超特急史上に刻まれる、メンバーと8号車が深く連結された夜/レポート

■超特急/【BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning】ライブレポート
2017.12.27(WED) at 横浜アリーナ
(※画像16点)

クリスマスを皮切りにスタートしたアリーナツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 the end for beginning』。クリスマス編から年始編へとスイッチした横浜アリーナのライブで、超特急史上語り継がれるであろう一大事は起きた。


会場に集った15,000人の8号車は、開演を今か今かと待ちわびていた。その“期待感”が場内に膨らむ中、リーダーのリョウガの口から思いがけないアナウンスが届けられた。リョウガはできるだけ冷静に、平静を装って話したにちがいない。いつものようにライブ中の注意事項などを述べた後だった……、「ユーキがリハーサル中に怪我をした」と告げたのだ。
超特急史上に刻まれる、メンバーと8号車が深く連結された夜/レポート

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ダンスへの思い入れが人一倍強いユーキは、ライブで光り輝く存在。だからこそそこでリョウガはきっとこう言い切ったのだ、「最高の夜にします!」と。
いつもとは違うライブになること必至の夜は、こんなふうにして始まったのだった。

8号車という大切な人と出会うため、宇宙を旅するスペーストレインというオープニング映像が流れた。スペイシーな空間に漂うような7人が大きなビジョンに映し出されると、場内から大きな歓声が上がった。と、次の瞬間メインステージから花道でつながった円形のセンターステージがせり上がった。どこか宇宙船を思わせる舞台装置に7人が登壇! 年始公演テーマソング「The End For Beginning」でライブは幕を開けた。

「新たな旅が始まった。
みんな最高に楽しんでいこうぜ!」の声で、場内はいきなりクライマックス状態に。曲の合間には、メンバーが次々に8号車へ「ユーキ」コールを促した。「もっとユーキ愛を聞かせてやってくれ」というコーイチの男っぽい呼びかけに、さらに8号車が「ユーキ! ユーキ!」と叫ぶ。一瞬にして、絆が深まり温かな空気に満ちていった。
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「Drive on week」「Secret Express」など初期のダンサブルなナンバーを立て続けに魅せた後、再び映像が流れた。リョウガがナレーションを担当しているのだが、どんどんとMCスキルがアップしているのを感じる。
そんなところからもこの1年の濃密さが伝わってきた。

衣装チェンジした7人は大人っぽいエレクトロナンバー「Time Wave」で8号車を魅了。かと思えば、「ここは一体どこだろう?」とおどけながら、「pani pani」のビビッドでポップな世界へと誘う。コーイチとタカシの早口言葉のようなラップの応酬も見事だ。曲の終わりにカイとユースケが穴に落ちるという“ズッコケ”ぶりもまだまだ健在だ。

意外だったのは、ダンスバトルのセクションではユーキがトップバッターを飾ったことだ。
きっと痛みも不自由さも抱えていただろうが、しなやかなダンスを披露し拍手喝采を浴びていた。ユーキの熱いパフォーマンスを受け、ユースケは元気いっぱいに、カイはクールでセクシーに、タクヤとリョウガは華麗にダンスをつないだ。
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ダンスの熱い余韻を引きずりながら、ダークなロックテイストのサウンドが印象的な「Beautiful Chaser」では本物の炎が揺らめいた。火が燃えるニオイや熱が遠い客席でも感じられ、5感で楽しめるのもライブの醍醐味だなと改めて思わされた。曲の終わりには、囚われの身となったユーキが目の覚めるようなイリュージョンで悪者を退治するというシアトリカルな演出も。ユーキの情感がこもった演技も素晴らしいものだった。


カジュアルな衣装へと着替え、ピュアな冬ラブソング「Snow break」でうっとりとさせたかと思えば、続く「Gravitation」ではユーキを除く6人がトランポリンに挑戦。タカシが宙返りを決め、ユースケはトランポリンの上で縄跳びをし、タクヤは身体能力の高さを生かして無重力のように壁を駆け上がってみせた。これでもかというくらい降り幅広くエンタテインメンを見せつけるのも超特急のライブの魅力だろう。

ここでユーキを招き入れ、8号車お待ちかねのMCコーナーへ。まずはじめにユーキが「ドジっ子しちゃった(汗)。ご心配をおかけしてすみません。
心は超元気です!」と笑顔で挨拶。マイペースなタクヤは「こんなにたくさん曲をやってからMCするの初めてじゃない?」と笑い、カイは相槌を打ちながらも1月からスタートする連ドラ『アンナチュラル』(三澄秋彦役で出演)の告知をぶっ込んできた。なんと自由で愉快な面々だろう。
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7人はいつしか2017年を振り返り始めた。ユースケは作詞作曲したことが印象に残っているという。「実は20分で書いたんです。降りてきたんですよ。(書いたものを)コーイチに送ったら……どこにいたんだっけ?」とユースケが振ると、コーイチは「台湾に旅行に行ってた。まじ、めんどくさかった」と返し、場内を笑いで包んだ。

タカシは俳優としての仕事が増えたことを挙げ、ドラマ『花にけだもの』で演じた和泉千隼役が自分とはまるで違うキャラクターで役作りに苦労したと打ち明けた。グループとしても個々でも、新たな挑戦によってフィールドを広げた証拠だろう。

和やかなトークは尽きそうもない。そんな時、グループをまとめるのはカイだ。「アリーナ、準備できてますか?!」の呼びかけで、後半戦へとなだれ込んだ。

7人がお茶目にラインダンスを踊る「ライオンライフ」で、いつもクールなタクヤがおどけた表情を見せると会場からは黄色い声が飛ぶ。続くメロデックでポップな「My Buddy」はドラマ『警視庁いきもの係』のテーマソングとしてお茶の間で親しまれたナンバー。覚えやすい振り付けを8号車も一緒に楽しげに踊っていた。
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「後半戦、もっと楽しもうぜ!」とユーキが呼びかけ、号砲が轟き「Shake body」へ。パーティーチューンで場内のテンションは上がったところへ、「横アリ、まだまだ騒いで行きたいんじゃないか!!」とユースケが絶叫。熱量の高いナンバー「Burn!」でさらにハートを熱くした7人+15,000人。ユースケが再び「8号車の皆さん、ラストスパートです」と呼びかけ、ここからは怒涛の名曲オンパレードとなった。オリコン1位に輝いた「超ネバギバDANCE」の演出で8号車を驚かせたかと思えば、「走れ!!!!超特急」で心を寄り添わせ、「gr8est jarney」で15,000人が心を一つにして手を振る光景は圧巻だった。

キャノン砲で桃色のテープが打ち上げ、ライブの人気定番曲「バッタマン」でいよいよ本編ラストだ。変顔をすることに当初戸惑いもあったというユースケだが、今では全力で変顔し8号車を楽しませている。間奏でカイとタクヤが顔を近づけチュー(実際には、おでこ同士をつけただけ)。このアドリブに8号車は絶叫しないはずはない。

「こんな素敵なライブができたのは8号車のおかげです」とカイが謝意を述べ、「皆さんとの遊びを超えた、幸せな時間を過ごせました」とリョウガが思いを伝え、本編は幕を下ろした。
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すぐさま熱狂的なアンコールの声に誘われ、ソフトスーツに身を包んだメンバーが再登壇。アリーナツアークリスマス公演テーマソング「BREAK OFF」を披露した。キラキラしくどこかバブリーな香りが漂う今のトレンドを捉えたアップチューンで、激しいダンスが特徴だ。1曲踊り終えただけでリョウガは息を切らせながら「この曲、すげー。みんなは疲れない?」と話しかけ、再びMCが始まった。

タクヤは締めのトークらしく「いろんな会場でライブをやらせていただいた。横浜アリーナ(のような大きな会場)でできるなんて感謝するしかない」と思いを告げた。ファミリー愛が強いタカシは「8号車の1人1人が大切なメンバーやなと思った」と言い、カイは「横浜出身だから今日はめちゃめちゃ楽しみにしてました。ユーキのトラブルもあったけど、8号車ともメンバーとも絆を再確認できた。2018年はもっともっと強めたいです」と特別な気持ちを語った。

それまでじっと聞いていたユーキが、「しゃべってもいい?」とメンバーに懇願。「今日しか来れない8号車もいたと思うんです。だから……、100パーセントのパフォーマンスができなくて正直、悔いが残ります。もしもまた今度があったら、また今度会えたら絶対に笑顔にします!」と力強く誓った。
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実は、ユーキがライブの総合演出を手がけていたのだという。誰よりも思い入れの強かったライブでトラブルに見舞われ、誰よりも悔しく苦しい思いをしたのはユーキ本人だったはず。会場にいた全ての人がそれを分かっていたからこそ、言葉では言い表せない強いて深い絆が会場を包んだのだろう。

リョウガがリーダーシップを発揮して「泣いてる場合じゃない! 泣くのはいつだってできる。楽しむのは今しかできない」と呼びかけた。ハイパーなアップチューン「超えてアバンチュール」に合わせて、センターステージに集った7人は躍動感たっぷりに踊り、歌い、再び8号車も笑顔になったのは言うまでもない。ユーキとリョウガが固くハグした姿がとても印象的だった。

「最高の笑顔を送ってくれ!」と叫び、最後の爽やかさとEDMが融合した心躍るナンバー「fanfare」へ。15,000人の手拍子で一体感を増して大団円を迎えた。
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ユーキは「まだまだ突き進んでいきます」と約束し、「最高の1日でした。僕たちは2018年も突っ走っていきます。そのためにはここにいる8号車の思いが必要です。この先も(一緒に)最高の人生を歩んでいきたい」と熱い思いを告げ、ドラマチックな夜は幕を閉じた。

伝説は思いがけないトラブルやアクシデントから生まれたりするのかもしれない。数年後、振り返った時、あのライブは奇跡のようだったと誰もが思う……そんな不思議なパワーと魅力に包まれた夜だった。
(取材・文/橘川有子)

≪ツアー情報≫
【BULLET TRAIN ARENA TOUR 2017-2018 “the end for beginning”】
2018年1月6日(土)大阪・大阪城ホール

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