北野武監督の最新作『アウトレイジ 最終章』が、いよいよ10月7日に公開となる。ありがたいことに、筆者は数社からの依頼を受け、北野監督に今作についてのインタビューをさせていただいた。



 なぜ、3作目を最終章にしたのかという筆者の問いに対し、北野監督は「本当は世界戦争までやろうと思っていたけど、9・11の米国同時多発テロで、映画や小説は、現実にはかなわないと思った。ツインタワーにジャンボ機が突っ込んだ映像が、映画をはるかに超えていたのと同じように、今年9月12日に起こった、任侠山口組の組員が神戸山口組に射殺された事件はすごかったな。撃たれた組員が『撃ってみんかい!』だもん。マシンガンってウワサもあるじゃん。やっぱ、映画よりも現実のほうがすごい。芸術性とかエンタテインメントを軸にする映画に、暴力を絡ませるのは時代錯誤じゃないかと感じて」と自身の見解を述べた。


 その上で「『アウトレイジ』(10年)や『アウトレイジ ビヨンド』(12年)でいっぱい死人が出た。死んだやつをもう1回出すわけにはいかないから、役者もいなくなっちゃうわけ。3部作でちょうどいいんじゃねぇかと」と、理由に付け加えた。

 また筆者は、1・2作目共通して北野監督が女性を描かないことに対し、違和感を持っていた。その理由を聞くと「どうだっていいんだよ。いらねーよ、女なんか。
ヤクザ映画に女を使うのはおかしいって。『アウトレイジ』に姐さん出てきたって、画として全然ハマんないもん。女を使うのは『極道の妻たち』だけで十分だよ」と一蹴されてしまった。

『アウトレイジ』シリーズには北野監督自らも出演しており、大友組組長という役どころを演じている。その大友組組長の魅力とともに、最終章の見どころを聞いてみた。

「大友組組長だった大友は韓国の済州島に渡り、日韓を牛耳る大物フィクサーの元に身を寄せている。
成り上がることも考えず、義理を果たすことだけを大事にしている昔気質の叩き上げのヤクザが大友。自分が不義理をすれば指詰めで落とし前をつけるし、親分や兄弟分がやられれば復讐に燃えて、やっちゃいけないことまでやるような。その一方で、カネ、カネ、カネで急に成り上がったヤクザもいて、最終章ではその対比も出ていると思うよ」

 ちなみに、ニューヨークで役者修行していた筆者の次男(ヒロ・ホンダ)も、“日韓の大物フィクサーに仕える英語が堪能な秘書”という端役で出演する。花菱会の頭役の西田敏行が、アドリブで「今度は英語かよ」と笑いを誘うシーンに登場しているので、ぜひチェックしていただきたい。

『アウトレイジ』は今回の最終章で幕を閉じることとなるが、いつか北野監督が手を替えて、再びヤクザ映画を制作してくれることを期待したい。
(文=本多