるアベノミクスを止めてくれるなら誰でも良い。Anyone but Abe、安倍以外なら誰でも良い。

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  • 匿名さん 通報

    「アベ昭恵と加計孝太郎の証人喚問をする」を公約にすれば圧勝。

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  • 匿名さん 通報

    至極普通のことを行うだけでまともに見える。アホ以外ならだれでもいい。あめ玉貰っているやつ、自分はちがうと思っているやつはつまらないことを言う。

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