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【ライブレポート】甘美な世界観で魅了 “歌を生きる”中島美嘉の圧巻パフォーマンス

2018年2月13日 13時05分
2001年にドラマ『傷だらけのラブソング』(フジテレビ系)のヒロインで女優デビュー。自らが歌った主題歌『STARS』がヒットし、一気にスターダムを駆け上がった中島美嘉。繊細さとダークネス、甘美さと冷酷さなどアンビバレントな世界観を違和感なく体現する懐の深さと、その美貌を持って15年以上も孤高の存在であり続けている。そんな中島が4年ぶり、8枚目となるアルバム『TOUGH』を発表。それを携えて『MIKA NAKASHIMA FULL COURSE TOUR 2017 ~YOU WON'T LOSE~』を開催した。

■“FULL COURSE(フルコース)”の名に違わぬ、ボリューム満点のライブ

クラシックコンサートも度々開催される会場の東京・Bunkamuraオーチャードホールに、厳かなオープニングSEが流れ、年末の慌ただしさをしばし忘れさせてくれる。そんな折、会場が暗転し客席に道化師が登場。サプライズなスタートに観客も目を見開いている。おどけたパントマイムを披露しながら徐々にステージへと近づき、壇上へ上がると主役の登場を煽るように手を大きく振った。


観客の期待感が頂点に達したとき、半透明のスクリーンが解き放たれ女王が現れた! 映画『NANA』の衣装でもお馴染のヴィヴィアン・ウエストウッドのラブジャケット姿で中島が登壇。

両サイドで赤と黒の衣装に身を包んだバレリーナがしなやかに踊る中、大ヒット曲『GLAMOUROUS SKY』を熱唱。のっけからの彼女独自の世界観に引きずり込む演出に、ファンは緑とオレンジのペンライトを懸命に振って応えていた。

ロックな姿を見せたかと思えば、今度はやおらしゃがみこんで『一色』を歌い始めた。少し頼りなげに語りかけるような歌と、月光を思わせる青白い光に浮かぶ中島は、とても脆く儚く見えた。そのアンビバレントさもまた中島ならではの強力な魅力だろう。最初のMCで「いつも通り最後まで、魂込めて歌います。フルコースの名の通り、最後までぶっ飛ばします。楽しんでください!」と宣言。事実、その通りの充実したライブとなった。

『雪の華』では繊細に柔らかく、アコースティックで温かな『Forget Me Not』では優しく歌うなど、歌詞の世界観を細やかに歌い分けるのも彼女のシンガーとしての素晴らしいところ。序盤は、『ALWAYS』から始まり『ORION』『愛してる』『STARS』などをつなぐバラードの名曲メドレーで観客をうっとりさせていた。

かと思えば、中盤ではハードなギターが轟くなか、体にフィットするレーシーなボディスーツをまとったボンテージ風衣装で登場。全身タトゥーかと錯覚するような様相で、力強く『Fighter』を歌う姿は、あたかも勇敢なマオリの戦士を彷彿とさせた。


『TOUGH』『I DON'T KNOW』など、ダークでエモーショナルなロックチューンが続いて、さらに会場の熱量も高まる。『BLOOD』ではバレリーナと膝立ちになり、赤いロープを振り回した中島。かと思えば、足を高く蹴り上げるなど大暴れしながら、ロックを全身で表現。鬼気迫るものがあった。


■怪しくも華麗な世界と魂の歌に引き込まれる

濃厚な時間の後、にわかに花畑の映像が現れた。また違う世界へと誘ってくれるのだろうと期待が膨らむばかりだ。その期待は、いい意味で裏切られた。というか、想像を超えていた。ステージ中心で上下する舞台装置に乗り、金髪の人魚姫のような中島は『蜘蛛の糸』『明日世界が終わるなら』を朗々と歌い上げた。歌……という形は取っているが、それは紛れもなく彼女の心の叫びに他ならない。悲しげに狂おしいほどの歌唱にもかかわらず、絶対的な愛の歌は神々しくすら響いた。誰もが固唾を飲んで彼女の歌に聴きほれていた。

重厚で芳醇な人生歌が並んだ後、バレリーナが『白鳥の湖』の一幕を演じ始めた。ダンスパートやバンドのバトルはままあるが、本格的なバレエとコラボできるポップスのコンサートはそう多くない。そこにもステージに対するこだわりと、独創性を垣間見た気がした。

ファンからのサプライズに感涙。歌い続ける意味とは……
ポップな『恋をする』以降は観客とハッピーな時間を過ごすセクションへと突入。フルコースでいうなら、食後のデザートといったところか。赤いミニドレス姿に客席から「かわいい」の声が上がり、照れながらも「知ってる」と応じ、笑いが起きる一幕も。

本ツアーは中国公演がスタートだったこともあり言葉の不安から、普段より多くの衣装チェンジをしたという。どんなファッションも着こなせる中島の七変化を見られるのだから、ファンとしては大歓迎だったに違いない。

内容の濃さからすでにデザートタイムかと思っていたが、それは間違いでまだまだ口直しの氷菓だったようだ。なんと『A or B』をフルで歌った後に『LIFE』『Over Load』『ONE SURVIVE』など熱量の高い7曲連続のメドレーを用意していたのだから。

ゴスペル調の『ALL HANDS TOGETHER』では観客との一体感がより強固になったのを感じた。それを誰よりも肌で感じたであろう中島は、ラストの『花束』で涙をこらえながら深々と頭を垂れ、心をありったけ込めて歌った。「ありがとう」という言葉に精一杯の謝意を込めて、中島はステージを後にした。

だが、全身全霊の歌に“ありがとう”と伝えたいのはむしろこちらの方だ。アンコールの声に呼び寄せられたとき、観客全員が“ごちそうさま ありがとう”と書かれた紙を手に掲げていた。当人だけが知らないサプライズに感激し、涙声で「ありがとう……。歌えるかな」とつぶやいた。自身も大好きだというアコースティック編成のカヴァー曲『メロディー』を歌い、心を落ち着かせたのだろう。普段はあまり語らない中島が、語り始めた。

「デビューして15年以上歌ってきました。私がいる意味、歌う意味はなんだろうといつも考えてきました。以前、アコースティック・ツアーをやらせてもらったときに、気がついたんです。大人たちが自由に泣ける場所でいいんだって。大人になると泣かずに頑張れと言われるけど、泣けばいいと思う。楽しいことも大好きだし、そういう(大人が自由に居られる)場所をこれからも作りたい」

この日はツアーファイナルということもあり、13年ぶりにHYDEとコラボした新曲『KISS OF DEATH』を初披露。どこか妖しくも美しい世界観は、やっぱり中島美嘉によく似合う。「今日来てくださったお客様にお礼を込めて」と『JOY』も歌唱。さらには、最終日だからとツアーメンバーでもある土屋公平とのユニット、MIKA RANMARUで歌っているT. REXの名曲『20th Century Boy』をパワフルに熱唱。熱狂のうちにフルコースは最後を迎えた。幅広い楽曲を歌ってきた彼女だからこそ魅せられる色鮮やかかつ深遠な世界。たっぷりと味わいつくし、ぜひ心をいっぱいに満たしてほしいものだ。

Writer:橘川有子
(提供:ヨムミル!Online)

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コメント 1

  • 匿名さん 通報

    この人、歌が上手いと思ったことがありません。 圧巻ではなく、悪寒ですね。ホントに。

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