どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。

 今回取り上げるのは、ガンバレルーヤまひるだ。

立ち位置は向かって右、黄色のトレーナーにオーバーオールを着ている金髪の女性と言えばわかるだろう。

 彼女たちの魅力は、お笑い芸人であるとはっきりわかる「ビジュアル」、敵を作らない「イモッぽさ」、そして意外な「毒っ気」にあるといわれている。特にまひるは、「かわいい顔して毒づく」ことが売りとなっている。

■毒を吐いてもほほえましい

 7月26日放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)では、ニッチェ江上敬子にかみついていた。コトの顛末はこうだ。

 江上は、3年前に結婚した一般男性と風呂上がり、お互いの髪の毛をドライヤーで乾かし合っているのだが、毛量の多い彼女に対し、夫の頭髪が少し薄く、30秒で乾かし切ることができると明かした。



 江上は、ダウンタウン浜田雅功の「旦那ハゲてるやん」という指摘に対し、「ハゲてはない」「おでこが広いだけ。生え際が後ろにズレている」と主張。

 そこで浜田から「こういう結婚生活はどうですか?」と振られたまひるは、「夢がないと言うか……。やっぱ女芸人は、あんな人としか結婚できないのかな」とポツリ。

 さらには「堤真一さんみたいなかっこいい人と結婚したいって思っていたんで、江上さんの旦那さんを見ると、ああ、やっぱムリなんだって……」と顔をゆがめ、うつむき加減ではありながら、かなりの猛毒を振りまいたのだ。

 少し前になるが、5月25日放送の『有吉ジャポン』(TBS系)でも、まひるは容赦なかった。
かわいすぎる芸人として話題の「まちむすめ」という結成1年のコンビが登場。その1人・ももみは、ファッション雑誌「ViVi」(講談社)で読者モデルを務めるほどのルックスの持ち主だが、ネタは素人レベルだった。しかし、司会の有吉弘行カンニング竹山が「基礎はできてる」「ちゃんと漫才っぽく見えた」などと激アマ評価を下す中、まひるは「殺したい」と言ってのけた。

山瀬まみ式「舌足らず+毒舌」は最強?

 まひるの毒舌が受け入れられる理由はどこにあるのか? そのサンプルとして取り上げたいのが山瀬まみだ。

 1980年代後半に入って訪れたアイドル冬の時代、森口博子松本明子井森美幸らがバラエティに進出。「バラドル」として活躍したが、そんな中で唯一、レギュラー番組をずっと絶やさずに持っているのが山瀬なのだ。



『新婚さんいらっしゃい!』(朝日放送)は今年で21年、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)は14年、『火曜サプライズ』(同)も9年、加えて『名医のTHE太鼓判!』(TBS系)も昨年からレギュラー昇格した。

 山瀬の武器は「舌足らず」から繰り出される、ちょっとした「毒舌」だ。志村にもツッコミを容赦なく入れたり、桂文枝もイジる。『火サプ』でも、ウエンツ瑛士オリエンタルラジオにズバズバ言ってのける。失礼さと親しみやすさのバランスが絶妙なのである。

 毒舌を売りにする女性タレントは、今では例えば高嶋ちさ子ダレノガレ明美、かつては神田うの青木さやかなどがいたが、だいたい「角が立つ」。
原因は、声にある。あの高い声によってさらに不快感があおられ、怒りを増長させてしまうのだ。

 だが「舌足らず」だと、その辛口もいくぶん中和され、かなりマイルドに聞こえるし、なんであれ笑ってしまう。山瀬が20年以上にもわたって奇跡的にゴールデンの司会を受け持っていられる理由を探ったとき、それも理由のひとつに入ってくるに違いない。

■ファンは60代のおじさん?

 さらに、山瀬は「大物司会者転がし」として有名だ。文枝はもちろん、『ためしてガッテン』(NHK)では長らく、司会の立川志の輔と軽妙なトークを繰り広げていた。



 ガンバレルーヤの2人は、もともとウッチャンナンチャン内村光良にかわいがられ、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)への道を切り開いたが、特に、まひるは父性をくすぐるのかもしれない。その証拠に、まひるのファンは60代のおじさんファンが多いとか。ここにも、山瀬との共通点を見いだすことができる。

 もちろん、切り返しの巧さなどは山瀬に及ばないが、今のまひるには、大物司会者の隣にいても邪魔にならない、ほどよい存在感は十分備わっていると考える。今後が大いに楽しみである。

(文=都築雄一郎)

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