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武道館公演が即完売 インディーズバンド・SUPER BEAVERが13年で辿り着いた、素晴らしい一日

2018年6月25日 20時00分
今春、初の日本武道館公演を大成功させたSUPER BEAVER。そこで放たれた、「何気ない日を素晴らしい日と思わせてくれる魔法のような歌たち」は、気高く、誇らしく、会場中に響き、それらに自身の想いを重ねた人々と共に、輝かしい幾つもの名場面を生み出すに至った。

撮影:青木カズロー

年若時にメジャーデビューするも数年後に契約解除。以後、独自で全国各地にてライヴを繰り返し、信頼と実績、絆や繋がりを改めて構築し直し、結果、結成から13年を経て、まさに自力でその華々しいステージへと辿り着いたSUPER BEAVER。そんな彼らのニューアルバム『歓声前夜』は、武道館公演を迎え、経て、分かったこと、気づいたこと、必要なこと、伝えたいことが多編に渡り収まっている一枚だ。

新要素も多分に収められ、ライヴで本領発揮な曲たちながら、緻密に作り上げられた作品性との同居・融合も特徴的だ。聴き進める毎に聴く者に幾つもの「楽(らく・がく)」がつく熟語を浮かばせる今作。そこに込めた気持ちや想いを4人がいま語る――。

武道館公演は“もしよかったら来てよ”


――先日の日本武道館単独公演は、インディーズバンドとしては異例の即日完売。ライヴも見事大成功させたということで、当公演はかなり感慨深かったのでは?

渋谷龍太(Vo.):みなさんへの感謝はありましたが、ある種、普通にやらせてもらいました。その「普通」は、いつものステージと同じ感覚という意味で。もちろん、その一日を最高や楽しい日にしたい気持ちは強くありました。でも、自分にとっては一日一日が特別な日なんです。武道館もその中の一日だっただけで。あとはそこで大感動しちゃうと、何かが終わっちゃう気もして。
撮影:青木カズロー


――その「何気ない一日でも素晴らしい一日に変えられる」観は、SUPER BEAVERの楽曲の根底に常に保ち続けてきたものですもんね。では、それを改めて実感できた1日だったと?

渋谷:ですね。嬉しかったし、感動もしたけど、逆に油断したり、隙を作るキッカケにはしたくなくて。「武道館で出来て良かった」「めでたし。めでたし」なんて思ったら、めっちゃユルんじゃいそうで。

柳沢亮太(G. 作詞/作曲):もちろんあの日もただの通過点とは捉えてなくて。ひとつの到達点ではありました。でも、終わった時は感慨深さよりも、これからの話を沢山したかな。もっともっと面白いことをやりたくなったし、改めてこれからの自分たちにワクワクしましたからね。

――私は「13年よく諦めずに続けて、ここまできた」と感心しました。

藤原“30才”広明(Dr.):俺らが信じて守ってきた、いい面がより表れた場所でしたからね。さまざまな感情の共有も出来たし。それが自身の単独史上最も大きな会場だったのも嬉しかったし。間違ってなかったと改めて確信もできました。が故のこの先の希望や未来観への繋がりだったんでしょう。

上杉研太(B.):想い出づくりの為に臨んだライヴではなかったですから。「ビーバーも遂にこんな会場でライヴをできるまでになったんだね」はもちろん。これが出来たら、今後もっと色々なことが出来るだろうし、その姿を今後も一緒に見てみたい。そんな風に感じて下さってたら嬉しいですね。

――あの日は、従来「会いに行く」スタンスだったみなさんに対し、今度はみんなの方から「会いに来た」的な返礼も感じました。

渋谷:常に俺たちはお客さんとイーブンでいたくて。「これまでも、これからも俺たちから足を運ぶ姿勢は変わらない。だけど、せっかくこんな場所で演るんだから、もしよかったら来てよ」。そんなライヴでしたから。
撮影:青木カズロー


――数年前に自分たちだけで再出発し、各地の方々と信頼関係を構築し、その結実があの武道館だったのでは?

渋谷:実は当初は、「みんなにこのステージに連れて来てもらえた」感が強くあって。だけど、演っているうちにそれが、「みんなを連れてこれて良かった」に変わっていったんです。聴いてくれる方がいないと始まらないのはもちろん、自分たちにとってみなさんは、決して「お客様」ではない。俺たちはここで演りたいから演る、ここで歌いたいから歌う。対して、観たいから観る。来たいから来た。そんな関係性で居たくて。ある意味、それが実現できた夜ではありました。

柳沢:やはり武道館はシンボルですから。高校球児で言うところの甲子園。そこで観たい、一緒にあの場所にいたいと各地から来てくれたことは嬉しいし、ある意味やってきた成果ではありました。さまざまな問題で、どうしても足を運べなかった方にも、少しでも共有してもらいたく、生でライヴ配信したのもそれが理由で。そういった意味では、自分たちの根本は何も変わらないまま完遂できた武道館公演でしたね。

――昨今、武道館に立つスピードが上がっているなか、結成から13年かけて立てた。しかもインディーズのままで。そこにはかなりロマンや夢があり、励みにもなります。

藤原:そう映ってもらえたのは大変嬉しいです。でも、自分たちだけでそこに立てたとは考えてなくて。色々な方がいて、ようやくあそこに立たせてもらった感があるんです。

上杉:みんなで力を合わせたら、あの場所に立てる。しかも売り切れて、会場に入れない方も大勢いた。コツコツ積み上げてきた結果、一般的にみんなが凄いと感じる場所に立てるようになったのは誇りにもなったし、さらなる自信にもなりました。

渋谷:それこそ一つ一つしっかり真剣にライヴと向き合ってたら、気づけば13年経ってたって感じですから。

柳沢:だからこそ今度はまたみなさんに会いにいくライヴを行います。ホントその繰り返し。

――では、挫折して落ち込んでいた時期の自分たちに何かメッセージを贈るとしたら?

渋谷:あえて言葉はかけません。気軽に「続ければいいことあるよ」「このままでいいんだよ」なんて言えない。今となっては「人は大事にした方がいい」「大切な人を疎かにしないように」とは伝えられますが……たぶん耳を貸さないでしょう(笑)。
撮影:青木カズロー


楽しい、気楽、安楽、音楽 ニューアルバムに宿した幾つもの「楽」


――ここからはニューアルバム『歓声前夜』の話に。この作品を聴いて「楽」という漢字が浮かびました。「音楽」「楽しい」「気が楽になる」「安楽」など、なんか「楽」という漢字が当てはまる楽曲ばかりだなって。

柳沢:その辺りが伝わって凄く嬉しいです。「聴き終わった後に気が楽になる」との言葉を待ってたし。曲を作っていく上でも、嬉しいな、楽しいな、との気持ちを入れ込みましたから。聴き手が今の自分を投影した時に、その時々の自分の気持ちの置き場ややり場、進め方みたいな作品にしたかったんです。

――分かります。

柳沢:頭の「ふがいない夜こそ」にしても、ふがいなさに焦点を当てつつも、それはそれとしてふがいなさを認め、「だから、その後どうするのか?」へと視点も変わっていきましたから。これまでは自分と向き合っていたものが、今回はその向き合った先の行き場、それが聴き手の中で少し見えたり、何か自身で気づいてもらえる、そんな理想はありました。

――確かに、その向き合った後の凪みたいなものは感じます。

上杉:前作はけっこう明確なコンセプトアルバムだったんです。対して今回は特に何も決めずに進めましたから。だけど、このようなモードの作品に行き着いたのは、すごく今のバンドの状況や精神状態を反映しているかなって。

――今回はプレイを開始した際から驚きました。非常に愉しげなサウンドが飛び出してきたので。

藤原:リズムで色々な感情や状況を伝えたり、表せたり出来たらなとはこれまで以上に思ってました。

――今回はみんなが気楽に参加できる曲が多い気がします。

柳沢:共有といった部分はこれまでも重要視してきましたし、今作でも主眼の一つではありました。だけど、今回はその伝達の手段や方法論を変えてみたんです。気づいたら体が動いていた、楽しい気分になったから一緒に声を出してみたくなったとか。自然と湧き出で来る感覚。それを大事にしましたね。

藤原:全体的にシンプルになりましたから。

上杉:躍動感は意識しました。あとは基本、曲が呼んでいるもの、求めていることを察知し、表しただけで。個人的には武道館を経て、より大きな会場やステージで演っても遜色の無いスケール観は意識したかな。

――それらのサウンドに乗せて歌はいかがでしたか?

渋谷:特別な気負いや“こうしよう!!”的な強い意志はなかったです。聴いて下さる方を想像して、その人との距離感だけは、今回も特に意識しましたけど。いわゆるどの距離感で対話するか、みたいな。間とか息遣いとか、その楽曲楽曲で適したものがあるはずなので。それを聴いて、どの伝え方が最も聴き手がグッときて心の深い所まで届けられるかは考えて歌いました。

――あとは、これまで以上に作品性とライヴ感の同居を感じました。非常にライヴ向けの楽曲たちなんですが、とても丁寧で実は各曲緻密に作られていたり。

柳沢:そこに気づいてもらえて嬉しいです。今回、特にリズムやビートに力を入れていて。その肉体で体感する躍動感。そして、それをキチンと表す為の各楽器の鳴り方や重ね方、楽器の起用でしたから。「それを活かす為にも下にこんな楽器を鳴らす必要があるね」とか、「これをこう入れることによって、より歌の情景観や光景感が映えたり、更に明確になるんじゃないか」等々。

藤原:おかげさまでドラムやリズムに関しても、色々と新しい難題にチャレンジさせてもらいました(笑)。

――最後に今後のビジョンを教えて下さい。

渋谷:より楽しくなっていくことかな。自分たちにとって何が楽しいのかがしっかり分かっていて、何に対して楽しさを感じているのか? 何に対して喜びを感じてるのか? を常に意識していることと忘れないこと、その輪っかがどんどん広がってくれたらいいですね。

取材・文/池田スカオ和宏

■プロフィール


東京出身の4人組ロックバンド。略称は“ビーバー”。
2009 年にメジャーデビューを果たすも、2011年に所属していたレーベル・事務所を離れ、2012年に自主レーベル「IxLxPx RECORDS」を設立。2014年には、eggman 内に発足した新レーベル[NOiD] からフルアルバムをリリース。大型フェスへの出演も果たしはじめ、ワンマンライブを次々とソールドアウトさせるなか、満を辞して日本武道館での単独公演を発表すると55,000 枚を超える応募を集め、即日即完売を記録。2018年はドラマ「セトウツミ」のOP テーマの抜擢や、映画「虹色デイズ」への挿入歌提供、サッカーチーム「セレッソ大阪」の応援番組の番組テーマ曲採用など、幅広い客層に向け話題を尽きることなく発信している。


<リリース情報>
6月27日発売
New Full Album「歓声前夜」



<ライヴ情報>
SUPER BEAVER『歓声前夜』Release Tour 2018
~初めての、ラクダ運転~
7月14日(sat) 京都KBSホール
7月20日(fri) 岡山 CRAZY MAMA KINGDOM
9月7日(fri) 金沢 EIGHT HALL
9月14日(fri) 福岡 DRUM LOGOS
9月15日(sat) BLUE LIVE 広島
9月17日(mon) 高松 festhalle
9月21日(fri) 札幌 PANNY LANE24
9月23日(sun) 新潟LOTS
9月24日(mon) 仙台PIT
9月29日(sat) Zepp NAGOYA
9月30日(sun) Zepp OSAKA Bayside
10月13日(sat) 豊洲PIT
10月14日(sun) 豊洲PIT
10月16日(tue) shibuya eggman

・公式サイト:http://www.super-beaver.com/
・公式Twitter:@super_beaver

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「武道館公演が即完売 インディーズバンド・SUPER BEAVERが13年で辿り着いた、素晴らしい一日」のコメント一覧 1

  • 匿名さん 通報

    そこにたどり着くまで手を伸ばして待っててくれて、体感した人の心に熱い余韻を置いてくみたいなバンド。またもう一度会いたいと思えりバンド。

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