「探し物は、探すのをやめたら見つかる」とは、マーフィーの法則だったか。

 来春での放送終了を発表した『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)だが、終了が発表された直後に始まった新企画が、皮肉にも(?)かなり良いのだ。

12月14日放送分にてスタートしたのは、その名も「内緒でおじさんNo.1を決める大会」。

 この日、番組に招集されたのは長嶋一茂石原良純大鶴義丹の3人だ。彼らへは「行きつけの美味しいお店を紹介してもらう」という企画内容だと伝わっているのだが、その裏には真の目的が存在する。実は、「誰が最も“おじさん度”があるかを競うグランプリをこっそり開催する」が、今回の裏テーマである。

 一口に「おじさん」と言っても、いろいろある。“おしゃべりなおじさん”、“おせっかいなおじさん”、“せっかちなおじさん”、“グイグイ来るおじさん”などなど。
観察すると、3人はこれらの生態を全て兼ね備えていたのだ。

 いきなり、凄い。“芸能界のサラブレッド”とも言うべき彼らだが、木梨憲武からそれぞれの育ちについて質問されるや、一茂は「最低10万円くらいするようなおせちが何パックか来た」と回答。それに負けじと、義丹は唐突に「この中で親父に逮捕歴があるのは僕だけです」と胸を張るのだ。何も、そんな場をザワつかせなくても……。

 これは、いわゆる“負けず嫌いおじさん”の生態である。


 移動中のバスの車内では、体の衰えを自慢し合うおじさんたち。義丹が「若い頃は11時くらいまで寝れたが、今は何があっても朝5時に起きちゃう」とこぼせば、良純は「俺なんか、朝足つったぜ!」と心配なことを口にし、そんな良純に一茂は「それって栄養不足らしいよ」と無遠慮に指摘するのだ。さらに「サプリだけで50~60種類飲んでる」と、妙なベクトルの自慢を始める一茂。

 このくだりには“負けず嫌いおじさん”、“グイグイくるおじさん”、“ヒザが痛いおじさん”、“健康オタクおじさん”、“病気がちなおじさん”と、さまざまな生態があふれかえっている。

 バスから降りて空を見上げると、なんとも心配な空模様に気付いた一行。しかし、気象予報士でもある石原良純は「大丈夫。
降ることはない!」と断言する。

 しかし、飲食店に寄ってバスへ戻る頃には、思いっきり雨が降っており、木梨らから「ハズレじゃん!」「ウソつき!」とツッコまれる良純。ザーザー降りなのに「こんなの降ってるうちに入らないよ!」と開き直りを見せるその態度は、“わがままおじさん”の生態に当てはまるだろう。

 そんな良純は、“行きつけの美味しいお店”として西洋料理店「東洋軒」に一行を案内している。店内で「東洋軒がクリームコロッケ発祥の地と言われている」と知識を披露する良純であったが、店員から「違う」と否定され、雨のくだりに続き、またも赤っ恥をかいてしまった。

 この時の良純は、まさしく“うんちくおじさん”の生態に当てはまる。


 これらの戯れを踏まえ、今回“キング・オブ・おじさん”に輝いたのは長嶋一茂であった。彼が特に兼ね備えていたのは“おしゃべりなおじさん”、“健康オタクおじさん”、“負けず嫌いおじさん”、“力持ちなおじさん”、“筋肉があるおじさん”といった生態だ。

 予想以上の破壊力を含んでいた、このハチャメチャな新企画。来春までに、もう一度放送されることを願うばかりである。
(文=寺西ジャジューカ)