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ありったけの想像力と創造力で2万人に“心”を届けたコブクロ

2018年4月2日 18時40分
1998年、大阪でストリートライブをしていた二人が結成したコブクロ。1999年にインディーズデビュー、2001年にメジャーデビューした彼らは、常に名もなき人々に寄り添う歌を届けてきた。そんな二人が最新シングル『心』を携えて全国ツアーを開催。そこで見せたのは、全身全霊をかけて目には見えない“心”を届けようとする姿だった。

■壮大かつアットホームなライブ

ツアータイトルにもなった『心』は、映画『ちょっと今から仕事やめてくる』の主題歌として耳にした人も多いだろう。この楽曲に限らず、コブクロはこれまでも楽曲の中で、“心”を大切に歌い続けてきた。ライブのオープニング映像はまさにそれを可視化していた。歴代のヒット曲や人気曲から“こころ”と歌われたフレーズをつないで1つの楽曲にしてみせたのだから。

映像と歌声に見入っていると、二人はふらりと歩いて登場。アリーナ中央に設営された360度を見渡せる威風堂々としたステージに、まるで近所のコンビニから来たみたいなラフな風情で現れた。これこそ、等身大であり続けるコブクロそのものだ。

大歓声の中、黒田が「行くぞ!」と呼びかけてライブはスタート。ツアーファイナルのさいたまスーパーアリーナ公演で最初を飾ったのは新曲『君になれ』だった。彼らのチャレンジする意気込みがこの曲からも伝わってきた。続く『虹』で美しいハーモニーを響かせ、疾走感のある甘酸っぱいナンバー『君という名の翼』は2万人が灯すライトが青一色になり、幻想的な空間を形作った。

『紙飛行機』では、天井から無数の紙飛行機がひらひらと舞い降り、爽やかなミディアムチューンを美しく彩った。かと思えば、ニューシングルのカップリング曲でエレクトロなサウンド感が新鮮な『HELLO, NEW DAY』はレーザー光線が場内を射抜き、スペイシーな空間に早変わり。ロックなテイストが絡み合うスケールの大きなナンバーは、黒田の深みある歌声でさらに広がりが感じられた。

同じく最新シングルのカップリング曲『LIFE』では、コブクロのライブで初めて導入したリストバンド式のライトが真っ白な光の点々となり、ピュアで温かみのある空間を作り上げた。普遍的なメロディーとリアリティのある言葉、温かな歌声を基本に、様々なサウンドと演出で楽曲の世界を巧みに表現して魅せる力量に、前半から圧倒されるばかりだった。

■脱線は当たり前? 爆笑MCもライブならではの楽しさ

楽曲では真摯に音楽と向き合い、真心を込めて思いを届けるコブクロ。だが、MCとなると2人の個性的なキャラが爆発し、会場はしばしば爆笑に包まれる。熱血漢の小渕は、熱い言葉でオーディエンスに呼びかけることも多いが、それを一番そばにいる黒田が茶化す。その絶妙なやりとりは、長年連れ添った夫婦漫才のようだ。

最初のMCで、小渕が観客に向けて「手拍子という最高の楽器を最後まで鳴らして」と笑顔いっぱいに呼びかけると、黒田がすかさず「目が血走ってて、サンシャイン池崎みたいだな」と茶々を入れる。それに対して小渕は怒るどころか、逆に黒田の振りに乗って全力でモノマネを披露。そこにいた全員が爆笑したのは言うまでもない。

かと思えば、後半の『Starting Line』を演奏する直前では、思い出話でホロリとさせた。99年に当時の所属事務所の社長(現在は会長)から「屋根のある会場でライブをやってみないか」と提案され、ストリートライブの観客を誘って満員にする手応えを感じていたという。だが、蓋を開けてみたら満杯には程遠い集客だった。その悔しさが活動の原動力になったのだと告白した。何もない路上から始まり、痛みや苦さを経験してきた二人。だからこそ、彼らの歌は多くの人の心を震わせるのだと改めて思い知らされた。

■コブクロの今を映し出す新しい応援ソング『心』

ライブの核心である『心』は、終盤に歌われた。歌の前に流された映像メッセージでは、傷ついた心のつぶやきが淡々と写し出された。誰かを想い、未来を思い頑張り過ぎて、今の自分の心をないがしろにはしていないか……。優しいタッチの映像ではあったが、その裏には、深く、そして重厚なコブクロからの投げかけが潜んでいるように思えた。

そんな問いかけを胸の中で思い巡らしていると、小渕と黒田はたった二人だけの完全なアンプラグド状態で『心』を歌い始めたではないか。疲弊した心を再生させるかのように、魂を焦がすように、命を燃やすように歌いかける二人。その思いと熱を受け取った観客は、歌い終わった瞬間から拍手と歓声を止めることができなかった。音楽の持つパワーのすごさを、まざまざと見せつけられた瞬間だった。

「ここからは最高に盛り上がっていきますよ!」と小渕が呼びかけ、ラストスパートへ。ロックテイストでワクワクする新曲『白雪』。エモーショナルなナンバー『memory』とテンションはみるみる上昇し、『ストリートのテーマ』では、この日一番の大合唱に。この時点ですでに2時間半を優に超えていた。


熱心なアンコールに応じて再び姿を現した二人は、観客との絆を確かめ合い、深め合うように『未来』、そして『轍-わだち‐』を歌い合った。その時、会場に漂っていたのは実に親密で温かな空気だったことは間違いない。コブクロはこれからも“心”からの思いを『心』込めて歌い続けていくだろう。心が元気を取り戻し、ホッとする彼らの歌の魅力が最大限に生かされるライブを、是非一度堪能してみてはいかがだろうか。

Writer:橘川有子
(提供:ヨムミル!Online)

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