Mrs. GREEN APPLE ジャンルレスなエンタメアルバム『ENSEMBLE』/インタビュー1

■Mrs. GREEN APPLE/3rd Album『ENSEMBLE』インタビュー(1/3)

こんもり丸いチキンライスにハンバーグ、横にはフライドポテトとプリン……、何歳になっても心惹かれる「お子様ランチ」。あれも食べたい、これも食べたいという欲張り心をくすぐるメニューと見た目にも楽しいアミューズメント感は、やはり子どもを卒業したからといって捨て置けない。
それに通じる楽しい欲張り心を思い出させてくれるのがMrs. GREEN APPLEの3rdアルバム『ENSEMBLE』だ。ジャズにゴスペル、アイリッシュミュージックにEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)など、スタイルに関係なく縦横無尽に音楽を奏でる。そのジャンルレス感は、とにかくワクワク、ドキドキ、ウキウキとリスナーをハッピーに翻弄してやまない。Mrs. GREEN APPLE、2018年の音楽シーンに新たな旋風を巻き起こすに違いない5人組である。
(取材・文/前原雅子)

「人の娯楽になりたい!」みたいな欲の強い5人が集結している

──アルバムの方向性はあらかじめ決めていたそうですね。

大森:コンセプトみたいなものはありました。
ジャケットにもあるようにテーマパークというか、海外のショービズやディズニーの世界観みたいなファミリーで楽しめるエンターテインメントっていうのを意識して作りたいという話は、制作前に4人にしていまして。だから最初にテーマパークみたいなものを作って、1曲1曲が劇場で行なわれてるショーの演目のように強い曲を作ろうっていうところから、今回のアルバムができていきましたね。

──前2作もコンセプトを決めて制作を進めていったのですか。

大森:1枚目の『TWELVE』は初めてのアルバムだったので、あまりコンセプトっていうわけではなかったですけど、2枚目の『Mrs. GREEN APPLE』はティーンポップというかポップバンドっていうのを掲げて作りました。わりとコンセプトみたいなものを、前もってメンバーみんなで共有するバンドだとは思いますね。

──エンターテインメント性のある音楽には、前から興味が?

大森:もともと小っちゃい頃からエンターテインメント性のある音楽は大好きで。
映画館に行ったり、お芝居を見たり、ミュージカルに行ったり、それこそディズニーとかすごく好きな子だったので。いつかはジャケットも含めて総合的なエンターテインメント性あふれる作品を作りたいなぁって漠然と思ってたんですよね。それがこのタイミングで、やっと踏み出せたっていう感覚が強くて。だからこの1、2年の構想というより、元を辿れば幼少期からこういう世界観は始まっていたんじゃないかなって思います。
Mrs. GREEN APPLE ジャンルレスなエンタメアルバム『ENSEMBLE』/インタビュー1
大森元貴(Vo,Gt)

山中:エンターテインメントとか、楽しいものは小さい頃から大好きでした。でもそれを提供するということでは、基礎とか技術が絶対的に必要になるので。
やっとそういうことができるところに立てるようになったのかなって思いますね。

若井:両親が洋楽が大好きなので、家ではそういう音楽が流れていたんですけど。エンターテインメント性っていうことで言えば、好きだったのはディズニーやピクサーのアニメーション。『トイ・ストーリー』とか、ビデオが擦り切れるまで観てました(笑)。

藤澤:エンターテインメントは僕も大好きです。観たり聴いたりした人が感動して、それを誰かと共有したくなって「あれってこうだったよね」って話すのがエンターテインメントの素敵なところだなって思うんですけど。
僕は個人的にテレビゲームが好きで、ゲームをすると、まさしくそういう気持ちになることがあって。

高野(高の字は正しくは“はしごだか”/以下同):僕はライブを観に行ったときにもらうエネルギーに、エンターテインメントのすごさを感じたりしていました。そこから、いつか自分もステージに立ちたいと思って音楽を始めたり、楽器を始めたりしたので。

大森:そう思うと、「人の娯楽になりたい!」みたいな欲の強い5人が集結しているとも言えますね。文字にするとバカっぽいですけど(笑)、なんかそういうトゥギャザーする感じっていうか、みんなで何かをするのって好きでしたね、小っちゃいときから。

──集まるべくして集まった5人という。


大森:そうかもしれないですね。だから楽器どうこうっていうんじゃなくて、人間性で集まったバンドだと思うんです。僕と若井は中学の同級生だし。だいたいみんな、演奏も見ずにメンバーに誘ってますから。パッと会った感覚で「この人いいかもな」「一緒に音楽やりたいな」って。言ってみれば全員「ステージに立ちたい」っていうのみで、ここまできてる感じですね。
だから「ギターが」「自分のなかのロックが」みたいなのは、一度も話したことなくて(笑)。そんなだから、何にしても共有するのがとっても早い。今回のエンターテインメントにしても、僕がやりたいっていうものを瞬時に理解してくれましたから。
Mrs. GREEN APPLE ジャンルレスなエンタメアルバム『ENSEMBLE』/インタビュー1
若井滉斗(Gt)

──コンセプトやイメージの共有は音を出しながら詰めていくのですか。例えば『PARTY』などは、どういうやり方でアレンジを詰めていくのだろう、と思ったのですが。

大森:作詞作曲はすべて僕なんですけど、編曲もデモの段階で全部作っちゃうんですね。ベースもギターもキーボードもドラムも、ストリングスも金管楽器も全部打ち込んだ下書き模範みたいな音源を作ってメンバーに渡して。だからスタジオに入って「こういう曲を作ってきたんだ」ってメンバーに聴かせて色づけしていくのとはちょっと違うんです。まず僕の頭で鳴っているものをメンバーと共有するところから始まって。その段階で、それぞれのパートじゃ完結しないくらいの音数が入ってるんですけど、それを元に「じゃ、自分はこういう立ち位置でいるね」っていう話が出てきたり。

──ということはメロディーと歌詞は一緒に出てくる?

大森:はい。同時に出てくるので、いっぺんに作っていきますね。

──そこで編曲も同時に。

大森:同時に作ってます。なので曲が先とか詞が先っていう概念がないんですよね。で、その段階でマスタリングまでするんです。

──えっ!? マスタリングまで?

大森:(笑)。メンバーには、いちリスナーとして聴いてもらって。楽譜が書けないので、メンバーは音源を耳コピするんです。

──書けると思ってました。そういうことに長けてる方なのかと。

大森:いやいや(笑)。音楽理論とかも、ぶっちゃけ全然わからなくて。感覚で作ったものをメンバーに聴いてもらって、そこですり合わせていく感じですかね。でもそれが手癖が一番出るのかなって。譜面に書いちゃうと、その通りに弾こうっていう気持ちがが先行しちゃうと思うんですよね。で、そうなっちゃうとメンバーというよりバックバンドになっちゃうので。そういう関係性は絶対に違うから、それぞれのエキスみたいなものを尊重して作ってますね。
Mrs. GREEN APPLE ジャンルレスなエンタメアルバム『ENSEMBLE』/インタビュー1
山中綾華(Dr)

──だからなんですね、作詞作曲編曲まで大森さんが1人で担当しているのに、強い一体感があるのは。

大森:みんな感が。

──そうなんです、やりとりの感じが色濃く匂い出ているなと。

藤澤:あ~~、それはすごく嬉しいですね。

大森:大枠はすごく強く固めてるんですけど、ジョインの仕方がラフというか。そういう感じで作ってますね。でも自分たちでは無理な楽器はサポートのミュージシャンにやっていただいて。ただ今回は、コンガとかのパーッカションに関しては全部を山中が担っていたり。若井もギター以外にバンジョーを弾いてたり。高野もコントラバスを弾いて、藤澤はフルートも吹いてるし。

藤澤:実はフルートは学生の頃、メインで勉強していた楽器なので。活かせるなって。

──いわゆる担当楽器も曲のスタイルもですけど、とっても自由ですね。バンド=ロックという枠がないというか。

大森:特に日本だとバンド=ロックっていうジャンルが一つできてしまっているところがあって。曲をリリースするたびに「こんなのロックじゃない」って言われたりするんですけど、ロックをやってるつもりは最初からないです、みたいな。例えば「Love me, Love you」とかも完璧にビッグバンドの楽曲ですし。

――インタビュー2へ




≪ライブ情報≫
【ENSEMBLE TOUR】
2018年5月12日(土)東京・パルテノン多摩 大ホール
2018年5月19日(土)香川・サンポートホール高松 大ホール
2018年5月20日(日)広島・広島JMSアステールプラザ 大ホール
2018年5月26日(土)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
2018年5月27日(日)福島・郡山市民文化センター 中ホール
2018年6月3日(日)北海道・わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
2018年6月9日(土)宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館)大ホール
2018年6月15日(金)大阪・オリックス劇場
2018年6月17日(日)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
2018年7月15日(日)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2018年7月20日(金)静岡・静岡市民文化会館 中ホール
2018年7月27日(金)愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
2018年8月4日(土)長野・ホクト文化ホール

【ENSEMBLE TOUR ~フェット・ドゥ・ラ・ルージュ~】
2018年9月8日(土)千葉・幕張メッセ 国際展示場

【ENSEMBLE TOUR ~ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ~】
2018年9月9日(日)千葉・幕張メッセ 国際展示場

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