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元首狩り族の「超熟納豆」はこれまで食べた中で最も強烈だった!――高野秀行のヘンな食べもの

2017年10月17日 17時00分 (2017年10月18日 16時41分 更新)

 ミャンマーとインドが接する国境地帯は深い密林と複雑な地形が重なり、ごく最近まで「アジア最後の秘境」と呼ばれた。そこに住むナガ族はかつて首狩りの風習があったことで知られる。村によっては一九九〇年代まで行っていたようだ。私の会ったおじさんは「若いとき、俺は二人首を狩った。一人は水牛の代金を払わなかったから、もう一人はイトコが首を狩られたからその復讐にね」と気さくに話してくれた。


 もっとも実際には「ナガ」とは一つの民族ではない。言葉も文化も全く異なる二十以上もの「部族」の総称だ。彼らには共通の文化が二つだけある。一つは首狩り、そしてもう一つが「納豆」。そう、ナガの人々はアジアでも屈指の納豆大好き民族なのだ。


 昔の日本を含めて、アジアの納豆民族は冬にしか納豆を作らないところが多い。ところが、ナガ族は一年中、ずっと納豆を作り、食べ続けている。しかも彼らの納豆は独特。



 納豆は十度以上の常温では長持ちしない。腐敗菌がついたり、発酵が進みすぎてどろどろに溶けてしまったりする。だから保存用に塩や唐辛子と混ぜたり、寒いところや冷蔵庫にしまっておくのだが、ナガの人たちはそうしない。作った納豆を葉っぱに包んで囲炉裏の上に置き、煙をあてておく。一週間経つと、葉っぱを取り替え、やはり囲炉裏の上に置く。すると、煙の殺菌効果のせいか腐ったりせず、ひじょうにマイルドに発酵が進み、味も香りもほんわかする熟成納豆ができあがる。

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