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実直、誠実、正義の人 本作に加藤剛の原点が!――春日太一の木曜邦画劇場

2017年10月17日 17時00分 (2017年10月18日 16時41分 更新)

 先日、加藤剛にインタビューさせていただいた。


『大岡越前』の大岡忠相、『風と雲と虹と』の平将門、『剣客商売』の秋山大治郎、『関ヶ原』の石田三成など、加藤が演じてきた役柄の多くには共通点がある。いずれもが、実直、誠実、正義感――生真面目に信念を貫き通す硬骨漢なのだ。よく通る重低音の声と彫りの深い顔、そして折り目正しい人柄の伝わる特有の雰囲気が、そうした役にピッタリと合っていた。


 それは若手時代から変わらない。今回取り上げる映画デビュー作『死闘の伝説』も、そんな一本だ。


 舞台となるのは、戦時中の北海道のとある農村。雄大な景色が広がり、人々も素朴でのどかな、一見すると牧歌的な場所である。だが、その実態は全く異なっていた。


 物語は、東京からこの村に疎開してきた園部家に、長男の秀行(加藤)が戦地から帰還するところから始まる。秀行の妹・黄枝子(岩下志麻)は村長の息子・剛一(菅原文太)との縁談を持ちかけられていた。が、秀行は戦地で剛一が現地民に暴行する姿を見ており、破談させる。村長に支配された村では、園部家への怒りに震える剛一に村人が忖度、剛一と共に園部家に嫌がらせをするように。


 その選択のためにどれだけ不利な状況に陥ろうと、迷うことなく剛一を許そうとせず、度重なる嫌がらせにも決して屈しない秀行。その様は、木下惠介監督があらかじめ加藤を想定して脚本を作ったと思わせるほどのはまりぶりだ。


 そんな加藤の本領が発揮される場面が終盤に訪れる。

注: この記事は配信日から2週間以上経過した記事です。記事内容が現在の状況と異なる場合もありますのでご了承ください。

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