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亀梨熱演。昭和歌謡と『阿久悠物語』――亀和田武「テレビ健康診断」

2017年9月10日 07時00分 (2017年9月14日 23時41分 更新)

 この夏、テレビをつけると阿久悠の特番に遭遇することが多かった。今年は阿久悠の没後十年にあたる。


 日本テレビも『24時間テレビ』のドラマスペシャルで、『時代をつくった男 阿久悠物語』を放映した。主演が亀梨和也と知り不安を覚えた。亀梨はこれまでその年齢や容姿に即した青春ドラマを演じてきた。それが今回は大物作詞家の若き日から壮年期、そして初老までを演じる。


 これは博奕だ。さらに阿久悠と亀梨ではイメージが大違い。テレビに映る阿久は「パパの顔が怖い」と幼い息子が脅える迫力の人だった。あくまで爽やかでナイーブな亀梨君とは正反対の印象だ。


 そんな難役を、亀梨は熱を込めて演じた。最初のうちこそ肩に力が入りすぎ、観る側の私も緊張したが、結婚して子供も出来、仕事も成功をおさめる壮年期になるにつれ、役柄になじんできた。妻の雄子さんを演じた松下奈緒の安定感ある演技の貢献度大だ。それと親友の上村一夫田中圭)にだけ見せる魅力的な笑顔が印象に残る。


 視聴率的にもドラマは成功した。ここからはアプローチの角度を変える。いまメディアが関心を寄せる阿久悠とは何者だったのか。ドラマの後半に至り、阿久は歌謡曲の第一線を退いていく。ヘッドフォンで曲を聴く時代になり「歌が変わってきた」と彼は悟る。みんなが一緒にピンク・レディーの曲を歌い、踊る光景は消えた。こうして“昭和の歌謡曲”の黄金時代が終息した。ドラマ制作者の意図は、ここにあるようだ。

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